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人気TikToker オオカミくんにSPインタビュー Z世代とTikTok

昨年は動画についてYouTubeのみリサーチ項目に入れていましたが、Z世代と話している中で移動中も寝る前もTikTokがやめられない…という声を本当に多く聞くようになりました。一方でビジネス目線で言えば、プロモーション施策を考案する際に「TikTokは流行っているから使わなきゃ」という話が出ることも増えてきているかもしれません。TikTokは習慣づかないとなかなか見ることもなく、人によって流れてくる動画も違うため大半の大人からするとブラックボックスではないでしょうか。そこで今年はリサーチ項目にTikTokを追加してみました。さっそく、気になる結果を見ていきましょう! いま話題のTikTokerでBoys Beauty運営メンバーでもあるオオカミくんのスペシャルインタビューも要チェックです!

【アンケート】
<調査対象>
15~29歳までの男性3531名
<調査実施期間>
2021年7月2日~7月5日
<調査方法>
インターネット調査

TikTokのメインユーザーは10代  Z世代でも差がある

まずは、調査結果を振り返ってみます。TikTokはどの世代に、どれくらいの頻度で観られているのでしょうか?

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視聴頻度はYouTubeに比べるとかなり低いよう。しかしここで注目すべきは年代別の結果です。5歳ごとに区切ったとき、明らかに10代の接触頻度が高くなっています。25-29歳では「ほとんど観ない、全く観ない」が70%と大多数で20-24歳でも57.8%ですが、10代では同回答は41.5%、週1回以上の合計が54.1%と、観ている人の割合の方が多くなっています。
”Z世代 = TikTokを観ている”と大まかに括られがちですが、本当に届くのはその中でも10代が多くを占めるようです。

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YouTube同様にどんな動画を観ているのか聞いたところ、料理や美容・ファッションといった情報系コンテンツよりも、「○○してみた」系やお笑い系の方が圧倒的に多くなっています。YouTubeはエンタメから情報系まで幅広く活用されていますが、TikTokの主軸はまだエンタメコンテンツにあるようです。


一方で、実際にZ世代の人たちと会話をしていると、「食でも商品でも新しい情報は基本的にTikTokで知るようになっている」ということをよく聞きます。意識的に検索をしたりハッシュタグを辿ったりして観るのはエンタメ系が主軸でも、動画が流れてきたらそれをノイズではなく「新しい情報」として受け止める回路があるようです。特にTwitterやInstagramでは基本的に自分が関心を持ってフォローをしている情報”しか”入ってこないため、TikTokのようにアルゴリズムはあれど出会いをユーザーに与えてくれるプラットフォームは、プロモーションする側からしてもユーザー側からしても重要なコンタクトポイントであるといえます。

TikTokについてオオカミくんに聞いてみた!

先述のとおり、若年層に人気のTikTok。いまメンズ美容動画の投稿で若者から絶大な人気を誇るオオカミくん(大上海斗くん)に、美容系動画の投稿を始めたきっかけや動画制作で意識していることなど、TikTokのあれこれを聞きました。

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Q.いつからTikTokを始めたの?

「自粛期間中の2020年5月です。当時、『男子高生ミスターコン』にエントリーしていて、発信力がほしいと思い、TikTokを始めました。美容系の投稿を始めたのは、10月の終わりくらいですね」

Q.どうして美容の発信をしようと思ったの?

「何か新しいことをしたくて、事務所の社長と一緒に、できることをずっと考えていました。元々肌がきれいと言っていただくことが多く、自分としても色々と気をつかっていたので、『それ、いいね』と。メンズメイクに関する投稿をしてみたら反響がよく、そこから本格的に始めました」

Q.TikTokの投稿で意識していること、気を付けていることは?

「TikTokといえば、まず音楽が大事。メンズメイクをしている人は韓国好きの人が多いので、BTSなどのK-POPにしたり、TikTok内で流行っているものにしたりするように意識しています。あとは、最初の3秒を大事にしていて、『ドンキで買える』『薬局で買えるプチプラ商品』といったように、最初の3秒で興味を持ってもらえるようにしていますね。ほかには、商品の価格帯も意識していて、ドン・キホーテやドラッグストアなど気軽に行ける場所にあって、アルバイトでも買える安い商品をメインにしています。僕のフォロワーは6割が男性で、高校生や大学生が多いので、『水を2L飲む』『枕カバーを毎日変える』など、生活習慣も美容も、低コストで済むものにしています」

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Q.少し話が出ましたが、フォロワーの属性を教えてもらえますか?

「始めたばかりの頃は、『恋愛リアリティ番組に出た人』のイメージが強く、フォロワー2万4000人のうち80%は女性でした。でも美容系にシフトしてから4か月くらいでフォロワーが17万人くらい増えて、男性の比率が全体の60%くらいになったんです。一気に真逆になりましたね。コメント欄を見る限り、男子高校生や大学生が多い印象です。ちなみにインスタグラムは、女子中高生のフォロワーが多いです」

Q.これだけフォロワーが多いとPR案件も増えますよね。普段の投稿と何か変えていますか?

「特にスタイルは変えません。『これ言ってください』と要望があれば受け入れますが、基本的にはいつも通りのスタイルでやるようにしています。普段の投稿との違和感がないようで、あまりPR投稿感を出さずにできています。最近は、脱毛、シェイバー、シャンプーなどのPR動画がたくさんありますが、普段美容系の投稿をしていない人が急に美容ネタを投稿すると、すぐにPRだと気づきます。紹介の仕方も不自然ですし…」

Q.どんな動画にすればよいか、独学で勉強していると聞きました

「2人くらい参考にしているTikTokerさんはいますが、ほとんどは独学です。活用できそうなことはメモを取るようにしているのですが、30秒の動画に対して10個とか20個とかどんどん増えていくんですよね。おすすめに流れてきて、そこから観てもらうには、最初の3~5秒が勝負。一日100回くらいスクロールする中のひとつにならないといけないので、『おでこのニキビの対処法』など、わかりやすくするようにしています。あとは、腕の動きを入れたり、声のトーンを変えたりもしますね」

私自身TikTokのプロモーション活用の相談を受けることがあるのですが、オオカミくんと話しながら、TikTok動画で重視する点がプロモーションする側の観点とユーザーの観点でズレがあるなと思いました。


<プロモーションをする側>
・ 商品を綺麗に見せたい / マス広告用素材を転用したい
・ ECサイトやインスタアカウントなど購買により近いチャネルに繋げたい
・ バズらせたい


<TikToker目線(ユーザー目線)>
・ 商品起点ではなくユーザー起点でコンテンツを考える
・ TikTokにはTikTok内のテンポ感がある。冒頭が命
・ 単発で動画をバズらせるのではなく、数を打って自分の世界観を確立。それによりPR動画もPR動画っぽさを感じさせない


きちんと効果を上げるためには、自分たちが望む要素は一旦最低限にそぎ落として(例:商品名、商品現物、効果・効能)、あとはTikTokerと組んでその方と共に動画の構成を考える or 委ねることが重要となります。マス広告をひたすら打ってきたメーカーから見ると一見「こんなに素人感が出るとブランドイメージが下がりそうだから嫌だ」と思うクオリティでも、”郷に入っては郷に従え”の精神でまずは試してみてください! または、CM調とABテストをしてみてください。きっとユーザーの反応に差が出るはずです。

堀 200×200

堀 かおり
2014年、電通テック入社。2018年5月より +tech labo の研究員となり、“Z 世代”を軸として開発業務を行っている。Z世代男子に向けてメンズ美容の情報を発信するInstagramアカウント「Boys Beauty」のプロデューサー。