巨女ノ国 ~#004~

一人目「あぁ・・、巨女ノ国の映像は、いつまでも見ていられるな。」

 五人は、目に映るうっとりとした巨女ノ国の光景を、ただただ見つめていました。彼らの脳内は、完全に巨女ノ国へとトリップしていました。

二人目「本当だな。俺たち小人の村は、テクノロジーは発達しているが、それなりに世知辛いところもあるからな。それに、あまり村人たちに笑顔がない。それに比べて、この巨女ノ国ときたら・・みんな笑顔で過ごしてるじゃねえか。こんな世界があるんだな。」

三人目「やっぱり、行きたいよな、巨女ノ国へ。」

 五人とも、男が約100人しかいないこの小人の村での生活に、どこかしら閉塞感を抱えていました。恐らく小人の村の住人のほとんどが同じ気持ちだったのでしょうが、それをはっきりと口に出して伝え、これからどうしていくべきかを話し合える人は、この五人以外にはほとんどいませんでした。

二人目「おう。俺も同じ意見だ。このまま小人の村で一生を過ごすのはごめんだ。何せこの筋肉隆々の肉体が黙っちゃいねえ。・・ただ気になるのは、”巨女ノ国に向かって旅をして生きて帰ってきたものはいない”と言われているが、あれはなぜなんだ?」

三人目「あれは、巨女ノ国があまりに居心地が良くて、今までいたところに戻ってくる気持ちになれないという説もあれば、巨女ノ国の国民として認めてもらうためにはいくつかの関門があって、それをクリアしないといけないからだとも言われている。」

四人目「・・え?その関門がクリアできなかったら、この小人の村に帰ってくればいいだけなんじゃない?」

五人目「それが、ミーが聞いた話によれば、関門をクリアできなかったらその場で巨女に命を奪われるらしいぜ。」

巨女ノ国のことを良く知らない四人目は、驚きました。

四人目「・・えっ!?巨女って優しくて平和な存在なんじゃないの?」

五人目「そのはずなんだがな。それに、命を奪われるにしても、幸せな最期を迎えられるように配慮してくれるらしいぜ。」

四人目「配慮・・?よくわからないけど、やっぱり巨女って優しいんだね。だって、幸せな最期なんて、迎えようと思っても迎えられないものだよ。」

 小人の国では、高齢の小人が年々増え続けていました。テクノロジーの力で生き永らえることが可能になり、小人たちは140年という期間であれば、望んだだけ小人としての人生を生きることができるのです。

 ところが、実際に100年以上生きようとする小人は稀でした。どういうわけか、途中でみな自らの命の灯を消していくのです。

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