#3 【DAO立ち上げのゼロからイチ】〜DAOにおけるタスクと報酬
こんにちは!PM DAOで、DAOの組織設計をビジネス面でサポートしている@KenBizです。
PM DAO立ち上げに学ぶDAOよもやま話の連載第3回のテーマは、「DAOにおけるタスクと報酬」についてです。
PM DAOでの運用
まずはPM DAOではどのようにタスクと報酬が管理されているかをご紹介します。
第1回でも少し触れましたが、PM DAOではDeworkによりタスクと報酬が管理されており、報酬はDAO内で流通するPM DAO Tokenによって支払われます。
(👇今、どんなタスクがあるのかどなたでも見ることができます)
仕組みとしては、Dework上にタスクを作成し、そのタスクが完了した後にReviewerがそれを承認すると、あらかじめ決められたPM DAO Tokenがタスク実施者に支払われるという極めてシンプルなものです。
タスクはPM DAOのためになると思われるものであれば原則何でも良く、DAO内で合意を得られるものであれば誰でも作成することができます。自身で実施するタスクでも構いませんし、誰かに依頼するタスクでも大丈夫です。
また、報酬もタスク作成者が設定できます。水準としてはおおむね作業時間15分あたり1 PM DAO Token程度が妥当という個人的感覚はありますが、DAO内で合意できればいくらに設定することも可能です。
PM DAOにおけるTokenomicsについては追って別の回で詳しく紹介しますが、PM DAO TokenはDAO内の意思決定に関するガバナンストークンとして機能するほか、将来的にはPM DAO NFTのmintにも使用出来るようにすることを見据えています。
この記事の執筆時点では、ざっくり総額300PM DAO Tokenがタスク紐付きでDAOメンバーに支払われています。
また、PM DAO Token以外にも、Monthly Awardなどで特別な貢献が認められたメンバーには、PM DAO NFTが直接配布されるケースもあります。
https://opensea.io/collection/pmdao-nft
(👆これまで配布・ミントされたNFT)
DAOにおけるタスクと報酬の考え方
さて、仕組みだけを解説するとシンプルではありましたが、実際の運用を見ていると、DAOにおけるタスクと報酬についてはもう少し考えなければならない点があるように思えます。
①タスクの適切性
先ほど「タスクはPM DAOのためになると思われるものであれば原則何でも良い」と書きましたが、実際にはDAOが活発に動くためには、ある程度具体化されたタスクをあらかじめ誰かが準備した方が効率的であるように思います。
これは、第2回の連載でも書いたように、抽象度の高い上位概念的な問題や課題解決の方法を考えることが、必ずしも全てのメンバーに可能というわけではないことによるものです。
DAOには多様なバックグラウンド・技能を持ったメンバーが集まります。中には上記のように大所高所の視点から大きな方向性を考えることが得意な人もいれば、もっと現場的にプロダクトなどを手を動かして作るのが得意な人もいます。ここに貴賤は一切なく、方向性を考える人も手を動かす人も平等という意味で、DAOにこの概念的「上位」「下位」のタスクが存在することに問題はありませんが、それぞれが実施する作業は、それぞれの強みに合ったものである必要があります。
DAOの性質にもよるのでしょうが、たとえばPM DAOの場合はDAOが目指すゴールが割と抽象的であり、「結局作業として何をすればいいのか?」が一見して曖昧です。その一方で、メンバーとしてはもう少し実務側で手を動かす方が得意な人たちが多いように見えます。
こうした中では、ただDAOの目標とDeworkだけを置いておいても物事が進まないため、抽象的なゴールに向けて、個別のタスクを具体化し、各メンバーがタスクに取り掛かりやすい状態に仕立て上げておくことが必要です。
使い古された考え方ではありますが、DAOの目標に向けての活動が、「SMART」なタスクになっているとわかりやすいのではないでしょうか。
たとえば私がこの記事を執筆することもPM DAOのタスクの一部です。これは
という形で割と明確なので、比較的誰でもパッと作業イメージが湧きやすいですね。一方で、「プロダクトマネジメントに何らか変革やインパクトを与える」という上位の目標をタスクとして設置しても、何に取り組んでいいか分からないわけです。
このようにそもそもタスクを上位目標から分割・具体化していくことも一つのタスクであると考えてもいいかもしれません。
タスクが具体化されていればいるほど各メンバーが自身の強みを活かして活動できるようになりますし、スマートコントラクトに基づいて自律的に動くことが容易になっていくものと考えられます。
②報酬の妥当性
報酬を考えるにあたり、単純に1タスクあたりPM DAO Tokenをいくらもらえるか?という意味での妥当性の論点は一旦置いておきたいと思います。
PM DAO Tokenの価値は、Tokenomicsに基づき外部経済との関連によって影響されるため、その部分抜きでは本質的な議論ができないからです。この点は第5回の内容で触れたいと思います。
ここでは、成果物の質・所要時間と報酬の関係性、いわゆるインセンティブ構造について考えてみます。
基本的にタスクは早く良いものが出来ること(これを合わせて「品質」と呼んでみます)が望ましいわけですが、DAOのように多様なメンバーが集まる組織において、成果物の品質はタスクを実施するメンバーによって大きく異なります。
一方で、PM DAOのようにそもそもあらかじめタスクに報酬が紐づいている場合、良いものを作っても、または早くものを仕上げても報酬額は変わりません。これは、最低限の成果物しか出さないという「サボり」構造を誘発します。
これについては、例えば期限よりどれだけ早くタスクを完遂したかによって元々の報酬に倍率をかけていったり、reviewによって質が高いと見なされたものには追加報酬を付与するなどのプログラムを設定していくことが考えられます。
この水準をどの程度に置くことが妥当かについては、メンバーによって考え方が異なる部分かと思います。ここでの恣意性を無くし、DAOとして合理的なレベルに落とし込むという意味では、この部分はメンバー投票で平等に決定することが重要になりそうです。
(PM DAOではこのような観点も含めて報酬設計を継続的にアップデート検討中です。)
PM DAOではこれまで書いたような報酬管理を一部属人的に・手動で実施しています(たとえば成果物のreviewや支払いの承認など)が、真の意味でのDAOとして稼働するにあたっては、スマートコントラクトによりこれらがフラットに自律駆動していく必要がありますし、PM DAOもその方向に向かって動いています。
これを実現するにあたって、①と②が適切に整理されている必要があるように思われます。より明確なタスクに対する貢献が自動的に処理され、インセンティブ部分についても十分に評価されていることが誰からみても透明・明白であることが重要になるものと考えられます。
以上が第3回「DAOにおけるタスクと報酬」について記事でした!
【DAO立ち上げのゼロからイチ】は以下の内容で連載しています。
#4:個々のヒトの集合体としてDAOを観察する
#5:PM DAO NFT経済モデルによる革新的挑戦
#6:今後のPM DAOはどうなる?
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