見出し画像

猿神のロスト・シティ:未発見の古代遺跡を探る冒険とLiDARテクノロジー


ではさっそく書いていきたいと思います!

前回の記事では、人類最古の文明「ククテニ文明」について書きました。

今回は古代遺跡に関する本の紹介をしていきたいと思います。

本のタイトルは「猿神のロスト・シティ―地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ」(原題:The Lost City of the Monkey God)になります。

この本は、何年か前にまだ横浜に住んでいた頃、仕事で川崎に行く用事があった際、仕事の合間に小さい古書店で見つけて購入したものです。

価格は300円くらいだったかと思います。

当時の私は、「地上にはもはや秘境や未知の遺跡などは存在せず、ほとんどがすでに発見されていて、あとは考古学者や歴史学者の新たな“歴史的発見”を待つばかりだろう」と考えていました。

人類が未開拓のまま残しているのは、せいぜい深海や宇宙、あるいは精神世界くらいだろう、と思っていたのです。

そんな時に出会ったこの本は、未知の世界へのロマンや知的好奇心の大切さを改めて思い出させてくれる、素晴らしい一冊となりました。

また、この本と出会った古書店も少し変わった雰囲気でした。
私の経験では、多くの古書店はジャンルごとに本が整然と並び、その奥には寡黙で眼鏡をかけた老紳士がいる…というイメージです。
しかし、この古書店は一見すると普通の書店でしたが、店内は半分が書籍で埋まり、仕切りもなくもう半分が成人誌やアダルトビデオで埋め尽くされているという、驚きのレイアウトだったのです。
しかも、そのアダルトコーナーを掃除していたのは女性の店主らしき方でした。

店の名前は忘れてしまいましたが、変わった雰囲気とレイアウトの衝撃は今でもはっきりと覚えています(笑)

猿神の失われた都市の構想図 The American Weekly, September 22, 1940より引用

本の紹介に戻りますが、「猿神のロスト・シティ」は、ホンジュラスの密林に眠る伝説的な古代都市「猿神の都市」を発見しようとする壮大な冒険譚です。
著者であるダグラス・プレストンは、考古学者や探検家たちと共にホンジュラスのラ・モスキティア地域に足を踏み入れ、長い間未開の地として語られてきたジャングルの奥地に分け入ります。

この地域は長い間人が入り込むのが難しい未開の地として残っており、アクセスの困難さや過酷な自然環境から、古代の謎めいた遺跡や伝説が数多く存在すると言われてきました。
その中でも、「ホワイトシティ(白い都市)」や「猿神の都市」という伝説は特に有名で、これらの呪われた古代都市の存在は現地の先住民の間でも語り継がれてきた神話のひとつです。

未開のジャングルが過酷であることは容易に想像できるかと思いますが、ホンジュラスという国自体も麻薬カルテルやギャングの活動が盛んで、その影響が遺跡調査にも大きな障害となっていました。
現在では政府の治安対策により改善が見られていますが、2011年には人口10万人あたり86.5人が殺害され、世界でも屈指の殺人事件発生国となっていました。

「猿神の都市」の発見

この探検では、最新のLiDAR(Light Detection and Ranging)技術が使われました。ジャングルの上空からレーザーを照射し、密林の樹木の間に隠れた遺跡を可視化することで、「猿神の都市」と呼ばれる古代遺跡を発見することに成功しました。これまで幻の都市として語られてきた「猿神の都市」が、ついに現実のものとして姿を現したのです。

この本が書かれた時点でのLiDAR技術は以下の画像のようなポッドをセスナ機に搭載し使用するというものでしたが、現在ではさらに技術が進化しドローンとLiDAR技術を組み合わせての遺跡調査も行われています。

https://phoenixlidar.com/より引用
https://arstechnica.com/science/2021/10/lidar-reveals-hundreds-of-long-lost-maya-and-olmec-ceremonial-centers/より引用

上の画像は日本の考古学者の猪俣健さんが、マヤとオルメカ文明の遺跡を発見した際の空撮写真なので違う場所のものにはなりますが、LiDAR技術ではこういった形で遺跡の輪郭を地中やジャングルの中でも捉えることができるのです。

以下は猿人のロスト・シティの遺物の一部

発見された遺跡の特徴

発見された遺跡群は以下のような特徴を持ち、古代文明の豊かな文化と技術力を物語っています。

  1. ピラミッド型の構造物
    ピラミッド状の建造物が遺跡内で確認されており、宗教的・儀式的な用途があったと推測されています。

  2. 広場と儀式用施設
    広場を中心とした広い空間には、儀式や集会のためのプラットフォームやモニュメントがあり、当時の儀式の中心地として使われた可能性があります。

  3. 動物の彫刻と象徴的モチーフ
    石材に刻まれた「猿」や「ヘビ」「鳥」などの彫刻が発見され、信仰や神話の象徴として重要な意味を持っていたと考えられます。

  4. 巨大な石の構造物
    巨大な石柱や建築物の基盤が確認され、当時の技術力の高さが伺えます。

  5. 住居跡や集落の痕跡
    住居や集落の遺構も見つかり、都市として一定の規模と人口を有していたことが示唆されています。

探検の意義とテーマ

「猿神のロスト・シティ」は、冒険のスリルと科学技術の革新が織りなす物語です。プレストンは、未知の土地に踏み込む探検家たちの緊張感や、探検中に直面した困難、さらには自らが「寄生虫に食べられ、最終的には穴が開いてしまう」という感染症(リーシュマニア症)を罹患する過酷な体験についても描いています。自然の驚異やそれに対する人間の脆さに対する洞察は、文明と自然の関わりについても深い考察を与えます。

未知の都市を発見する過程やLiDAR技術の詳細、探検家たちが直面した現実的なリスクがリアルに描かれ、まるで自らも探検に参加しているかのような臨場感を味わえます。

遺跡の発掘はまだ進行中であり今後も新たな発見や、この地域の歴史と文明についての理解が深まっていくことでしょう。

冒険譚や考古学、古代文明に興味がある読者におすすめの一冊です!

メンバーシップへの参加やクリエイターサポート、シェアや拡散によって読む人が増えていくことで記事の量や更新頻度も上がりますので是非、応援よろしくお願いいたします

@plusultra13 Xもフォローお願いします!


いいなと思ったら応援しよう!

Wisdom-Across-Time
応援よろしくお願いいたします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!