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窓やドアに設置するだけ!自宅の騒音レベルが測定できるIoTプロダクト「モレトーヨ」

いままで+tech laboが生み出してきたIoTプロダクトの中には、電通テックの若手社員からアイディアを出してもらい、実装に近づけたものもあります。今回紹介する騒音レベル測定IoT「モレトーヨ」は、まさに若手社員の声を形にしたプロダクトです。どのような仕組みで、どの業界に向けて実装を目指したのか。本記事ではそれらを中心にお話いたします。

「自宅の騒音レベルを知りたい」という声がきっかけ

「モレトーヨ」は、コロナ禍の生活における心配事や「こうなると嬉しい」といったアイディアを電通テックの若手社員に考えてもらった結果、生み出されたプロダクトのひとつです。「自宅の生活音が迷惑なレベルなのか知りたい」という声に着目をしました。きっかけは、コロナ禍でリモートワークへと変わり、自宅の生活音を気にするようになったことでした。

上の画像は「モレトーヨ」の試作品です。ホームセンターなどで売られている写真立てにベニヤ板と電子版を取り付け、電池式で稼働するように電池ボックスを外側に設置しました。

使い方としては、①まず、これを玄関のドアの外側にぶら下げ、家の外の騒音レベルを測定します。左上に取り付けたマイクで音を拾い、それを数値化し下の青い電子パネルに表示するように作成しました。基本的に10秒間隔で拾った音のMAX値と平均値がわかるようになっています。

②次に、家の中の生活音を測定します。上の画像のように開き、玄関のドア等の内側に設置し、内蔵されたマイクが室内に向くようにセットします。その後、あえて掃除機や洗濯機などの騒音トラブルのもとになりやすい機器の音を出します。

③そして、上記①と②で測定した家の外の騒音レベルと家の中から漏れる生活音の差を測ることで、自宅から外にどれくらいの騒音を出しているかが分かるのです。

家の外から拾った音の値が、生活音の値を上回っていれば生活音は騒音ではないと判断でき、下回っていると生活音が外に漏れている可能性があります。

ちなみに測定したデータはスマホやPCに飛ばすような想定をしていました。もちろん「モレトーヨ」自体に記録させることも可能ですが、個人的にはIoT化という面からも、他のデバイスにデータを飛ばして管理する方が良いと考えました。

「モレトーヨ」の可能性

スタートは新入社員のアイディアでしたが、本製品の展望としては、不動産会社、マンションや寮の運営管理業、病院、ホテル管理業者に提案できればと考えていました。特に不動産に関しては、消費者が入居前のマンションやアパートの音環境の情報収集に活用できるのかなと思います。一般的に部屋の音環境は、契約前にはわかりづらいもの。ただ「モレトーヨ」で音声データを収集できれば、部屋の間取りと一緒に音環境も確認できるようになるでしょう。不動産会社も、部屋ごとに音環境の評価や具体的な説明ができるようになるはずです。消費者と企業の双方にメリットがあります。

病院でも活用も有効でしょう。音漏れが少ない部屋を「モレトーヨ」で明らかにすることで、患者同士の騒音トラブルを回避できるかもしれません。さらにホテル管理者と提携して、各部屋の紹介ページに音環境の情報を載せることもできるはず。他にも、家電メーカーと提携して音が漏れづらい家電を選定し、セット商品として売るような取り組みも可能だと思います。

音の大きさを明確に数値化する難しさを実感

現状「モレトーヨ」は、展望は見えていたものの、市場に出す段階までは進んでいません。要因は、音の数値を明確にしにくい点にあります。「モレトーヨ」でも音の数値が出るようにシステムを組み込んでいますが、それはあくまで感知するセンサーの数値であって、実際の音の大きさではないのです。

もちろん「センサーの値を実際の音の大きさに換算すればいいのでは?」と考えましたが、音との距離、集めやすい音の特徴、抵抗値などを含めて考えると複雑すぎてキャリブレーションを取るのが難しいと感じました。もし「モレトーヨ」を実装するのであれば、音響のプロフェッショナルとタッグを組んだ方がより正確で消費者にとって有用なプロダクトができるでしょう。様々な情報がデータ化される昨今ですが、部屋の騒音などの情報はまだデータ化されていないように感じており、もしかするとちょっとしたオーシャンなのかもしれません。

今後も、このように全力で試行錯誤を積み重ねながら、消費者が抱える課題や悩みを解決できるIoTプロダクトを作り、提案していければと考えています。

北村侑大
豊富な紙加工の知識を有し、販促DMや店頭POP、パッケージやペーパークラフトコンテンツの設計、開発に携わる。+tech laboではその経験と開発力を活かし、IoTデバイスの開発、社会実装に取り組む。IoTに限らず、新しい技術によって人体デバイスや生活様式がアップデートされる事を願っているが、アナログな解決策も結構好き。