【バックギャモン】日本バックギャモン界の「個性派」

バックギャモンはすでにAIが浸透していて、eXtreme Gammon 2(XG)が最強ということでコンセンサスが取れている部分があります。XGの解析結果で最善手を確認し、解析結果が正式な認定でも使われています。良い点としては全体のレベルが飛躍的に上がるということが挙げられます。逆に、強い人ほど「個性」を失ってしまうのではないかという懸念もあるとかないとか。現代ギャモンでは機械解析の結果が台頭していますが、そんな中でも「個性派」と思う人は存在しています。今回は日本バックギャモン界の「個性派」について紹介していこうと思います。今回取り上げる人物は日本国内のプレイヤーであり、ちゃんとした実績のある方に限定します(なんでもかんでも「個性派」とはしたくない)。

1.下平憲治

日本のバックギャモンの発展はこの人あってのものと言っても過言ではありません。シモキタ名人戦の主催で有名ですが、かつては日本バックギャモン協会(JBL)の代表も務められました。日本のタイトル「名人戦」の25ポイントマッチも下平さんが起源という話です(当時の世界選手権は25ポイントで、世界でも戦える人を育てるという意味合いもあったようです)。
下平さんの特徴は「早見え」「バックゲームをいとわない戦い方」にあると思います。とにかく時間を消費しないのですが、それは見えるのが早いからで、盤面全体を見るのがとても早い印象です。そして何より、バックゲームに持ち込むのがうまい。下平さんと言えばバックゲームというイメージの人もいるくらいにはうまいです。日本で1、2を争うほどだと思います。攻めが強い人はバックゲームにも精通している、というのが私の持論ですが、下平さんはまさにその通りで、おそらくアンリミテッドでは最強クラスと思います。これほどの個性派ですが、日本選手権での優勝経験もあり、実力も折り紙付き。「日本最強の個性派」と言えるでしょう。

2.那須雅彦

アドミラル産業社長であり、ポーカー店ガットショットのオーナーでもある那須さんも日本有数の個性派と言えます。那須さんの代名詞と言えば「長期戦」。那須さんと試合をすると「1点2点しか動かない」という声をよく聞きます。大阪オープン名物「なにわカップ」でも「点数あまり動かない」という声があるほどです(ルール詳細は省略しますが、通常よりもスコアが動きやすいのが難波ルールの特徴です)。この特徴は、私が「あまり勝てない」と評している「キューブの遅いパッサー」に見られるものですが、那須さんが巷の「キューブの遅いパッサー」と全く異なるのはやはり「経験」とポーカーにもみられる「勝負どころを把握する力」だと思っていて、その点は明らかに「キューブの遅いパッサー」とは一線を画していると思います。那須さんと対戦すると「どこでキューブを打つか」を判断するのがいつもより難しくなります。これも那須さんの「ブランド力」なのかもしれません。日本タイトルも複数獲得しファイナリスト経験も多数ある個性派プレイヤーです。

3.武宮正樹

武宮さんと言えば私の中では「本因坊」のイメージが強いです。言わずと知れた囲碁のプロ棋士で、タイトル経験もあるのですが、実は日本バックギャモン協会(JBS、旧JBL)の盤聖戦でも優勝経験があるのです。武宮さんの代名詞となっている「宇宙流」は盤面を広く見るのが主体の戦法ですが、実はバックギャモンもなかなかの宇宙流と思わせることが多く、本当に見えるのが早いし盤面を広く使います。いや、盤面を広く見ているからこそ素早い判断ができるとも言えるでしょう。私の早指しとは別のタイプです。武宮さんのギャモンを見る機会は今となってはあまりないかもしれませんがぜひその「早見え」を体感してほしいと思います。

現代ギャモンは「AI全盛」というところもあり、機械解析による最善判断が主流となっています。その状況では「個性派」のプレイはかなり通用しなくなっているように思いますが、それでも実績の挙げた人も多いのです。

誰にでもチャンスがある。それがバックギャモンだ!

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