装具に「補高」をつけるとき、気を付けること
こんにちは、義肢装具士のみうらです。
今回は足関節の背屈制限がある場合に検討することが多い「補高」について、注意点を挙げておきます。
過去にシューホンの角度に関する記事を書いたことがあるので、そもそも足関節に可動域制限がある場合にどのように角度設定したらよいのか?に興味がある方は、以下の記事を参照ください。
ひと言に「補高」といっても、加工の仕方によって3種類の「補高」があります。
①踵から踏み返しにかけて均一に高さを付加する
これは脚長差がある場合に、よく使われる方法です。装具に加工するよりも靴底で加工することが多いです。踏み返しから先は緩やかにロッカーをつけることで、歩きやすくなります。
踵から踏み返しにかけて均一に高さをつけるので、ヒールピッチが変わらず、前滑りの心配がないことが利点です。
当然ですが、足関節の背屈制限がある場合の補高としては意味がありません。
②踵から足先にかけて同じ傾斜で高さを付加する
足底全体が同じ傾斜角になるように補高をつける方法です。常に坂道に立っているような状態になるので、補高が高くなると荷重しにくく前滑りしやすいのが欠点です。
このような補高は、足関節の可動域制限に加えてMP関節にも可動域制限がある場合に使われることが多いです。
③踵から踏み返しにかけて同じ傾斜で高さを付加する
通常の足関節背屈制限に対する補高はこの方法が多いです。女性が履くハイヒールも同じようになっていますよね。
踏み返し(MP関節部)から先が平らになっているので、荷重がかけやすく前滑りも少ないのが特徴です。(補高が高いとやはり前滑りは防げませんが…)
ただし、この補高加工をする場合は、MP関節が十分に伸展できることが条件となります。
図の状態で、もしMP関節に伸展制限があれば前足部(図の赤斜線部)に過度の負担がかかってしまうのがわかりますよね。
以上が補高の種類と注意点になります。
補高加工を施すときは、脚長差解消のための補高なのか?足関節の可動域制限を補うための補高なのか?さらに、MP関節は十分に伸展するのか?をチェックしておく必要がありますね(^^)