【バックギャモン】クローズアウト後の進行

今回は首尾よくクローズアウトできた後の進行について紹介します。有利な状態で1枚以上打ち上げてクローズアウトするとかなり優勢なのですが、優位をより拡大するためにどのようにベアインまで持っていけばいいのかを考えていきます。
※今回は「ベアイン」までの話です。上がり方については検討しません。

「クローズアウトしたら勝ち」ではない

この認識を間違っていると選択を誤ります。確かにクローズアウトできればほぼ勝ちですが、勝ちではありません。「クローズアウトしたら何をやっても勝ちでしょ」と考えてはいけません。進め方がまずくて負けることもしばしばあります。もちろん正しく進めても確実に勝てるわけではありませんが、少なくとも正しく進めないよりは勝ちやすいです。今回はクローズアウトして優勢なところからより確実に勝ちへ近づけるような指針を示すためのものとなります。

検討

スタート局面(図1)

1枚打ち上げてクローズアウトできる3の目を振りました。ここから正しい進め方を考えます。

アウターから後ろに駒が残っている場合の進め方

アウターから後ろに駒が残っている場合の指針は「ゾロ目を振った場合のケア」です。ゾロ目を振ってクローズアウトの形が崩れないこと、大きなゾロ目を振ってブロットが発生しないことを考えます。

スタート局面の図1で32を振りました。3でクローズ圧とすることは確定。2は「後ろを動かせば」どちらでも大丈夫ですが、15/13にすると何ゾロを振っても安全にできるためこちらの方がわずかに優ります(20/18とすると3ゾロで崩れる)。

(図2)

6では20/14と出しておきましょう。基本的に大きな目を振ったら後ろから動けばOKです。1の目は20/13としておいても次の1ゾロは助かるので問題ないでしょう。20/13がベストです。

(図3)

13から2枚行くか、13から6ポイントへ1枚行くか、13から1枚下ろして5ポイントを1枚動かすか、です。説明は後述しますが、5ポイントのスペア1枚を動かすのは悪手ですのでここでは排除します。ここからは「6ゾロを振った時の形」を考えます。基本的には6ゾロを振って割れない形を選んでいくことになります。13/6としてしまうと次に66を振った時に割れてしまうことがわかります。

図3から66を振ると6ポイントに1枚残る。

逆に13ポイントから2枚下ろすと66を振っても割れません。

ここではこの差の分だけ、13/9 13/10が優れています。

インナーへ入れるときの考え方

(図4)

入れるときの原則論は「良い形で入れよ」「6ポイントへ入れよ」です。良い形で入れることは勝率を上げることになり、6ポイントへ入れることは無駄なく上がれることから上り枚数優先、つまりギャモン率を上げることに寄与します。ではここでいう「良い形」とは何か?具体的には以下の形を目指します。

したがって、10/6とするのはほぼ確定と考えて良いでしょう。問題は2の使い方です。ここでもう1つのポイントがあります。6ゾロを振った後でいい形が残ることを考えますことです。2の目は9/7、6/4、5/3の3パターンあります。

(図4-1)9/7とした場合
(図4-2)6/4とした場合
(図4-3)5/3とした場合

原則的に「3ポイントから先に行かない手があればその手を選ぶ方が良い」です。3ポイントから前に置いてしまうとたいして枚数を上がれないまま後ろが相手ギャモン率が下がります。また前が詰まって動きが制約されてしまうので勝率もなかなか上がりません。したがって図4-3の形は選びません。
問題は図4-1と4-2の評価ですが、それは66を振った後の形になります。図4-1から66を振ると形が極悪になります。

この形は「後ろから3枚2枚」で悪い形となります。この形を許容できるか、というのが問題ですが、この図の場合はダブルが飛んでいる、つまりギャモン勝ちがあるため、どちらでもOKです。大きなゾロ目を振ると形が悪くなりますがそれだけと考えればギャモン率の高い図4-1を選ぶ、も十分にあります。勝率が一番高いのは図4-2の形で、DMPならばこちらを選ぶべき、ギャモンゴー(ギャモンが欲しい場合)であれば図4-1でもいいでしょう。難しければ「クローズアウトしていて、あまり駒が567にある形は悪い」と覚えてしまって10/4とする、でも問題ありません。

参考までに、クローズアウトの悪い形も示しておきます。
・インナーにしか駒がない状態で、後ろから「3枚、2枚」の形。3ポイントか4ポイントに3枚目があれば緩和される。

・アウターから後ろに1枚しかなく、自陣インナーが後ろから「2枚、2枚」の形。最後尾が自陣に近いほど悪い(6ポイントに置くと前図に戻る)。

共通しているのは「他に手があるのにローポイント(3ポイントから前)に動いてしまうと起きやすい」ということです。クローズアウトだけで12枚の駒を使っており、残りの余裕は3枚しかなく無駄にできないため、ほかに手があるのにローポイントへ寄せることは避けるべきです。ローポイントへ進めてしまうとクローズアウトできても悪い形を作らざるを得なくなることも多いので要注意です。
※今回は「クローズアウト」を取り上げているので、ギャップ(穴)がある形は取り上げません。

練習問題

(問1) 図の61はどうしますか?

6は9/3か8/2が確定ですが、基本的には9/3としたほうが良いでしょう。8/2とするのは「次に大きな目と大きな目を振ったら割れてしまうため後ろの方に駒を残してケアする場合」です。今回は5ポイントに1枚あるので何を振っても次は安全(65を振っても6で入れて5で上がれる。大きなゾロ目は後ろ4枚消しても割れない)なのでそのようなケアは不要です。1の目は「5ポイントの駒を動かさずクローズアウトを維持できれば」何をやっても問題有りません。8/7でも3/2でもよいでしょう。8/7とすると2ポイントに駒が行っていない分上がれる枚数が増えるのでギャモン勝ちが増える、3/2とすると後ろの駒が動かしやすいので勝率が増える、です。
ここで大事なのは5/4としないことです。5/4としてしまうと6ゾロや5ゾロを振ると割れてしまいます。6ゾロを振って安全かどうか、については、「11ポイントから前にしか駒がない場合、後ろの4枚を消す」という方法が使えます。後ろの4枚を消して問題ない形になるならばそれを選べばよいでしょう。
(答え)9/2または9/3 8/7。

(問2) 問1の61で9/2とした後の41はどうしますか?

絶対にやってはいけないのは4の目で5/1です。66、65、64、63、55の8通りで割れてしまいます。基本的には1ポイントへ行かない手があるならその手から候補にしていきましょう。今回は8/4としておいて何も問題有りません。残りの1は5/4でも2/1でも良いでしょう。この場合は1ポイントに駒が行っても、後ろの駒が融通が利く形なので問題有りません。5/4としておけば次に何を振っても安全で勝率最優先、2/1とすると5ポイントに駒が残っている分上り枚数を増やしやすいためギャモン率が増えますが即55、66を振るとブロットが出ることもあり勝率は少し下げます。なお、8/3とする手もありますが、クローズアウト形で後ろから「2枚3枚」となっていたらその次は3枚あるのが理想です。詳細はここでは述べませんがその方が先の安全を買えます。
(答え)8/4 5/4または8/4 2/1。DMPなら8/4 5/4。

まとめ

●自陣へ近づける間は、ゾロ目を振って割れたり崩れたりしないような形を選ぶ。
●自陣へ入れるときはできるだけハイポイントへ入れることを考える。
●強制ではないのに悪い形でローポイントへ動く手はご法度。

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