トッポ・ジージョ(124)
ようやく夏が終わりそうだ。とにかく今年は暑かった。結構早い時期から暑かったが、いつから暑かったかも思い出せない。例年なら一日くらいは”今日はいつもより涼しいね”なんて思える日もあったように思うが、今年はそんな日はまるで無かったのではないだろうか。例え雨が降ったとしてもサウナのように蒸し暑く、不快指数はうなぎのぼりに上がった。昼夜限らず外を歩くだけで体が熱くなり、水分補給しないと命取りになる。さらに野外でのイベントごとでは必ず救急車に世話になる者が出るし、何もない日でもあちらこちらで人が倒れていた。とにかく異常に暑かった。その夏ももうすぐ終わる。ではなぜこんなに今年は暑かったのか。調べてみるとエルニーニョ現象が原因らしい。そしてエルニーニョと聞いて筆者の頭に浮かんだのはトッポジージョである。
トッポ・ジージョとはイタリア人形劇のキャラクターで、ミラノ生まれのネズミの男の子の物語である。主役はもちろんそのままトッポ・ジージョであり、トッポが姓でジージョが名。ジージョは愛称で本名はトッポ・ルイージだそうだ。日本でもアニメで放送されていたのだが内容は全然違い、キャラクターを使った二次創作のようなものになっていた。因みに、内容は全く覚えていない。思い出そうとYouTubeなどで動画を探してみたが、権利関係が厳しいのかはたまた誰も興味がないのか、お目当ての映像が見つからない。手がかりは頭の片隅に”トッポジージョ〜♫✨”というメロディが微かに残っているのみである。
そういえばトッポジージョという遊びがあった。友達とやったのか兄とやったのかは思い出せないが、とにかく馬鹿な遊びで何が楽しいのかわからない。大人には絶対に理解できない遊びであり説明するのも馬鹿馬鹿しいが、もしかしたらやりたい方もいるかもしれないので、やり方だけは伝えておこうと思う。ただ男子限定の遊びなので、女性の方は申し訳ないが想像するだけに留めておいて欲しい。
単純に説明すると、トッポジージョがやっていたようなことをして、トッポジージョになりきる、それだけである。トッポジージョはネズミなので、とても身軽である。そのため階段を下る時にいちいち段を踏まない。階段の手すりのところを滑り台のようにツルーーっと滑って下るのだ。これを真似するのがトッポジージョという遊びだ。そういう階段の手すりに跨り、ツルーーっと滑り台のように下る。子供の体重だから可能な遊びではあるが、大変危険なうえ行儀が物凄く悪い。これだけだと別に馬鹿馬鹿しくもなんともないが続きがある。実はこの遊び最大の特徴は、滑ることではない。滑った先、階段の手すりの一番下のところにある何らかの突起に股間を強打することである。「トッポジージョ〜♫✨」と歌いながら階段の手すりを滑り台のように滑り、突起物に股間を強打し悶絶する、これである。今思い出しても何が面白いのかわからない、子供にしかわからない、そらも一部の子供にしかわからない楽しさがあるのかもしれない。
まだまだ残暑が厳しい。天気予報を見ても向こう一週間は30°越え、真夏日である。水分補給は欠かせないし、水風呂も続けなくてはいけない。とはいえもうすぐ、もうすぐ夏が終わる。いやもう早く終わって、お願い。
この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com