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3分で読めるホラー小説【ただならぬもの】第二章:閉ざされた出口
「おい、どうなってんだよ!」ユウタが扉を激しく叩くが、返ってくるのは鈍い音だけだった。カズキも手伝って扉を揺らしてみたが、どんなに力を込めても開く気配はない。
「おかしい……確かに開けて入ってきたはずなのに……」カズキがつぶやく。皆の顔に焦りと恐怖が浮かび始める。
「どうするの? このままじゃ……」サエコが震える声で言うと、ミカが彼女の肩に手を置いた。「落ち着こう。どこかに別の出口があるかもしれないし、少し奥を見てみよう。じっとしてたって何も変わらないよ」
そう言われて、四人は廊下の奥へと進むことにした。廃墟の中は異様に静かで、自分たちの足音が不気味に響き渡る。まるでこの場所が四人を見張っているかのようだった。
やがて、カズキがある一室の扉を見つけて、恐る恐るノブを回す。錆びついた扉が重く開き、中は昔の診察室のように見えた。机の上には古びたカルテや薬瓶が散らばっており、何かの悪臭が漂っている。
「こんなところに何か手がかりがあるのか……?」ユウタが机の上を調べ始めたその時、不意にサエコが叫び声を上げた。「今、窓の外に誰かがいた……!」
「馬鹿な……この建物、森の中にあるんだぞ?」カズキがサエコを落ち着かせようとするが、サエコの顔は恐怖に歪んでいる。「本当よ! 白い服を着た人が、窓の外に立ってたの……」
ミカも窓の外を覗くが、そこには何も見えない。冷えた空気が流れ込んでくるだけだった。
「おかしいな……確かに見えたんだけど……」サエコが困惑した表情を浮かべる。皆が何かを話し出そうとした瞬間、廊下の方から再び足音が聞こえてきた。それは先ほどの足音よりも明確で、誰かが確実にこちらへ近づいてくるような音だった。
「ここに隠れよう!」ミカがとっさに提案し、全員が診察室の隅に身を潜めた。息を潜め、足音が近づいてくるのを感じる。やがて、廊下の外を誰かが通り過ぎる気配がしたが、部屋の中を覗くことはなかった。
「あれは……誰なんだ……?」カズキが恐る恐る顔を上げ、扉の隙間から外を覗く。しかし、そこには誰もいない。
「こんなの、まるで悪夢みたいだ……」ユウタが震えた声で呟く。皆の顔に限界を超えた恐怖が漂っていた。
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