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キャッチボールで剛速球を投げていた私が試されているという話 【エッセイ】

私は待つことが苦手だった。

相手にボールを投げて、帰ってくるまでの時間が長いとイライラする。
そして、待ちきれずに、次のボールを投げてしまう。
また、時には、ボールはもう帰ってこない、と早合点する。
 
コミュニケーションはキャッチボールだ」と、ある本に書いてあった。
ボールを投げる。受け止める。そして、ボールを返す。
それを、何度も何度も繰り返し、お互いを分かり合い認めあう。
 
「相手に対して、優しいボールを投げていますか?」
と書いてあるのをみて、ギョッとした。
特に元夫や、息子たちには、剛速球を投げていたように思う。
それも、力いっぱい、なんなら念を込めて。
 
投げられた方はたまらない。
返そうかな、、、と思った矢先、次のボールが投げられる。
その上、剛速球だから受けるのもパワーがいる。
だんだん疲れてくる、嫌気がさす。
そして、返すことをやめるか、受けない。
 
人によって、ボールを受け取ってから返すまでの時間はまちまちだ。
多分、私は、その時間が短いほうなんだろう。
っていうか、短い

私の場合、うまくいかなかった原因のほとんどは、相手と私との、待ちの時間の感覚のズレだと思う。
そして、そのズレによる行き違いから、豪腕になっていた私。
そのことを自覚するようになってからは、随分と待つ時間が長くなった。
 
先日、私はあるボールを息子に投げた。
私としては、極力優しく投げたつもりだ。
けれど、2日経ったが、まだ返ってこない。

なんのアクションも起こさないのをみて、
「忘れてとるんとちゃうんかいぃぃ!」と、むずむずしてきた。
実際、次のボールを投げそうになっている。
 
待たされることにも意味がある、と思う。
その間、もう一度自分を振り返る時間があるから。
そして、物事にはタイミングというものがあるから。

分かってはいるが、が、しかし、、、
あんまり待たされると、次に投げるボールは、やはり剛速球になりそうだ。
いや、魔球かもしれない。
 
きっと試されているんだろう、本当に私が心の底からわかったのかを。
優しいキャッチボールができるのかを。

とはいえ、いつまで待てるのか、、、己との闘いは続く。
、、、頑張れ私。


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