◆スト5のランクマッチは素敵だ◆
こんにちは、HereTheMondayです
ストリートファイターシリーズの最新作であるスト5のお話
プレイするきっかけは2018年のカプコンカップのネット中継を見ていた時
「STEAM版半額!!」
あ、STEAMね、ふ~ん…(カタカタカタカタ…)
早速ググってみると、なるほどPCで既存のソフトが結構遊べるってわけね
・・・
「こんなん使うしかねぇ!!!」
それが始まり
長らく一人暮らしを続けていた中で新しいプレステなども購入には至らず、時間さえあればずっと動画サイトとWikiを読み漁り、マイクラや東方風神録をやって20代前半を過ごしていた僕の相棒は2010年製のゲーミングPC
すっかり動画勢になっていた事もあって格ゲーの諸事情についてはだいたい知識はあったものの、プレイヤーになるには至らなかった
何を隠そう、僕はアーケードコントローラーというものが大の苦手
いや正確にはスーファミ世代であった影響か
「なんでわざわざゲームにお金入れてやらにゃいかんのじゃ、しかも使いにくい筐体のコントローラーなんぞで…」と、中学生くらいの頃から思っており、ゲームはもっぱらプレステや64といった流行のゲームに勤しんでいた
そんな中で「格ゲーはアケコン」という固定概念が形成され
わざわざお高いコントローラーを買うまでもない
と、すっかり手を出さずにいたのだったが
時は流れ
「STEAM版半額!!」
そう言われると流石にSTEAMを入れたい欲求も相まって買うだけ買っておこうという気になり
僕は早速パソコンにSTEAMを導入しスト5を購入、キャラ開放された(シーズン3までの全キャラ)フルパッケージでも確か3000円くらいだった
「俺もついに格ゲー勢だ!やっほい!!」
しかし、いざ買ってみるとワクワク感が止まらなかった
あの動画で見るだけの格ゲーが今すぐできる状態でここにあるということに期待感がハンパない
僕はゲームが好きだ、それは間違いない
もちろん過去にいくつか格ゲーは触っていた
最近では「電撃文庫FIGHTING CLIMAX」を友人とPS VITAでプレイしていた事もあったが、流石にストリートファイターシリーズともなるとプレイヤー人口も多く、大会参加なども出来る規模のゲームだ
STEAMにスト5を入れたが、そのままではプレイできない
僕は、とりあえず何も考えずにプレステ4のコントローラーを購入しゲームを起動
インストール画面からメニュー画面へ移り、ネットワークに繋がった確認が取れると流れるような操作でトレーニングモードへ
キャラのことはよくわからないけどケンでも選んでおけばいいだろうと早速昇龍拳や波動拳のコマンドを入力していく
で、できる…
うちでスト5できる!!
けど…これはさすがに…
そう、相棒は御年8歳になるご長寿PC
Windows7搭載でサポートの期限もそろそろかという頃合いに達しており
「骨董品」などと揶揄される当時の僕のPCでは画面設定は最低のモードでしかできず、試しにやってみたランクマッチは通信速度は十分でも全体的に残像が残るような環境であった
俺はF91じゃねえんだぞ!
相手キャラもすべてが飛影に見える環境では流石に続けられない
そして、翌年2019年春
僕はそんな「スト5残像事件」からPCごと買い替えを実施
手に馴染むコントローラーを求めてHORIの子ども用ゲームパッドを揃えると
見た目一発でキャラクターを「ララ」に決定し再びランクマッチに勤しむこととなった
◆ありがたいことこの上ないランクマの話◆
もちろん一緒にプレーする友人はおろか、Twitterに経過を書き込んでも誰一人反応することはなかったが、そんなことはどうでもいい
ボタンをポチポチと数回押せばすぐに対戦が始まるし、なによりこのランク形式の対戦は大変にありがたかった
純粋に対戦格闘ゲームの経験値があまりなかった僕にとっては
「隣のランクまでしか当たりませんよ」と、強制的に付近のランクとしかあたらないシステムに大変感動した
もちろんコマンドが入力できたとしても勝てるようになるまでにはちまちまCPU戦をやったり
ちょうどその頃にゲーセンに登場したスト5の筐体には
「コントローラー持ち込めるよ!!」
と、なんとまさかのUSB接続が付いているという素晴らしいタイミング
気軽に持ち出せるパッドの強みを生かして、仕事帰りのゲーセンに寄ったりもするほどのハマりようであった
さて、格闘ゲームの進め方なんてものはよく分からなかったが
勝ち方や戦略うんぬんよりも先に
「確実に攻撃が当たる瞬間はどこか」
それを見学することにした
同じランク帯同士の戦いでも、当然だが実力差もクセも違う、ひたすら相手の動きを見学しながら動画で見た2、3種類ののコンボだけを用いてランクマッチに入り続けた
こういうところで他の趣味の経験が活きてくるものだ
「物事には順番がある」
将棋で言えば守りを固めてから攻めるのがセオリーだし
野球で投手をやるなら球速よりコントロールが重要なのだ
じゃあスト5なら?
動画勢であった僕は、「防御」の優位性と、それを崩す「投げ」のコントラストが対戦を形作るらしいとは聞いていたが、実際に自分でプレーするとなるとそんなことは考えるのが面倒だった
「確実に当たる攻撃が一つあれば良い」
「相手が防御していない瞬間に殴ればいい」
「まずはそれが確実に実現できるよう戦えばいい」
それが「対空」との出会いだった
特に僕の使用するララというキャラは特殊な対空技を持っており、しかもそれが簡単なコマンドですぐに出せるとあって、習得するには時間がかからなかった
空中でガードができないスト5においては、強力な飛び攻撃を繰り出すにもリスクが大きいはずなのだが、みんなひたすら飛んでくる
それでも画面に向かって「トベ…トベ…トベ…トンデコイ…」
と、呪文を唱えながら相手が飛びたくなる距離感をひたすらうろついて飛びを誘った
2017年にEVOスト5部門で優勝を飾ったときど選手がこう言っていた
「対戦はトレーニングモードじゃなかった、相手がいた」
僕は丁度その中継を生で見ていたのだが、ビデオゲームというジャンルの性質上、対戦におけるもっとも重要なその一点に気がつけない人が多いのかもしれない思った
勝負事において重要なのは「実力」ではなく
「勝者」か「敗者」の
そのどちらかしかいないということ
野球部で投手をやっていた僕にとってそれは日常的に起こっていた
僕の投げる弾がどんなに遅くても、どんなに真ん中に入っても
「空振り」させられるならそれが正解なのだ
そのためには投球の組み立てがあり、変化球があり、低速の球と高速の球の使い分けがあり、緩急を付けなければならない
コースを投げ分け、予測を外し、タイミングをずらして
そこで初めて「勝者」になる確率が高まる
実力が付けばもちろん勝てる可能性は高まると思う
一発当てたあとのコンボがしっかり最後まで完走できればダメージは上がるし、勝ちに近づくとは思う
しかし「たくさんコンボ練習したのに負けました」は、往々にして存在する
「実力」がある方がもちろんいいだろう
コンボ精度や的確な判断力や知識も実力のうちだろう
しかし、初心者のうちに「確実にダメージが入ること」以上に重要なことなどあるだろうか
いや、無い
特に豪鬼やキャミィ、ダルシムにはお世話になった
とにかく飛びを落としてさえいればどんどんとランクは上がった
相手の弾はガードしてさえいればあとは勝手に飛んできてくれることも把握していたし、ゲージがあったらクリティカルアーツをぶっ放せば面白いように当たった
こちらから飛ぶこともあるがあまり期待はしない
なぜなら、僕自身が相手の飛びを落として勝ちたいのだからこちらから飛んでいては話にならない
そうこうしているうちに、秋頃にはランクは「ゴールド」になっていたが
僕の勝率が著しく下がり始めたのもその頃だった
周りはゴールド帯の人々で溢れており、皆がみんな懸命に勝利の為に行動する中、僕はひたすら相手の飛びを待っていたのだ
そして、誰も飛ばなくなった
光速の対空を見せつけられた相手は、僕の戦略を見抜くと途端に地上戦に持ち込んできた
たちまち僕は画面端に追い込まれ、得意の対空もまさに空を切っていた
「なるほど、そりゃそうか」
しかし、これはランクマッチ
勝てば上がり、負ければ減っていくランクポイントを元に
「クラス分け」がなされているシステムだ
それならやることは簡単だ
「ランク下げて、今度はコンボ練習からやり直しだな!」
あぁ、素晴らしきかなランクシステム
「対空だけでゴールド行けるよ」
今ではよく言うこのセリフは本当なのだ
他、な~んもいらん
ただし、他のことが出来なければそこから先は難しくなる
だったら、そこまでやり抜けばいいだけの話ではないか
壁にぶつかる前からぶつかる時の事を想定できるのは優秀な人間のやることであり、ゲーマーの鏡だと思う
だが、僕は違う
僕はエンジョイ勢だ
自分のやりたいことを貫き通して、それから次の楽しみを見い出せばいい
幸いなことに周りは同ランク帯の人々でいつもいっぱいだ
対空をこれだけやってきたなら、次にゴールドに戻った時には余裕で通過することだろう
それまではここで遊び尽くそう
シルバーに居られる間に出来ることはやっておこう
うっかりゴールドに上がりそうになったら先生に言おう
「僕、目悪いんで前の方に座っていいですか?」
何事も同じランク帯の人々と遊ぶというのは大切なことだ
棲み分けは現代社会のオアシスだ
出身が同じだったとか
年齢が近いとか
趣味が同じだったとか
声の大きさが心地良いとか
同ランクだったとか
どんな事でも良い
挑戦は挑戦
ゲームはゲーム
そのランクの扉を開けばみんな仲間だ
どうせ出来ないことは後で出来るようになるさ
と、その日も僕は画面に向かって小さくつぶやいていたことだろう
「あ!…ちくしょう、お前が飛べよボケ!」
みんな友だちさ!!
ではまた