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ハンターハンターのキメラアント編が最強に面白い理由を明確に語る~『王道』『2回目の方が面白い』

ゼブラックというジャンプ系の電子書籍に
HUNTER×HUNTERのカラー版があることを知ったので、
既に340話ぐらいまではモノクロ版で既読済みだが、読み返すことにした。
で、キメラアント編のラストまでまた読み終わった。
本当にキメラアント編はえげつねェな…。
読み返すたびにこれより面白い漫画あるのかって感服してしまう。
もし俺が漫画家目指す人生歩んでたらハンターハンター読んで「勝てる気がしない」つって挫折するんじゃないかってぐらい。

もう、我慢ができなくなってしまったので今回は
キメラアント編がなぜ面白いのかを語るために筆を走らせることにした。
正直、キメラアント編といえばおそらくハンターハンターで一番人気で評価され尽くしているシリーズなので今更語るのもアレなのだが
今なら誰よりもこの面白さを明確化できる気がしたのだ。

まず、ひとつ大事なことを話しておきたい。
キメラアント編は2回目に読んだ時のほうが面白い。
その理由についてこれから伝えていきたい。

当然、今回の記事はある程度ネタバレになってしまうので
まだ読んだことが無い人は避けた方がいいと思うけど
前述したように2回目に読んだ時のほうが面白いので
一度読了済みの人も、この記事を読んだら是非読み返してみてほしい。


2回目に読んだ方が面白い

まず、キメラアント編を初めて読んだ時
たしかに噂通りめちゃくちゃ面白かった。
ちなみに実は自分はリアルタイムではなく2年ぐらい前に初めてキメラアント編を読んだ。

で、面白かったんだけどなんか思いのほか読んででモヤモヤしていて
そこまで入り込めてない自分がいた。
この理由はおそらく、キャラに愛着を持てていなかったことが一番大きかったのではないかと思う。
まずもともとのメインキャラがゴンとキルア以外全然出てこない。
レオリオとクラピカが一切出てこないしヒソカもこの時なにしてんのってかんじだし旅団はちらっと出てきたけどおあずけだし
モラウのおっさん出番多すぎだろってぶっちゃけ少し嘆いてた。

あとは理解が難しい部分がちょくちょくあった。
選別のくだりとか目的とか、あの描写はどういう意味だ?ってなるシーンがあったりとか。俺自身、理解力が低く把握するのに時間がかかりやすい方だからというのもあるが。

だが、少し1回目の記憶が薄れてきた2年後にキメラアント編を改めて読み返すと、感じ方がだいぶ違った。
一度読んでいるからこそ、最初は理解が難しかった部分もある程度すんなり入ってくる。また、2回も読んでると当時はそこまで好きではなかったキャラにも愛着が湧いている。
例えばシュートなんかは初見はさして思い入れもなく印象薄かったんだけど
ユピー戦とか改めて読むとかなりアツい奴で、むしろ好きになった。
それにキメラアント編は伏線や、登場人物の成長描写が多い。
それが2回目だと見て取れるようになるからより楽しめる。
ハギャがレオルに改名しているとか、
ユピーが咳したり鼻血出したりしてるところで薔薇の毒の片鱗があったりとか。初めて読んだ時はハギャって誰だっけ?とかちょっと混乱してた部分もあったりしたので。
なんならゴンが死後強まる念のピトーに右腕奪われるけどこれカイトと一緒になれたことだけでなくピトーがゴンと取引してる時に左腕折ったことすらそれのお返しの伏線だったのか?みたいにあらゆる構成が緻密にすべて繋がり合ってるようにさえ思える(さすがにこじつけ)

自分は初見の時に少し理解に苦しんだり
モヤモヤしながら読んでいてどこか置いてけぼりを食らっていた感じになっていた気がする。しかしだからこそ初回の読後感や記憶を早めに失うことができ、2年も経つともうシナリオを絶妙に忘れていて新鮮な気持ちで読み返すことができたのである。

もちろんこれらの感じ方や忘却の度合いに個人差はあるが
皆さんも2年後ぐらいのいい感じに色々忘れたところで2回目に挑戦するのは如何でしょうか。

キメラアント編の面白さの最たる要因

結局いまだ何が面白いのか伝えてないままここまで来てしまったので本題。
私が考えるキメラアント編の面白さの最たる要因を発表したい。

それは、キメラアント編が『王道』であること。

どこがだよって思った人もいるかもしれない。
ハンターハンターといえば残酷かつ唐突に読者が油断していたところで主要キャラクターを殺害したり、グリードアイランドのような他のストーリー漫画には無い様な凝った設定のシナリオがあったり休載したり
確かにひねくれた漫画ではある。
しかし、実はかなり少年漫画的な展開が多いのである。

・味方の死によって怒りが最高潮に達し、その時点ではありえない強さにパワーアップするクリリン展開
→カイトの死による怒りによりあらゆる理屈を無視した成長を遂げるゴン

・次攻撃食らったら死ぬという絶妙なタイミングで味方が突然助けに来るというダイ大やガッシュでよく見かけるやつ
→ナックルをキルアが落雷(ナルカミ)で助ける

・敵が味方になったり、情けをかけたりする
→コルトやメレオロン、イカルゴが仲間に

・総力戦
→キメラアント編に関わるすべての登場人物に役割・出番があるオールスターバトル

予想外の展開が沢山起こり得るようなハンターハンターだが、
実は「次のコマでこうなってほしい」という願いがわりと叶うことが多い。
ユピーがナックルにトドメ刺さなかったりしたシーンとかもそうかも。
意外なほど、冨樫は読者の予想を「裏切ってこない」。
むしろ期待通りの展開を提供してくれる。
だからキメラアント編はアツいのだ。
登場人物が実はみんな、「真っ直ぐ」なヤツが多い。
ゴンも、キルアも、ナックルも、シュートも、モラウも。
なんならメルエムも。

個人的に、読者の予想を裏切り続ける漫画というのは
それはそれで凄い漫画ではあるが、読んでてしんどいなと思う。
「こいつもっと活躍してほしかったのにな」というキャラに全然戦闘シーンがなかったり、登場人物の目的に納得性がなかったり理解できなかったり。
あと、読みにくかったり設定がごちゃごちゃしてわかりにくいのもきつい。

キメラアント編は難解な部分もあるが、ゴンさんのように理屈とかいったん抜きにしてアツい!みたいな展開が多いから難解な点がどうでもよくなるのが魅力なのだ。

印象に残るどころの騒ぎじゃないシーンや名言の多さ

キメラアント編の凄いところ。
いちいち「漫画史に残りすぎ」なのである。

漫画史に残る、というのはどういうことかっていうと
漫画の歴史に刻まれるくらい、インパクトが強く数多くの読者(下手すれば社会的ニュースになるレベル)に非常に大きな印象を与え、記憶に残り続けるシーンがあったということ。

具体的に挙げるとすれば、以下のシーンになるだろう。

  • ゴンさんのくだり:当時2chで何度もネタにされるほどの衝撃を与え、なんならハンターハンターを読んでない人もゴンさんだけは知っているという状況を作り出した。それはもはや社会現象レベル

  • メルエムの最期:絵が一切なく吹き出しの会話だけで綴られるコムギとメルエムのシーン。そして最期のあまりにも美しすぎるコムギとメルエムの一枚絵。このラストだけ先に知ってハンターハンターを読み始めたという人もいるのではないか

  • 感謝の正拳突き1万回と音置き去り:あまりにも有名なネテロ会長のくだり。初見で一生忘れることのできないインパクトを与える非常にキャッチ―なフレーズで、汎用性が高いのでこれらはたとえば配信のコメントとかでよく大喜利的にネタにされることも多い。

  • 休載:これは漫画自体のシーンでもなんでもなく冨樫自身のハンターハンター連載における問題だが、そもそもこの長期休載というもの自体が世界中の人の人生を動かしているということ自体が凄いし、ハンターハンターの代名詞かつネタとなっているというのが圧巻である。そして連載が再開される度に大ニュースになる。ここまで話題性の塊のような漫画があるだろうか。

上記以外にも、とにかく印象に残るシーンを挙げたらキリがない。
精神的負荷によりハゲるノヴ、精神的負荷によりハゲるウェルフィンとまさかの一言、とてつもない絶望感を与えた初登場時のピトーの強さ、プロヴ―ダにトドメを刺せないイカルゴ、ブラックウィドウ化したパーム、ネテロのハートマークなどなど。。

そしてやはり、「名言」も多い。
印象に残るシーンや台詞があること、というのが面白い漫画の条件のひとつだと俺は思う。キメラアント編にはそれが多すぎる。
そしてそれを狙っている感じがしない、いや正確には狙っている部分もあるのだろうけどそういう風に見せず自然な所作で漫画を描ききっている様に見えるのは天才冨樫の力で、誰にもマネできない部分である。

また、自然に見えるのは
キメラアント編には「シリアスな笑い」が多いからである。

前述したノヴのハゲとか、ゴンさんとかがまさにそうなんだけど。
別にギャグシーンじゃないのに笑えたりネタになったりするところ多いよね。なんならキメラアント編が凄いのは全編通してほぼ真っ向勝負のギャグは無いのである。いやノヴのハゲは流石に笑いどころだとは思うけど。
ジョジョでよくあるやつだが、こういう「ネタになる」というのも面白い漫画の条件の一つだと思う。

また、忘れてはならないのが
そもそも絵が上手すぎ、かつ魅力的なところ。
ハンターハンターというダークな世界観の絵は
冨樫の絵だからこそ表現できるし、
数々の名シーンは冨樫の画力あってのこそ、というのもある。
ネフェルピトーをはじめとする、魅力あるキャラデザインも見事。

ハンターハンターという漫画は、
冨樫先生に描いてもらえて幸せだった。
そんな感じがします。

なんかこの漫画終わったみたいな言い方してるけど
ハンターハンターはまだ連載してます(休載中だけど)。
でもこれで最終回でもよかったって思わせるくらい
キメラアント編は構成やら伏線やら顛末が緻密で神がかっていて、
あらゆる面白い要素がこれでもかというぐらい詰まっている。
スマブラのように贅沢なお祭りのようなシリーズだった。

というわけで、
キメラアント編が面白い理由。
おわかりいただけただろうか。

また、ちょっと書き切れなかったので
そのうち俺がキメラアント編で好きな台詞をまとめた記事を
別途書きたいと思ってます。


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