第27期盤聖戦東京1部リーグ振り返り(1) 中須賀戦1
今回から、バックギャモン第27期盤聖戦東京1部リーグの自戦振り返りを行います。1試合1記事でお送りします。試合によっては長文になるかもしれませんがお付き合いいただければ幸いです。
■序~盤聖戦とは?
日本バックギャモン協会(JBL)の主催する4大タイトルの1つです。他のタイトル名人戦と盤聖戦は半年の予選を経て予選勝者と前期タイトル保持者の本戦トーナメントで行われます。
名人戦は25ポイントマッチ1本勝負、盤聖戦は11ポイントマッチ2セット先取の試合で(東京リーグ2部以下やネット予選ではこれ以外の場合もあり)、盤聖戦は3セット目まで行くと5~6時間かかることもあり非常にタフなタイトル戦です。
東京リーグは参加者全員をレーティング順に振り分け、上位から1部、2部、3部と振り分けます。このため東京リーグ1部は参加するだけでも非常に名誉だと言えます。
(同様の理由で、大阪リーグも名誉です。大阪リーグはレーティング上位6名しか入れません)
私は今回初めて東京1部リーグに入ることができました。またBMABにも参加し実力を図る機会にもなりました。ここでは15回に分けて全15マッチを振り返っていくことにします。
■振り返り
2020/9/13 於 赤坂バックギャモン道場
相手の中須賀さんは伸び盛りで本筋の強いプレイヤーという印象がある。彼も1部リーグは初参戦だ。
ポジション1 赤 斎藤 0-0 白 中須賀 11ポイントマッチ
赤のキューブアクション。ランは互角だが24ショットあり、5通りはダブルヒット、インナーも勝っているのでダブルしたが、120点のノーダブルだ。当たらない12通りではランがやや勝ちくらいのメリットしかなく、仮にヒットしてダンスでもダブルパスにまでは至らないようだ。すべては白が5ポイントアンカーを持っているからで、5ポイントアンカーと4ポイントのブロックを入れ替えるとノーダブルとダブルがボーダーになる。また、白の6ポイント1枚をアンカーに乗せた場合は15点のノーダブルテイクになるが、このことからアンカーの位置が大きく影響していると言える。
ポジション2 赤 斎藤 0-0 白 中須賀 11ポイントマッチ
ランで大きく勝っているので後ろから進めるのが基本だが、実戦は21/15(2) 13/7(2)とした。7ポイントのギャップは埋めておくべきで、これをやっておかないと安全にベアインしにくい。これが最善であり、後ろから進める21/9(2)を60点上回る。
ポジション3 赤 斎藤 2-0 白 中須賀 11ポイントマッチ
赤はここでダブルを選択したが、110点のエラーだ。白の25バックゲームは成立しており、赤の勝率は61%しかない。バックゲームはどれだけ余裕があるかを見るのが重要で、ピップ差、スペアの位置が肝になるが、25バックゲームでは「76ピップ差は十分タイミングが取れる可能性がある」「ハイアンカー側にスペアがありすでにプライムを作る段階でもない」ことから余裕はかなりあると判断できる。
このゲームはなんと一度も割れることがなく赤が安全に上がったが、白が驚異のギャモンセーブを見せて2点にとどまった。しかしその次のゲームでダブルギャモンを取り8-0と大きくリードする。
ポジション4 赤 斎藤 8-0 白 中須賀 11ポイントマッチ
とにかく1は23/22で確定。1を振れば何でもこれを指すことを決めていたので迷いなかった。問題は3だが。この局面はランでほとんど負けていないことから無理にヒットされる必要がなく、4/1で十分だった。ランをちゃんと数えておかなければいけない局面で、実戦の8/5は80点のエラーで指しすぎだ。
ポジション5 赤 斎藤 10*-2 白 中須賀 11ポイントマッチ
これもランが大きく影響している。ランで大きくリードしており、バックマンを(瞬間)0にできるのだから24/13と逃げる価値が莫大だ。11ポイントの駒は16通りでヒットされるが、当たらなかった時のメリットがあまりにも大きい。実戦の13/8 11/5*は100点のエラーである。
ポジション6 赤 斎藤 10*-2 白 中須賀 11ポイントマッチ
実戦の10/7*は70点のエラーでここまでのエラーに比べたら小さいのだが、「ほぼノータイムで指したこと」が問題だ。この場面はランで大きく勝っているので、最後の仕事「バックマンの逃走」を図ればよい。したがって6で飛び出せないバックマンに手を付けるのが必須で、残りは10/8と安全にして十分だった。全体を通じて、バックギャモンの基本はランであるということを再認識させられる。
その直後に現れた31でも13/9*と指して80点のエラーだ。同じコンセプトで間違っている(最善は23/22 7/4)。
ポジション7 赤 斎藤 10-3 白 中須賀 11ポイントマッチ
2ポイントを作るように自陣をこねくり回すのもあるが、今、ランでリードしていて相手陣地が弱いのだからここで外さないと外すタイミングが遅れると考え20/11と外した。これが機敏な一手で、2ポイントを作る手と同等の最善手だった。アンカー外しは「陣地の差」「ラン」がポイントになる。この場面では正しくランを意識して指すことができたのでこれがこのマッチの「この一手」というべき手だったと思う。
ポジション8 赤 斎藤 10-3 白 中須賀 11ポイントマッチ
この4ゾロは出た瞬間「やばい」と思った。実戦は13/5(2)*と5プライムを作ったが、これが140点のエラーだったとは。最善は13/5*と単独ヒットし、7/3 6/2とインナーを埋める手だった。ポイントは「実戦では3で出られると困る。最善では5で出られると困るが、1で出られても困らない」ということかもしれない。また、実戦で「2で出られた場合」も実は困っていて、2ポイントを作られ足止めを食らうと1→6で被害大きく逃げられてしまう。最善では被害が大きいのは1回目だけであり、足が止まればほぼ勝ちであるから、そちらのほうが良かったということなのだろう。
なお実戦は21を振りダブルヒット、白がダンスして万事休した。
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