五苓散を毎日にプラスして水のめぐりを向上させよう
「痛み止めを飲んでいるのに、頭が痛いのが続く」
「雨の日になると、何だか頭がどんよりしてしうまう」
「足がぱんぱん!体全体もダル重い」
そんな時には、五苓散がおすすめです。
五苓散は頭痛だけでなく、水のめぐりをよくしてくれる漢方処方。
この記事では五苓散の魅力について、漢方薬剤師が解説します。
漢方薬は自然由来のお薬、毎日の生活にプラスして健康的な日々につなげましょう。
五苓散が効く3つの症状を紹介
この章では、五苓散に効果的な症状に関して紹介します。
漢方薬は西洋薬と違って、決まった症状にしか効果がないというわけではありません。
漢方処方を構成するそれぞれの生薬が、体の不調にアプローチします。
ここでは五苓散に対する代表的な3つの症状に関して紹介。
むくみ
頭痛
気圧頭痛
それぞれ見ていきましょう
①脚や顔がパンパンに腫れるむくみ
むくみとは、何らかの原因により皮膚や皮膚の下に水分が流れずに、体内に溜まった状態です。
血液中の水分が、血管の外に出ることで水分が溜まります。
医学的な言葉では「浮腫(ふしゅ)」です。
脚のむくみに関してもっと知りたい方は「脚のむくみに注意!薬剤師が考える原因と対処法を解説」、顔のむくみが気になる方は「たまった疲労が顔のむくみの原因に!すっきりするための4つのヒント」を参考にしてくださいね。
むくみの症状
1日中立ちっぱなしだったり座りっぱなしであったり、長時間同じ姿勢で過ごした日は、夕方になると脚が痛くなる経験がありませんか?
むくみは、体の中の水分がうまく循環していない状況なので、体のあちこちに症状が出てきます。
むくみやすい箇所としては頭・顔・手・脚などさまざまです。
朝、起きて鏡を見たら顔やまぶたが腫れていることも。
寝不足だと頭がむくんでいたり、手がむくんで指輪が外れなかったりすることもありますね。
むくみによる症状は、体の中の水分がうまく循環せずに溜まって起きます。
むくみが起こる理由
むくみの原因はさまざまです。
同じ姿勢を続けることでの運動不足やストレス、新陳代謝の悪化などむくみの原因です。
女性であれば、月経の時期にむくみやすくなります。
他にも、疾患が原因でむくみが起こる可能性があります。
甲状腺機能低下症
膠原病
心臓の病気
腎臓の病気
腫瘍 など
むくみが続く場合は、背後にある疾患を調べることも重要です。
②頭がズキズキしてしまう頭痛
頭痛とは、漢字のとおり頭が痛くなること。
ほとんどの人が経験があるのではないのでしょうか。
飲みすぎた後や二日酔いで起こる頭痛もあれば、熱中症から頭痛の症状が起こることもあります。
理由がわからい頭痛に悩まされている人も少なくありません。
頭痛の種類
頭痛は総合診療外科の患者さんの症状で最も多くある疾患の一つです。
大きく分類すると一次性と二次性があります。
他にも薬を飲みすぎて起こる「薬物乱用頭痛」などもあります。
なかなか痛み止めを服用しても治らない、難治性の頭痛に悩まされている人が増えているのが現状です。
はっきりとした原因がわからない、一次性頭痛を訴える人の割合は国民の4人に1人。[1]
たくさんの人が頭痛に悩んでいることがわかります。
頭痛に関しては「頭痛は疲労のサイン?頭痛と疲労の解消ポイントを解説」で詳しく解説しています。
頭痛のメカニズム
さまざまな原因がある頭痛。
頭の内外の血管や頭の神経が炎症を起こしたり、圧迫されたりすることで、痛みの刺激を受けてしまいます。
また首や、頭の付け根、頭の筋肉の伸び縮みや目の疲れなどによっても刺激が発生し、頭痛につながることも。
肩こりや疲労から頭痛に発展することも多いです。
疲労と肩こりの関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
③雨が降る日に多い気圧頭痛
気象病とも呼ばれる気圧頭痛。
晴れている日は問題ないのに、雨の日になると頭痛がする人も多いのではないでしょうか。
気圧頭痛は、文字通り気圧の変化によって起こる頭痛です。
梅雨の時期、天気が悪くなると体調が悪くなる方はこちらの記事もおすすめです。
「梅雨や気圧による体調不良におすすめの漢方を紹介」
気圧による頭痛の原因
気圧頭痛は気圧や気温の変化により、自律神経が過剰に反応することが原因と考えられています。
自律神経は私たちの体の働きを整えてくれる大切な神経です。
その働きが乱れるで頭痛だけでなく、さまざまな症状が発生すると考えられます。
また気圧の変化により、内耳の気圧を感じるメカニズムが乱れることも原因のひとつです。
漢方医学からの考え方
漢方医学では「水毒」という状態がむくみや頭痛、気圧頭痛を引き起こすと考えられています。
水毒とは、体内の水やリンパ液の流れが乱れ、バランスが悪くなった状況です。
水分が体の中に過剰にたまることで、症状が現れます。
水毒はむくみ、頭痛、気圧頭痛だけでなく、以下の症状を引き起こします。
気持ち悪くなる
めまい
吐き気 など
水毒によって血液中に水分が貯まり血管が拡がり、神経を圧迫することが症状がでる原因とも考えられています。
西洋医学でのむくみ・頭痛・気圧頭痛の治療法
むくみや頭痛、気圧頭痛の症状に効果的な薬が存在します。
考え方としては、今ある症状を改善するための薬です。
順番に見ていきましょう。
痛み止め
痛み止めは頭痛だけでなく、歯の痛みや発熱時にも用いられます。
以下によく処方される痛み止めを紹介します。
ロキソプロフェン(ロキソニン®)
アセトアミノフェン(カロナール®)
イブプロフェン(ブルフェン®)
以上の薬は痛み止めとして、OTC医薬品の分類でドラッグストアなどで販売されています。
さまざまなブランドや、配合処方が販売されているので、自分に合った薬を選ぶようにしましょう。
同じ商品名のブランドでも、成分が異なる場合があるので、ドラッグストアで薬剤師に相談してみるのもいいですね。
片頭痛の治療薬
ズキズキとした痛みに伴い、吐き気などもある片頭痛に関しては専用の薬があります。
片頭痛のメカニズムとして考えられているのは、縮まった脳血管の過剰な拡張です。
また、神経伝達物質であるセロトニンの放出が異常をきたすことで、片頭痛が発生させると考えられています。
片頭痛に効果的なトリプタン系の薬剤は、セロトニンの受容体に作用し過剰に拡がった血管を収縮させます。
片頭痛に適応がある薬は以下です。
イミグラン®(スマトリプタン)
ゾーミック®(ゾルミトリプタン)
レルパックス®(エレトリプタン)
マクサルト®(リザトリプタン)
アマージ®(ナラトリプタン)
片頭痛の薬は医師の処方が必要です。
片頭痛の症状が続く場合は早めに医療機関へ受診するようにしましょう。
利尿薬
むくみや水分が溜まって起こる頭痛の症状には、利尿薬が効果的です。
利尿薬は、体の余分な水分を出す薬。
むくみや頭痛だけでなく血圧が高い場合も、処方されます。
利尿薬を使用することで、余分な水分を外に出し血圧を下げます。
漢方で見るむくみ・頭痛・気圧頭痛での治療
五苓散はむくみや頭痛、気圧頭痛に対して、どのように効くのでしょうか。
効能効果を紹介します。[2]
漢方薬はひとつの症状だけでなく、人の体に起こるさまざまな症状に効果的です。
生薬からみる効能効果
では、五苓散に配合されている生薬を紹介します。
沢瀉(タクシャ)
猪苓(チョレイ)
蒼朮(ソウジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
桂皮(ケイヒ)
それぞれの効能と用いられ方をみていきましょう。[3]
五苓散に使用されている生薬は、水に関する以下の効能があるものばかりです。
利水
利尿
発汗
利水とは漢方製剤の分類で、水が滞る水毒を改善する作用のことを言います。
五苓散の作用
五苓散は水を出す利尿だけでなく、水のバランスを整える効果が研究でも証明されています。[4]
むくんでいる状態では、水を出す利尿作用があり、脱水状態の時に服用すると抗利尿作用を発揮します。
五苓散の水のバランスを整える作用は、研究によりアクアポリンと呼ばれる水チャネルへの働きが関与することがわかりました。
アポンクリンは行ってはいけない方向への水の動きを阻止する働きがあります。
五苓散はアポクリンの働きを抑えることで、利尿作用を発揮。
その中でも特に、蒼朮(ソウジュツ)が最もアクアポリンに対して作用していることがわかっています。
漢方医学の考え方は「気」「血」「水」です。
体の水分代謝に関与するアクアポリンは、この3つの要素をつなぐ働きがあると考えられています。
五苓散で体内の水分を調節してスッキリしよう!
五苓散は、体内の血液・リンパ液・水分などの「水」を調節する作用のある漢方処方です。
「水毒」と言われる症状に効果的で、代表的な症状は以下になります。
頭痛
気圧頭痛
むくみ など
五苓散をはじめとした漢方薬を試してみるのはいかがでしょうか。
【参考】
[1]日本頭痛学会
[3]漢方薬のきぐすり.com
[4]礒濱 洋一郎 五苓散のアクアポリンを介した水分代謝調節メカニズム
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