ソーシャルPM手法の勉強会 Vol.3〜 ビジネスモデル 〜
こんにちは。ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会の浅山です。
今年の1月から隔週で行っているソーシャル・プロジェクトマネジメント(以降、SPM)手法の勉強会について、今回はビジネスモデルについてご紹介します。
ソーシャル(社会課題解決)で「ビジネス」という言葉が出てくるのに違和感持たれましたか?
しかし、ここで言うビジネスモデルとは事業の形を考えることで、「事業」とは価値を創ることです。そして価値とはお金の話だけじゃなく社会価値も含まれます。つまり社会課題を解決することは事業であり、事業を考えるときは行き当たりばったりではなくモデルを考えるのが重要です。
そしてお金が一番大事じゃなくてもお金は必要です。NPOだって職員さんに払う給料や事務所の家賃などお金は必要です。ちゃんと支出に対して収益を上げられるかを考えるのも大事です。
SPM研究会の考える価値ー共有価値・社会価値・経済価値の関係図
ソーシャルインパクト(SI)
活動や投資によって生み出される社会的・環境的変化のこと社会的変化:平等、生活、健康、栄養、貧困、安全、正義
環境的変化:環境保護、エネルギー利用、ゴミ、環境衛生、資源の枯渇、気候変動
ソーシャルキャピタル(SC)
社会的ネットワークとそこから生まれる信頼、規範といった、共通の目的に向けて効果的に協働活動へと導く社会組織の特徴のことネットワーク:近所での付き合い、社会的つながりなど
信頼:見知らぬ人への信頼、近所の信頼、友人・知人への信頼、職場の信頼
規範 :互酬性の規範(地域活動の参加、NPO・ボランティアの参加)
ビジネスモデル
ビジネス(事業)のモデル(形)がビジネスモデルであり、事業とは「ある価値を実現することを目的とした活動」のこと
ビジネスモデルの表現方法
当研究会主催のワークショップや、過去に大学で教える際に使用実績があるのが下記の5つのツールです。ここではこれらのツールの中で、当研究会の講義やワークショップでよく使う(2)リーンキャンバスと(3)ピクト図解について説明します。
(1)ビジネスモデルキャンバス
既存のビジネスを分析・改善するときに用いる。
(2)リーンキャンバス
新規ビジネスを創出するときに用いる。
(3)ピクト図解
シンプルな部品で簡単に価値の交換を表現する手法。
(4)CVCA(Customer Value Chain Analysis)顧客価値連鎖分析
価値の連鎖に着目した分析が可能な手法。
(5)WCA(Wants Chain Analysis)欲求連鎖分析
欲求の連鎖に着目して分析が可能な手法。
(ビジネスモデルの表現方法の比較)
リーンスタートアップ
「最低限のコスト」と「短いサイクル」で事業を立ち上げる手法のことで、
「最低限のコスト」とは、時間、時間、労力、資源、情熱、「短いサイクル」は、仮説検証にかける期間のことになります。
MVPを用いたピボット(方向転換)
事業を立ち上げたら、MVP(Minimum Viable Product(最小限の製品・サービス)を考えて、ちょっとずつ試していくのが大事となります。
また、MVPにおいて大事なのが、検証してだめだったら、方向修正(ピボット)することです。
ピボットは、失敗ではなく、成功への学習ステップとなります。
エベレット・M・ロジャーズのイノベーター理論
アーリーアダプターとアーリマジョリティの間には壁(キャズム)があり、そこを越えないとものが拡がっていかないという考え方となります。
リーンキャンバス
「Running Lean実践リーンスタートアップ」の著者で起業家のアッシュ・マウリャ氏によって提唱されたフレームワークで、スタートアップのビジネスモデルを可視化するためのツール
リーンキャンバスでは、提供する価値を中心に、左側に製品・サービス、右側に市場を定義し、製品・サービスと、市場のフィット、いわゆる、プロダクトマーケットフィットを検証します。
ジョブ理論
顧客と課題を深く掘り下げるときに、参考になるのが、「ジョブ理論」です。
これは、顧客にはやるべき「ジョブ」があり、それを解決しようとしたときに、特定の製品やサービスを「雇用」する、したがって、顧客の置かれた「状況」が、何を「雇用」するかを左右する、という考え方です。
製品やサービスは、こういったジョブの要素を考慮しなければなりません。
ジョブ理論をリーンキャンバスの流れで話す理由は2点あります。
①顧客のジョブを意識することでリーンキャンバスの中でも大事な「顧客」「課題」の解像度が上がります。
②ジョブは動詞表現です。体言止めの記載は解像度が下がります。動詞で明確に書くことで「課題」が明確になります。
リーンスタートアップまとめ
市場開拓と製品・サービス開発を同時に素早く行い、素早く試行錯誤しながら精度を高めマーケットに広めていくのがリーンスタートアップの特徴です。
ピクト図解
ピクト図解は、誰が(Who)誰に(Whom)何を(What)いくらで(How much)の「3W1H」に着目し、”経営者の視点”でビジネスモデルをデザイン(設計・創造)する方法論です。
感想
業務でビジネスモデルキャンバスについて、教育を受けたことがあるのですが、他の手法については、ほとんど馴染みがないため、とても興味深い内容でした。
この記事を読んで、少しでもソーシャルプロジェクト研究会に興味を持っていただけると幸いです。
様々なバックグラウンドを持った方と交流ができますし、知識の幅も広がると思います!
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