巨女ノ国 ~#006~
【五人は、今の小人の村の現状を良く見据えていました。そして、巨女ノ国へと向かう意思を確かめ合うように、これからのことについて話を始めました。】
一人目「私は、この小人の村で長く生き続けることに執着はない。ただ時間を長く過ごすことが幸福だとは感じないからだ。皆はどうだ?」
二人目「同感だ。140年だらだら生き続けてたって、身体が鈍る一方だ。俺はもっと広い世界が見たい。小人より、巨女の身体のスケールのでかさってやつを感じたいものだね。俺は自らの肉体のすばらしさを巨女ノ国でも通用するのか、試したいのさ。」
三人目「僕も、外の世界には興味がある。小人の村には正直もううんざりさ。何も新しいものが生まれない。何かを創り続けることでしか、僕は生きている実感を感じることができないんだ。」
四人目「小人の村の人たちは皆自分のことで精いっぱいで、ボクなんか甘えさせてもらえないからな。二言目には”自己責任”って。それって、誰も責任取らないからあとは勝手に生きるも死ぬもご自由にって言われてるのと一緒じゃないか。ボクみたいな弱い人間は、この村で生きていくことはどのみちできないってわかり切ってるだったら、すぐにでもでなきゃ、ね。巨女の胸でたっぷり甘えるのがボクの夢さ。」
五人目「小人の村では、いくらお金を稼いだって、たかが知れてる。小人の村のみんなは、お金をためて自分の資産を増やすことにしか興味関心がない。見ている世界が狭すぎて、まったくつまらんよ。それに、お金の価値は他の国に行ったら全く別なものになるそうじゃないか。ミーが大切にしているお金が、巨女ノ国ではどのような扱いを受けるのか、わくわくするね。より価値のあるものととらえられるのか、なんの価値もないものととらえられるのか。面白いじゃないか。その相対的な流動性こそ経済の本質だよ。お金はとどまっていてはいけないからね。常に動かしていかないと。」
五人とも、どうやら小人の村にこのままずっといるつもりはないようです。