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猫を飼育する高齢者の現場で起きた悲しい現実-丸投げコストが伝わらないジレンマ
「丸投げ文化、もうやめませんか?」
突然、地域の包括支援センターから「飼い主さんが病気で施設に入ることになった。飼われている猫を見てほしい」と連絡が入りました。
以前から私は、高齢者宅で多頭飼育崩壊のような事が起こらないように、まずは店舗のある地域周辺で活動されている包括センターにて、予防や予知も含めて不妊手術や譲渡先などを確認してほしいと呼びかけていました。
でも、現実にはその“予防策”が全く機能せず、結果的に14歳のメス猫が行き場を失う事態に。
現場は、足の踏み場もない状態で、まともにトイレやご飯の場所なども確保されているわけではなく、この冬真っ只中にも関わらず電気やガスも止められていました。
そこに残されていた猫は、ガリガリに痩せていて肝臓の状態も良いとは言えず、病院の先生からは「まずは何でもいいから食べられるものを好きなだけ食べさせて、体力を回復させてあげて」と言われるほどの状態でした。
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しかも翌日から土日を挟むため、高齢者の自宅には入れず、ご飯や水を与えることすら不可能。
現場の方は「保護できないなら愛護センターへ送っても仕方ない」と言い「人馴れしていても14歳という年齢であれば殺処分になる可能性は高いです」と伝えるも、「仕方ないもんね。。」とのこと。
このまま放置すれば、寒い部屋で食べ物もなく、最悪の場合は命を落とす可能性は高かったです。
他人の自宅は行政の許可なく勝手に出入りできないため、急いでこの14歳の猫を引き取る決断をしました。
不幸中の幸いは、多頭飼育崩壊ではなかった事だけが唯一の救いです。
実際に引き取ってみると、痩せ細った体や毛並みの悪さから、長いあいだ十分なケアを受けられていなかったんだと思います。
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本来なら、こうした悲劇が起きる前に「もし飼い主に何かあったら猫はどうするのか」という話し合いがされるはずでした。
しかし現実は、「全部保護団体や保護猫カフェがなんとかして」という空気が未だ根強く、予防措置が機能しないまま、結果的に私たちが費用もリスクも一手に背負う形になっています。
14歳という高齢猫の治療費やケアは、子猫以上に時間もお金もかかるもの。
昨年からのカフェ運営で手一杯な状況とはいえ、放置すれば14歳という年齢だとセンターへ行けばこの子が殺処分に近い状況へ追い込まれるのは目に見えていました。
だからこそ、今回のクラウドファンディングを活用して、この猫の医療費や飼育費を賄うだけでなく、地域の包括センターや行政と協力し「高齢者宅で飼われている猫が取り残される問題」を、より深く考え、共有するきっかけにしたいと強く思っています。
現場の方々がこういった事象を自分事として捉えられていないのも大きな一つの要因です。
「まさか自分の所でこういうことは起きないだろう。」と。
冬の寒さをしのげないまま放置される猫を出さないためにも、私たち保護猫カフェが“緊急対応の受け皿”となり続けるには、どうしても資金的な余裕が必要です。
あくまで、私たちはシェルターを抱えていません。直接的な保護ができないからこそ、予防的な意見交換をさせて頂いていました。
一匹の14歳の猫を守ることが、今後の地域での協議の場を生む1つのキッカケにしたいと思っています。
私たちはこの子を通して、行政を巻き込みながら「事前措置が機能する仕組み」と「団体等に引き渡して一件落着」という丸投げ文化がNGだと言うことを強く訴えかけ議論を始めたいと思っているところです。
どうか、この切実な現場の現状を打破するために、現在挑戦しているクラウドファンディングにご支援をお願いしたく思っております。
皆さんの力が、猫たちの命を救い、高齢者と猫がともに幸せに暮らせる地域づくりへと繋がると信じています。
店舗を構えた事で、色んな所へアプローチしやすくなったメリットはありますが、このような逆のものも発生しやすくなってしまいます。
ぜひ、現在実施中のクラウドファンディングの内容をご覧頂けますと幸いです。