【バックギャモン】「アンリミテッド・ジャコビールール」が優秀であると考える理由(1)

バックギャモンは2個のダイスを使って駒を進め先に15枚全部上がった方が勝ち、という単純なルールながらも戦術にあふれたゲームです。が、「単純」であるがゆえに、元となるゲームができてから5000年と言われているものの滅びかけたとも聞きます。そんな折、約100年前にあるものが生み出されます。


ダブリングキューブの誕生です。
このダブリングキューブの誕生によりバックギャモンの戦い方が大きく変わります。
今回のテーマは「アンリミテッド・ジャコビールール」についてですが、「???」という人も多いと思います。この点は次回に回すとして、今回は「ダブルのルール」「ダブルの有無で変わること・変わったこと」を中心に書いていこうと思います。

ダブルのルール

ダブルの基本については筆者の以下の記事を参照ください。

超概要で書きます。
・ダブルは、「このゲームの点数を2倍にしよう」という提案を、ダイスを振る前に行う。
・ダブルをする場合は、「2」の面を上にしたダブリングキューブを盤面に置く(相手が数字を読みやすいように相手に向けて出す、というのが本来だが、正しい面を上に置いてあればOK)。
・ダブルされた側は、2倍のゲームを続行する(テイク)か、1点与えてゲームを降り、次のゲームに進む(パス・ドロップ・ダウン)かを選ぶ。
・テイクした場合は、ダブルした側のロールで再開する。
・先に2倍をテイクした側にのみ、4倍のゲームにすることを提案できる(リダブル)。同様に4倍をテイクした側にのみ8倍のゲームにすることを提案できる。
倍率が常に2倍なので点数の絶対値がどんどん跳ね上がっていく、というのが特徴です。

ダブルに関する状態

続いて、ダブルを考えるときの主要な4つの状態についてです。これは以下の記事を参照してください。

こちらも超概要で。
・ノーダブルテイク→ダブルをするべきではないし、ダブルされたらテイクするべきである。
・ダブルテイク→ダブルをするべきであり、ダブルされたらテイクするべきである。
・ダブルパス→ダブルをするべきであり、ダブルされたらパスするべきである。
・ツーグッドパス→期待値が1点よりも高いためダブルするべきではないし、ダブルされたらパスするべきである。

「ツーグッド」は正しくは「too goo to double」であり、直訳すれば「ダブルをするには良すぎる」ということになります。ダブルをしてパスをすると1点を得られますが、ギャモン率が高すぎるために2点・3点取るチャンスが多く期待値が1点を超える場合、ダブルをしないほうが多く点数を取れる可能性が高くなる、という状態です。単に「ギャモン率が高い」だけではツーグッドにはならず、勝率や盤面の形も影響します。

ダブルが画期的だった理由

ダブルが画期的だったのは主に2つの理由によるものと考えます。

(1) 点数が多く動く

ダブルをすることにより倍々で点数が増えていきます。ダブルが誕生したのはアメリカニューヨークと言われていますが、アメリカでは野球やバスケットボールといった「点数が多く動く」スポーツが人気でありながら、サッカーのような「点数があまり動かない」スポーツはそれほど、というところがあるようです(現にアメリカにはプロサッカーリーグがない)。そういったアメリカの国民性ともマッチしたのだと思います。とにかく点数が多く動くようになったというのが大きかったように思います。

(2) ゲームの進行が早くなる

「もう勝ちました」というゲームを延々と続ける必要がなく、「もうここで降りてください」とゲーム内で堂々と伝えることができるというのもダブルの特徴です。(1)のほうは「テイクしてもらって点数を増やす」というダブルの特徴が出ているのですが、こちらも「確実に1点を取って次に行く」という特徴を示しています。どちらもゲームとしてのダブルの効果を示しているもので、重要なポイントと考えます。
(※)このこと自体を否定する向きはあります。それは「先の展開を見ることなく終わってしまう」ということを良しとしないという考えによるもので、これも1つの考え方と言えます。

そしてバックギャモンは単にダイスを振るゲームからダブルを考えるゲームへと進化するわけですが、このことにより以下のような変化が出てきます。

(1) 競技としてのバックギャモン

ダブルができたことにより、「ポイントマッチ」というものが進化することになります。大きなポイントマッチを無理なくできるようになったのです。これにより「競技」としてのバックギャモンが確立していくことになります。

(2) ギャンブルとしてのバックギャモン

日本ではギャンブルは禁止されていますが、海外ではごく普通で、特にアメリカではストリートでお金を賭けて対戦するバックギャモンが行われています。ダブルが導入される場合点数が多く増えることと進行が早くなることでギャンブル性は増すとも言えます。

(3) 戦術性の変化

言うまでもないのですが、戦術性が大きく変わります。単に「どう動かすべきか」だけではなく「ダブルすべきか」「テイクすべきか」という判断、また「ダブルするためには(テイクするためには)どうすればよいか」と道中で考えることも増えることになります。

ダブルは様々な側面もありつつも、バックギャモンを進化させたことは確かです。歴史は5000年と言われるバックギャモンですが、ダブルができてからは100年ほどしか経っていません。そういう意味では「新しいバックギャモン」とも言えるのかもしれません。

さて。
ここまででダブルのありようについて述べてきたわけですが、タイトルの「アンリミテッド・ジャコビー」については何も触れていません。次回はこの点に触れ、実はこのルールが優れていると考える理由を述べていこうと思います。


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