家づくり
”家づくり”のページを作ったけど、まだまだ修正・加筆が必要だと思う。
私の考えでは、本当の意味での”家づくり”は我々設計者にはできないと思う。
住み手が、この場所こそ自分の居場所だ、と感じられるのが”家”だと思うから。
つまり”家”は空間だけではなく、時間軸も必要なのだと思う。
日々における住み手の価値観や生活観、それらと空間との交渉や調和の時間的積み重ねが蓄積されたときに、そこが住み手にとっての”居場所”になり、”家”になるのだろう。
つまり、本当の意味での”家づくり”は住まい手によってでしか出来ない。
設計者に出来るのは、住まい手にとっての”家づくり”の下地になる空間作りでしかない。
私の事務所名であるプラスゼロには、そんな意味も込められている。
私に設計を依頼してくれる人は、その下地となる空間を望んでのことだと思う。
マンションやハウスメーカーにも見た目のデザインや設備もいいものがあるけれど、自分たちの居場所の下地としては違う、そういった思いがあって私のような設計事務所に設計を依頼してくれるのだと思う。
だから私は、見た目の良し悪しとか仕上げ材の良し悪しとかも重要だけど、建物の構成自体に住み手の価値観を落とし込むことが最も重要だと思う。
建物の構成自体に魅力が無ければ、いくら良い仕上げ材を使ったところで良い空間にはならない。
逆に建物の構成自体に魅力があれば、安価な素材でも構成に合った使い方をすれば魅力的な空間にできる。
私がこれまで設計してきた建物では、特別高価な素材は使っていない。
むしろ安価なクロスやペンキ仕上そして合板仕上げがほとんどだ。
例えば”王子の家”も”保土ヶ谷の家”も基本部分はクロス仕上と合板仕上げだ。
現在工事中の”工房のある家”は打放コンクリートそのままと合板そして鉄部は錆止塗装のままの未完の家で、仕上らしい仕上がない。
本当の意味での仕上は素材なんかではなく、住み手の価値観や生活観、その時間的積み重ねで本当の”家”になるのだと思う。