腐れ書評3:梅図かずお【追悼】
グワシ、おれです。
と言うわけで、ツラツラと書き綴っていたところ、先生の訃報を知り、打ちひしがれながらもコチラを掲載したいと思う。
以下、以前よりツラツラと書いていたヤツであります。
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というわけで、第三弾にしてマンガの方に向かって行ったおれ。
早くね?既に破綻してんじゃねーの?という思いは片隅に追いやって、マンガも書籍だよねと寛大かつ公明な気持ちで対峙していただけると幸いである。
さて、梅図かずお先生を知っている方はたくさんいらっしゃると思う。
昔はダウンタウンDXなどテレビにもゲストで出ていたし、何よりあの赤白ボーダーにワシャワシャの髪型という出立ちで、トガりまくったキャラとして認識している方は多いだろう。
リアルタイムで連載されていたのはおれも知らんくらい昔のマンガだが、今読んでも実に面白いと思う。
初めて読んだのは小学生の頃で、「漂流教室」である。
詳しいことはいつもの如く書かないが、小学生たちが未来の地球にタイムスリップしてしまい、そこで様々な困難に立ち向かいながら生きていくというストーリーである。
タイムスリップものはいろいろな作品でやられていて、陳腐化した設定のように思うかもしれないが、梅図先生のオリジナリティはヤバい。
まず、"人"ではなく学校全体がタイムスリップする。
現在と未来を繋ぐ場所であり、舞台装置として機能する。
先生や用務員のおじさんなど大人たちもいるのだが、いろいろことが起こり、子供達だけで生きていくことになる。
(うわー中身言いてぇ、けど言えねぇ)
梅図先生はホラー(恐怖)漫画の第一人者でもあり、この漂流教室もハートフルなLOVE&ピースSFドキュメンタリー的なものではない。ガチガチのSFホラーである。
読むとしばらく放心するので怖いのが嫌いな方にはオススメしない。
ちなみに印象的なのは子供達だけの手術シーンと未来人との邂逅、母からのプレゼントのシーンである。
必要最低限のワードにしたので何のこっちゃかと思うが、気になったらぜひとも全巻読んでみて欲しい。
ちなみに原作派がドラマ版を見て非常に失望したということもあえて言及させていただきたいと思う。
同じ方向性だと「わたしは真悟」も面白い。
ストーリーも去ることながら、ニワトリが進化したチキン・ジョージなんて生まれ変わっても思いつかない。
(生まれ変わるならパンダになりたい。)
そして、梅図先生の描く女の子はかわいい。
かわいい子の「ギャーッ」「ウワーッ」は様々なところでパロディされているのでその元ネタを見ておくのもいいだろう。
※以前、伊藤潤二先生が、ホラーマンガに美少女は欠かせなく、ひたすら美少女を描く練習をしたというのも見た。
そして、たまにここでも書いている「まことちゃん」である。
ホラーとは一転、くだらなさ120%のギャグマンガである。
おれのギャグマンガ四天王を挙げるとなると、このまことちゃんとマサルさん、稲中、浦安鉄筋家族(初期)になると思っている。
今読むとコンプライアンス的に全ての話が発禁になるレベルで、昭和の自由な表現が遺憾無く発揮されたビチグソマンガである。
主人公は幼稚園児のまことちゃんで、その家族や幼稚園のお友らちとの1話完結型。
ホラーマンガで培ったリアルな筆致がギャグにも活かされている。
そこまで気合い入れる必要があるのかとも思うが、世界一ウンコの描写をリアルにしているマンガでもあると思う。
写実的なウンコ(なんやねんそれ)を見たければぜひ買い求めていただきたい。
一番印象に残っているのは、お中元かなんかのモナカのアンコを食べてしまいまことちゃんが奔走する話だ。
「アンコもウンコも一緒じゃーっ」というセリフは一生忘れないと思う。
(間違ってたらごめん、実家帰って読み直すわ)
また、ギャグマンガにありがちな荒唐無稽な設定(例えば宇宙人が出てくる、魔法が使えるなど)はなく、現実世界のお話であり、よくもそこまで話を広げられると感心する。
バスターキートン的な動きの笑いも、絵が上手いので説得力があり、セリフなしでも笑える話もある。
と、梅図先生のマンガはオリジナリティと、ジャンルを超え一線にいるクオリティ、未来への先見性がすごいと思う。
絵柄で読まず嫌いはせずに、読んでいただけると幸いである。
ちなみに以前、梅図先生が住んでいらっしゃる街にたまたま遊びに行った際、奇跡的に駅ビルでご本人に出くわしたことがある。
昔から、会ったらサインもらいたい、グワシしたいなどと妄想をしていたが、本当に出会ってしまうと声も出ない。
アクションに移せない。
生来の人見知り、ここに極まれり。
テレビで見たようにあの赤白ボーダーを着てらっしゃった。
また、テレビで見たよりもだいぶお年を召されていて、不謹慎だが、このチャンスを逃し今後お会いすることは難しそうだ…と悟ってしまった。
その街に行き、もう一度お会いしたい気持ちでいっぱいである。
サバラ。
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もうお会いするチャンスを失くしてしまった。
あの時の邂逅を、もっと活かせば良かった。
握手をお願いすれば良かった。
心よりお悔やみ申し上げます。
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