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印刷不備とやり場のないの気持ち

10連休のGWが明けた5月7日の昼下がり。
昼食を終えて仕事へ戻ろうとした加川に家族からLINEが入った

印刷を依頼していた冊子の見本が届いたのだが、
表紙が低解像度で荒れているという連絡だった。

冊子はは5月12日に開催される同人誌イベント、COMITIA128で頒布予定のものである。
GWのほとんどを原稿に費やし、5月3日に入稿したものであった。

※本を接写しています

ドット絵並みにジャギっている。

・・・

いや、送られてきた見本だけに起きている不具合かもしれない。

かすかな希望をたよりに残りの冊子に問題がないかどうか
印刷会社に確認を取った。

「すべての冊子で表紙が荒い状態で印刷されてますね」

「こちらに送られてきた表紙の画像データがそもそも荒いようです」

「お客様のほうで最終データチェックをしていただく方式なので
 弊社としても解像度の粗さを認識しておりませんでした」

「刷りなおすのであればデータを修正したうえで、もう一度発注をいただけますか?
 誠に恐縮なのですが、弊社のミスではないので費用のご負担はいたしかねます。」

ッアー


念のため画像データの再確認だけお願いし、電話を切った
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加川の頭には2つの選択肢があった

1、このまま頒布する
2、再発注する

1はだめだ。

これは仕様ですと言い繕って頒布しても
失敗してしまったと言い繕わずに頒布しても

表紙が中身をチープなものに見せてしまっている。

例え購入していただける方がいたとしても、
これからの人生後悔し続けるだろう。

とすれば2しか道はなかった
しかし今回は小冊子付+大きいサイズで頒布を予定してることもあり
ただでさえ印刷費は高額になっていた。
 それが 2 倍   ・ ・  ・ ?

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踏ん切りがつかぬまま、仕事にも本腰が入らないので
会社を早退し帰宅した。

念のため、自分で所有している画像データを確認してみなければ。

入稿した日は締め切り日だったこともあり、
渡すデータを間違ってしまった可能性は十二分にあり得ることだった。

高校時代、店頭で厳選に厳選を重ねて購入した高級シャーペンが
家に帰って開けてみるとボールペンだったこともある。

なぜ表紙だけ間違えてしまうんだ・・・

中身は問題ないのに。。。

表紙なんて紙1枚なのに、

その修正のために

中身も刷りなおすのか・・・

表紙だけ修正できれば

問題ないのに・・・・・。

・・・・・。

自己嫌悪がおそう。

今回こそは準備も完ぺきだったはずなのに

何故決定的なところで加川はこうなのだ

今までの失敗の数々が頭の中で反芻し、落ち込んでいた。

・・・

ふと、コミックスを読んでいる学生が目に入る。

・・・これだ。

表紙だけが問題であるのであれば、表紙を直してしまえばいい。
コミックスのように表紙カバーをつければよいのだ。

カバーだけなら部数分の紙を刷ればいいので、本を一冊するよりも圧倒的に安く済む。

手に取るお客さんがわからしてもカバーがついていて、

いやな気持にもならない

なんとなく豪華にも見える。

あらかじめ自宅で折り目さえつけておけば、頒布するときも苦労は少ない

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今日中に対応できれば5月12日までに用意することができる印刷所も見つけた。

時刻は1930。
残り4時間でデータを調整して入稿すれば間に合う。
そして当該のデータは表紙データを流用できるので手間は少ない。

イケる。
~導き出されたたった一つのソリューション~

自己嫌悪と自己否定、追い詰められた状況から
自身の手でつかみ導き出した起死回生の一手に

気分は高揚していた。

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表紙カバーを注文、入金手続きを終え、準備は万端。

表紙カバーの仕様を見ながら慎重にデータを整えていく。

ーーーーーミスはない。あとは納品だ

電話が鳴った。

印刷不具合のあった印刷所からだ。

おそらく今後の対応と画像データの再確認の連絡に関しての連絡だろう。

・・・
思えば、昼間の電話の際には自分の失敗を認めたくなく
相手のミスを疑っている加川もいた。

忙しい時に再確認と対応の検討という手間を取らせてしまった。

大丈夫だと伝えよう

対応しなくていい旨を伝えよう、

そして

時間を割いて対応してくれたことに感謝しよう

加川の気持ちは隣人愛に満ちていた。

「あのぅ。誠に申し訳ございませんが、改めて画像データを調査したところ
昼間のお電話に間違いがございまして」

!?

聞けば

送られてきたデータは確かに画像が荒かったが、それは入稿処理の不具合が起こしたものであったこと

データを開きなおしてみると正常で精細な状態のデータが確認できたこと

最終チェックの警告が加川側では認識しずらいものであったこと

そして

印刷会社負担で、正常なデータをもとに刷り直しを行うこと
加川の負担なく正しい状態の本を送りなおしていただけるとのこと


恐縮するぐらい丁寧な謝罪とご対応をいただき、
先方の提案通り、刷り直しと再度見本誌をお送りいただくことだけお願いし電話を切った。

フー

やる気に満ちていた心の行き場がない

起死回生を思いついて悦に浸っていた気持ちのやり場がない
困ったときの解決法としてTWITTERかNOTEに乗せるつもりだったのに

ということは
会社を早退してから先、5月7日の半日が徒労だったのでは・・?

フー

バグが見つかったのもよかった
実害が出る前の最初の犠牲者になれてよかった
受付対応してくれた方もとても肝が冷えたことだろう・・・
表紙カバーも入稿前でよかった・・・・
確認してもらってよかった・・・

運がいいなあ
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そんなこんなでCOMITIA128に出れることになりそうなのでよろしくお願いします!

新刊は涙をテーマにした少女のイラスト+LINE会話集です。
会場限定で線画やキャラ紹介の詰まったおまけ本も付きます!
(こちらはFANBOX会員様向けにデータを配信します)
↓こんな感じ

当日の会場はいつもの国際展示場と異なり
「東京テレポート」が最寄となるのでお気を付けください!

通販もあります!

(問題ない冊子が届きます!!!!!)


5月12日のコミティアよろしくお願いします!


こちらはいぬごといいます

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