見出し画像

ガス代について知る【web3.0への入り口】

※この記事ではブロックチェーンの代表格である「イーサリアムネトワーク」を例に説明しています。

ガス代とは?

ガスとは、ユーザーがネットワークとやり取りするためにイーサリアムが要求するイーサ(ETH)の数を表す言葉です。

ガス代は主に二つの役割を担っています。

①取引を検証するために必要とされるエネルギーに対するイーサリアムマイナーへの報酬

②悪意あるユーザーがネットワークを攻撃するためのコストを高くする

どちらの役割もイーサリアムネットワークにセキュリティを提供するために有効なのです。

協力者にはインセンティブを、
邪魔者には高い代償を与えよう!

ってなイメージですね!


なんだか難しいと思ったあなた!
心配いりません。
我々一般ユーザーからするとただの取引手数料のようなものです!

だから、素晴らしいシステムであると同時に、
我々ユーザーが最も嫌うシステムでもあります。

それも、手数料に対する一般的な嫌悪感からだけではなく、ネットワークが混雑している場合には、信じられないほどに高くなることがあるので注意が必要なのです。


ガス代の算出方法は?

少し専門的な話になるので興味ない人は飛ばし読みして下さい!!

ガス代がそれほど高い理由、お金を節約するための方法を理解するには、その算出方法を理解することが大切です。

イーサリアムの手数料は通常、1 ETHよりもはるかに少ないため、イーサリアムでは「wei」と呼ばれる単位を採用しています。

1 ETHは、1 wei x 10の18乗です。weiを使った最も一般的な単位で、ガス代を表すのにも使われるのが「gigawei(gwei)」、つまり10億 weiだ。ガス代トラッキングツールをチェックして、平均ガス代が100 gweiになっていたら、取引に対して0.0000001 ETH(等記事執筆時点で、0.00031ドル相当)の基本料金を払うということになります。

採用されている手数料の算出方法は以下の数式です。

ガス代合計=ガスユニット(リミット)×(基本料金+チップ)

  • ガスユニット(リミット):これは、取引で消費されるガス代の上限のことです。イーサリアムブロックチェーンとのやり取りのタイプによって、完了に必要なガス代は異なってくるので、慎重に調整を行う必要があります。

  • 基本料金:取引をイーサリアムブロックチェーンに含めるのに最低限必要なガス代です。基本料金は、取引のタイプに関わらず、需要によって決定されます。つまり、ネットワークとやり取りしているユーザーの数に応じて増減します。

  • チップ:優先手数料とも呼ばれるチップは、取引をより速く完了してもらうための追加料金です。イーサリアムマイナーが特定の取引を他のものより速く完了させる金銭的インセンティブを提供するため、チップと呼ばれています。優先手数料を払った取引を検証したマイナーは、その見返りにチップを受け取ります。マイナーはどの取引にチップが含まれているかを確認できるので、できるたけ多くのチップを受け取るために、チップの高額な取引を優先的に完了させる仕組みになっています。


取引を完了させるのに必要なガス代よりも低くガスリミットを設定してしまうと、取引は差し戻されるが、ガス代を取り返すことはできないので注意が必要です。
なぜならマイナーはすでに取引を処理するために労力を費やしており、取引が完了しなくても、その分の手数料を受け取るからです。


実際に計算して見ましょう!

私があなたに1ETHを送ろうとしているとします。
イーサリアムネットワーク上でETHを移動させるのに必要なガス代の平均は2万3000 gwei(当時)だったので、ガスリミットとして設定します。この時点での取引に最低限必要なガス代(基本料金)は150 gweiですが、速く届けるために、20 gweiのチップを追加したとします。この場合、計算式は次のようになります。

1ETH送金のガス代 = 23,000 gwei x(150 gwei + 20 gwei)

そうすると、ガス代の合計は3910000 gwei、つまり0.00391 ETH(当記事執筆時点で約6ドル相当)となります。私がイーサリアムブロックチェーンに1.00391 ETHを送ると、あなたが1ETHを受け取れる、ということです。


ガス代が高い理由

イーサ価格高騰によって、ガス代も高騰

ガス代が高くなる主な理由の1つ目は、仮想通貨払いだからです。

ただし、全てのチェーンがイーサ払いではありません。
ガス代は各チェーンのコイン(通貨)で支払う必要があります。

コイン」とは、ビットコインやイーサ、バイナンスコインなどのように独立したブロックチェーンを持つ暗号資産のことです。

イーサリアムチェーンにはイーサ、バイナンススマートチェーンにはバイナンスコインと、チェーンの名前に合ったコインでガス代を払う必要があることに注意して下さい。

そして、イーサのようなコインは簡単に言うと仮想通貨なのでよく値上がりします。
値上がりする通貨を使うと同じ枚数でもどんどん手数料が高騰してしまうというわけです。


取引過多による基本料金の高騰

イーサリアムブロックチェーンでは一般ユーザーだけでなく、アプリ側(ブロックチェーン上のアプリをDaapという)も取引を承認してもらおうとします。イーサリアムブロックチェーンは使い勝手も良く、とても優秀なので、日に日に新しいサービスを作っては取引を承認してもらおうとします。

魅力的なサービスが増えたらユーザーも増え、どんどん取引総数が多くなってしまうので、承認作業(マイニング)は混雑します。

よって基本料金は高くなり、ガス代は高騰してしまうのです。



ガス代を節約する方法


適切な時間を選び、忍耐強く待つ

イーサリアムネットワークとやり取りするのにより労力がかかる時には、基本料金が高くなります。
つまり、イーサリアムネットワークとやり取りする需要が低い時間帯を見つけられれば、基本料金が少なく済むのだ。一般的には、週末が狙い目と言われています。


ガス代の上限を設定する

取引にガス代の上限を設定する方法も有効です。
これは、イーサリアムブロックチェーンに、任意のガス代を送ることで、支払う上限は送ったガス代であると伝えるのです。取引が完了すると、実際に必要となったガス代の合計との差分が、イーサリアムネットワークから返金される。
ガス代の上限を設定することは、ガス代の節約に役立つだけでなく、取引に対して想定以上に支払うことはないという安心感も与えてくれます。

しかし、ガスリミットの設定と同様に、取引に必要なガス代よりもガス代の上限を低く設定してしまうと、支払ったガス代を失い、取引が差し戻されることになるので注意が必要です。


レイヤー2スケーリングソリューション

最後に、イーサリアムの「レイヤー2スケーリングソリューション」を使ってイーサリアムブロックチェーンとやり取りすることでも、ガス代を節約できます。

スケーリングツールは、取引スピードを上げ、1秒当たりに処理できる取引数を上げることを目的としています。
アービトラム(Arbitrum)、ループリング(Loopring)、dYdXなどが人気です。

レイヤー2ソリューションは、イーサリアムネットワークの混雑も緩和し、すべてのユーザーに対して基本料金がより安くなるという恩恵をもたらすのです。



まとめ

  • ガス代とは取引を認証するために必要な手数料のことを指します。

  • 基本的に何をするにしても手数料が必要なので、チェーンに合ったコインを用意しておいて下さい。

  • そしてその手数料は変動するので気を付けて下さい。

  • みんなが活発に取引をしている時間は高くなります。


以上でガス代における最低限の知識は網羅できたかと思います。
web3に参加するにはガス代は不可欠ですので、
しっかり理解してどんどん新しい技術に触れていきましょう!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?