小学生の作文指導って、何をしてるの?

小学部の「国語」って、何をしているの?


作文が上手くなってきたような気がするんですけど、先生は「こう書きなさい」とか具体的な指示を出して書かせてるんですか?

通塾し始めて1か月程度の保護者の方から、こんな質問をいただきました。



小学部の「国語」の授業では、

1:短い文を正確に聴きとる
2:少し長い物語を聴き取って 、内容を正しく理解する
3:聞いた物語の内容を、要約文にまとめる
4:4コマ漫画を見て、その内容を説明する
5:とても短い話を正確に書きとり、その要点を説明する
6:文章を一緒に読み進め、問題を解く
7:慣用句やことわざを使った短いストーリーを作る
8:漢字テスト

こんな風に、様々な課題に取り組んでもらっています。


ちなみに、一般的な塾の「国語」では、「6」と「8」くらいしか、やっていないと思います。(「6」に関しても、対話しながらクラスで一緒に読み進める授業をしている塾は、かなり少ないとはずです)


プラス・ワンでは、ただ「文章を読ませて、問題を解かせる」だけでなく、様々な角度から「国語力」を鍛えます。


さて、先ほどの保護者の方への、私の返答は、

いや、書き直す内容は具体的に指示していませんよ。
分かりにくいときは「ここらへんがよく分からない」と言って、書き直してもらっているだけですから。




「本人が試行錯誤する」学習環境を提供します


一見すると、本当に何もしていないように見えるかもしれません。

逆に、「具体的な改善ポイントを指摘して、その通りに書き換えさせる指導」の方が、作文が上手になる指導法に見えるかもしれません。


ただ、その指導で次に作文を書くときに、同じ完成度の文章を書けるようになっているでしょうか?


良い変化が見られる人も何人かいるかもしれません。
ただ、それはほんの一握りの生徒だけで、ほとんどの生徒には良い変化は見られないと思います。


では、プラス・ワンではどうするか?


「自分で気づき、考え、行動する」という指導目標を掲げている私たちは、

「本人が試行錯誤する」学習環境を提供する

という方法を採っています。



だから「ここらへんがよく分からないなぁ」と、改善すべきポイントを指摘するにとどめています。

すると、返却された生徒はいろいろ考えて、指摘された部分を書き直して、「はい!これでどう?」と再提出をしてくれます。

でも、まだダメなら「はい、ダメ~」と返却されます。
ちょっとかわいそうですが笑




先生とのやりとりを楽しめる子どもたちは、塾での勉強を「楽しい」と言ってくれます


当然のことながら、中には、全く取り組まない生徒もいます。
「どうすればいいか分からない」と言って、何もしないのです。

でも、
隣で「できないよー」と言いながらも書き直す姿が見えます。
そして、
「はい!」
「残念、ダメ~!」
「えー、また~!?もうやだよ~」
と、大変そうですが、なんだ楽しそうにやり取りしている声が聞こえてきます。

それを見て見ぬふりをして、自分だけ全く取り組まない
・・・さすがにそういう生徒はほとんどいません。


(「もうやだ!」と言われたら、私たちは生徒たちのご機嫌をとって、やってもらうのが大変・・・なんてことにはなりません。なぜなら、うちの生徒たちはこうしたやりとりに慣れているからです笑 だから、みんな口ではブツブツ文句を言いながらも、手を動かして何度も挑戦してくれます。とてもありがたいことです。)



このように、何度も何度も、試行錯誤を繰り返してもらうのです。
そして、「これ以上試行錯誤を要求するのは、ちょっと難しいかな」と判断した段階で、「じゃあ、ここをこんな感じに変えてみたら?」とヒントのようなアドバイスするのです。


すると、「あー!その手があったか!」という顔になります。

つまり、先生とのやりとりでヒントをもらうことで、自分自身で試行錯誤した「その先」がハッキリ見えるのです。

あとは、それを言葉にするだけです。




子供を成長させたいならば、大人が主導権を握ってはいけません
あくまで、考え、気づき、行動するのは子どもたちです


先に教えても、後で教えても、大した差はないのでは・・・?
いや!全く違います!!

先に教えてしまうと、ただ指示通りに動いただけなので、次回も同じところで同じようなミスをしてしまうでしょう。
つまり、大きな成長/変化にはつながらないのです。

それに対して自分で試行錯誤した生徒は、次に作文を書く際に、前回試行錯誤した部分まではスムーズに書き進めることができるようになります。
前回、自分で試行錯誤してたどり着いたのですから。

そして、「その先」の部分をまた試行錯誤すれば、「さらにその先」へと進むことができるのです。



作文は、毎週、目に見える成長をすることはありません。
毎月、目に見える成長をすることもありません。
でも、半年、1年後、2年後に・・・振り返ったとき、「昔はひどい文章を書いてたなぁ」と思えるような成長をすることはできます。

でも、最初に書いた保護者の方のように、毎回作文をしっかり読んで、「何か変化はないか」と見続けていただければ、小さな変化に気づくことができるでしょう。

成長するのに時間がかかる勉強。

これは、公式を覚えればすぐに成果が出るような勉強とは違います。

結果に一喜一憂せず、地道にコツコツ継続するような努力を、辛抱強く積み重ねることを応援してあげてください。