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外界との接触を断ちただひたすら自分と対話する内観療法を体験して、問題の原因は自分にこそあったと痛感した話

三番目の息子が中学生の途中から不登校となり、いろんな私設学校や公的機関など何かいい道はないかと探していた時、「内観研究所」という施設に行くことにしました。

内観を知っている方は少ないとは思うのですが、以前弟が高校生の時に、当時の先生に薦められてお世話になったことがあったので、行くことへの違和感はありませんでした。

内観療法では、1週間外界との接触を断ち、ただひたすら自分を見つめなおします。
寝る以外は、部屋の四隅にある屏風で囲まれた畳1畳ほどのスペースで過ごし、起床は5時で掃除にはじまり、21時の就寝時間までテレビも新聞もなく、参加者同士が話をすることも一切ありません。

そこで考えるのは、

「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」

両親や配偶者・こども等に対して自分がどうだったかを、幼少期から順を追って、この3つについて思い出していきます。

そして数時間ごとに先生が来られて、思い出したこと、気づいたことを話します。
優しく包み込むように話を聞いてくださる先生は、これまでに会ったことがないほどきれいで澄んだ瞳をしておられました。

先生以外とは言葉を発しない、ただひたすら自分との対話をする、まさしく内観です。

それを毎日毎日くりかえしていると、

いかに自分がたくさんのことをしてもらい
何も返していなかったか
たくさんの迷惑をかけたか

に気づきます。

どれだけ周りの人に大事にしてもらっていたか、と気づくことは当たり前なのですが、何より、私がどれだけ身勝手な母親だったかを思い知りました。

自分では深い愛情を注いでいたつもりが、息子に、無自覚のまま己の価値観を押し付け、コントロールしようとしていたことに気づいたのです。

息子とは違う階で、一度も会うことはなかったのですが、時折先生が様子を伝えてくださって、まだまだ心を覆う殻は固く、ようやく小さな割れ目から少しずつ感情が見え始めたと聞いたときは、涙が止まらなくなりました。

不登校の息子に問題があったのではなく、私にも、いや私にこそ問題があったのだと。

期間中は、先生以外話すこともなく、楽しみといえば3度の食事で、とにかくごはんが美味しかったですね。
ただ食事中は、アルコール中毒など内観体験者の話が延々とスピーカーから流れ、泣きながら食べたこともありました。

結局、息子は5日目でリタイアを申し出、7日間は完遂できませんでした。
家族は、「また途中で投げ出した」と非難しましたが、私は決してこの経験は無駄ではなかったと確信しています。

そしてもう一つ驚いたのは、5日間とはいえ、外界の様々なモノ・音・刺激をシャットダウンしてきたからか、五感はとても敏感で、見るもの・聞くものすべてが新鮮に見えたことです。

中でも、帰りの駅のコンビニに立ち寄った時の衝撃は忘れられません。
明るい照明の中、店内には楽し気な音楽が流れ、所狭しとたくさんの商品が並べられ、入ってくる情報の多いこと。

私たちが生きている世界は、なんて誘惑が多いものにあふれているんだろう
こんな中で、自分を律し生きていくことはどれだけ大変なことだろう

と思ったことを鮮明に覚えています。

結果として、その経験が息子にどのような影響を与えたかは、私には知る由もなく、関係がすぐさま良好になったわけではありません。

ただ、息子だけに原因があるのではないと気づき、私自身が変わろうとすることで、その関係に変化が起きたと実感できたのは、何年も経ってからのことです。

その後算命学を学び、鑑定士となりましたが、私が家族鑑定にこだわったのは、この時の経験があったからかもしれません。

鑑定依頼の内容は、そのほとんどが家族の問題で、子どものニートであったり、両親との不仲であったり様々です。
そして、実は問題を起こしているその人だけが悪いのではなく、複雑にお互いの目に見えない力が影響しあっていたということが少なくないのです。

そのあたりのお話も追々書いていきますね。

私がお世話になった内観研究所はこちら


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