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発達障害の「擬態」をふり返る

前提として

自分の事に関して言えば、発達障害と医師の診断を受けたわけではありませんが、子ども時代から今にいたるまでを振り返り、また今現在の困り事からして、発達障害の傾向があると考えています。

「擬態」については、主に自閉症スペクトラム傾向にある人が、素で振る舞っているとコミュニケーションに不具合をきたすため、他者や周りのコミュニティに溶け込む目的で、健常者のような振る舞いをする事を指す、って感じですかね。

擬態をなかなかうまいこと身につけた経緯

私は小学校中学年くらいまではやんちゃな感じの子、それ以降大学生の前半くらいまでは、自閉症スペクトラムっぽい感じというか、あまり他者に気遣いのない自己中心的で冷たいタイプの人間で、よく不用意な言動で友達を傷つけたり不快な思いをさせていたと思います。人間関係の細かいトラブルが絶えなかったような感じです。

大学生の頃に美輪明宏さんブーム?のようなものが来て、「優しさ」「愛」であるとか、付随して「人間関係の古き良きマナー」みたいなものを説かれていて、その時に「人間関係には優しさや心配りが必要なんだ、これは自分に欠けている部分だ」と思い至り、コミュニケーションの取り方を変えていきました。

20年くらい前なので発達障害の概念も世の中にあまりなかったし、コミュニケーションに少し難のある人に対して面と向かって指摘したり改善を促す他者って基本的にはほぼいないと思いますし、自分に欠けているところや改善方法を他者から指南される体験は(マスメディアを通してという変化球ではありましたが)、レアなものだったと思います。
(美輪さんのスピリチュアルであったり懐古主義な考えの全てを肯定する訳ではありませんが。)

思い込んだらとことん突き詰めるタイプなので、全くやったことのなかったボランティア活動をしたりしてコミュニケーションの経験値を増やしていきました。
それまで自己中心的で他者に冷たいため人間関係にトラブルが起きがちだったのが、自分の在り方を変えることでコミュニケーションがスムーズに行くようになり、自分の中でカルチャーショックというかパラダイムシフトというか、大きな変換期でした。
(逆に人との距離を縮めすぎ、他人とお互いに干渉しすぎてトラブルになるという問題も出てきて、ちょうどいい人との距離感を掴めるようになったのはもっと後になってからですが。)

今にして思えば「コミュニケーションが上手くなった」というよりかは、20歳前後の女の子が笑顔で、一所懸命コミュニケーションを取ろうと頑張ってたら、周りもそれなりに応えてくれるよなぁ、ただ単純にそれだけだったかもな…って感じですが苦笑

ともあれ大学を卒業するあたりには「コミュニケーションが得意です!」と豪語しても憚られないくらいにはコミュ強になり、「人と関わる仕事がしたい!」とも思い、接客業に就きました。

コミュ障→コミュニケーションが得意になったと思ってたけど…

何回か転職もしましたが、その度「面接の得意さ」「専門技能+コミュニケーション能力のアピール」で比較的スムーズにくぐり抜けてきました。
すっかり自分は「コミュニケーションの得意な人間である」と自分でも思い込んできました。

と同時に社会に出てからの20年くらい、節目節目で精神科のお世話になってきました。
自分のいる業界がブラックめという事もあるのですが、環境やライフステージがストレスフルになってくると今でも適応障害を繰り返しています。

年齢を重ねたり適応障害を繰り返す事で、体力気力が減り、無理がきかなくなって最近思うのは、「コミュニケーションが得意になったと思ってたけど、擬態が上手くなって、自分すらも騙してただけだな。」という事です。

「得意」と豪語する、複数の人と密にコミュニケーションを取る必要がある場面に出ていった時とその後、めちゃくちゃ疲れている自分に、気づいてなかっただけだったなと思います。
その精神疲労も少なからず適応障害に繋がっているように思います。

なぜヘトヘトになるような疲労に気づかなかったかといいますと、20歳頃にコミュニケーションのやり方を変えた時の変化のインパクトがあまりに大きく、簡単にいうと「人と仲良くできるようになった、社会に馴染めるようになった」ことがすごく嬉しくて、かけているコスト(エネルギー)やマイナス面(疲労)が度外視されていたんだと思います。

もちろん、コミュニケーションを円滑に行えるのは、生きる上でとても大切です。自分も周りも気持ちがいいし、仕事であればそれを通して利益を生むこともできます。
そんな便利な道具ではあるけれど、それで病気になっていては本末転倒です。

これからは、「本当は一人でのんびりしたり考え事をしたりするのが好きだけど、テクニックとしてコミュニケーションを活用することもできる。ただしそれは本来の姿ではないのでめちゃくちゃ疲れる。なので極力そういう機会を進んで持たない。使う必要があった場合は、相応の休息を取る。」
ということを自覚の上でやらさせていただきたいと思います。やらさせていただきます。