長唄三味線3年目。【2022年塩谷的10大トピック⑤】
社会人1年目の時、「落語の出囃子に3ヶ月で挑戦する」というワークショップに参加した。その後、3ヶ月だけレンタルしていた三味線を手放すのが寂しくなってしまい、習い続けることを決意。それから3年が経った。
今はワークショップからお世話になっている杵屋勝くに緒先生のもとで習っており、月に3回のお稽古に通っている。その他にも、先生のお弟子さん仲間のみなさんと合同稽古をしたり、そこそこの頻度で発表の機会があったりと、私の三味線ライフはとても充実している。
保育園に入る前から中学生までピアノ、中学時代は吹奏楽部でパーカッション、大学ではジャズ研でドラム、と、ずっと音楽はやってきた。でも、ここまで夢中になれる楽器は初めて。
そんな私と三味線の2022年を振り返っていこうと思う。
お若いでしょ?お若いですよ。
今年3月に、清澄白河にあるお寺・慧然寺にて「初めてでもわかる長唄ガイド」というイベントが開催され、運営&演者として参加した。
この日は歌舞伎の演目解説とともに長唄を楽しむという内容。未だに右も左もわからないことが多いけれど、勉強になった。
イベント終了後、帰り際の年配の来場者の方から「お若いでしょ?」と声をかけられた。確かに、長唄の演奏会に行けば若い人は圧倒的少数派。20代が
この場にいることは珍しいと感じられたのだろうか。でも実際、先生のお弟子さんズには若い女性がとても多い。
私自身も「きっと邦楽を好きになることはないだろう」とつい最近までは思っていた。あまりにも身の回りで触れることのないジャンルの音楽だし、勝手に「三味線なんて、私のような下賤の人間がする楽器ではない」と思い込んでいた。
ただ、一歩踏み込んでしまえばそんなことはない。誰でも親しめる音楽なのだ、長唄は。
確かに、唄は古い日本語だし、ポップスとは明らかに違うから聴いているだけだと最初は楽しくないかもしれない。でも一度楽器を持ってしまうと、一気にその格好良さに引き込まれていく。きっと何事においてもそうだと思うが、振り返ってみればあまりにも遠い世界のものだと思った長唄が「かっこいい!」と思えるようになるとは思いもしなかった。
そうなんです。若くてもハマるんですよ、お三味線。
国立劇場の舞台へ
今年も色々なイベントに出演させていただいたけれど、一番大きい舞台となったのは国立劇場。9月の「七代目杵屋和吉襲名披露公演」に玉の緒会のみなさんとともに出演させていただいた。
当日は朝にバシッと着付け&ヘアセットもしてもらった。舞台上では基本メガネNGで久しぶりにコンタクトにしたので、いよいよ誰だかわからない感じになった。
演奏したのは『勧進帳』。私はチームひよっこなので、終盤から演奏に加わった。写真を見てわかる通り、なんと、途中でせり上がるのだ。舞台の下ってこんな風になっているのか~と鉄骨を眺めながら静かに出番を待った。
この時の演奏の感想は、「仲間って心強い!」に尽きる。ピンマイクで拾った先生の掛け声が舞台袖のスピーカーから聞こえてくるし、目の前にはおなじみの仲間のみなさまがいる。全く緊張しなかったと言えば嘘になるかもしれないが、それでもいつも通りの環境がそこにはあって、ただただ平常心でいられた。
本当に、素敵な経験だった。
当日の振り返りは、玉の緒会のブログにも載せているのでぜひご覧ください👇
ついにマイ三味線を手に入れた
三味線を始めたころから、月々1,700円というリーズナブルなお値段でレンタルの三味線を使っていた。レンタルでもいいけれど、そろそろ自分の楽器を買ったら?ということになったのが今年の8月下旬頃のこと。
どんな楽器でもそうだが、まともに買おうとすると結構高い。手の届く楽器だと、おそらく安物になってしまう。
そこで登場するのが、「メルカリ」である。三味線で検索すると、中古の楽器が結構出てくる。その中から先生に見繕っていただいて、一番状態のよさそうなものを買うことにした。お値段、なんと8,000円。
それで届いたのがこちら。三つ折りにできる三味線で、ケースはコンパクトだが皮が破れてしまっている。そして仮継(かりつぎ)という三味線の接合部にはめるキャップも足りていなかった。でも、それを除けば素人目にはまだきれいな楽器に見えた。
もちろん、直す前提でこちらを買っている。この三味線を、巣鴨にある三味線屋さんに持って行って、修理をお願いした。修理期間は約1か月。修理代は、およそ5万円。大きめの出費だったが、こういう大事な時にお金が出せるよう日々質素倹約に努めているので痛くもかゆくもない(というのはちょっと盛った)。
それを機に、随分と長いこと使っていたレンタル三味線は返却。長年連れ添ってきたのもあって、ちょっと寂しかった。
ただ、新しい楽器はとにかく響きがいい。もちろん、グレードの高い楽器にはまるで歯が立たないけれど、レンタルの子と比べて音に深みがある。そして何と言ってもコンパクトなのがとにかくうれしい。今までは長いケースに入れて大変な思いをして持ち運んでいたが、この子なら肩にかけてどこにでも行ける。飛行機にも載せられるから、ついに自分の楽器を持って正月休みを迎えることができた。
実家は一軒家なので、音を小さくする「忍び駒」を使わずとも練習できる。本当に練習がはかどる。1月下旬には小田原で発表会があるので、それに向けてしっかり頑張ろうと思う。
ご興味ある方、ぜひお越しくださいませ。👇