Down South & Da Youngsta's (+World Renown)
こんばんは!
今年に発売30周年を迎えたアルバムの紹介は、今年のうちに!
ということで、1994年のベストアルバム選出では常に候補にすら上がらず、名盤ながら情報の波に埋もれてしまっている良作の①Down South / Lost in Brooklyn、②Da Youngsta's / No Mercyの2作を紹介します!
まずはShawn J. Periodが在籍した3人組、Down Southから!
Down South / Lost in Brooklyn
ニューヨークの南部(地図上では東海岸の中部地域)に位置するヴァージニア州のグループで、Shawn J. Preiodが在籍していたことでも知られています。Lost in Brooklynというタイトルからニューヨークのグループと勘違いされそうですが、ヴァージニアです。
Genaktionさんに教えてもらったんですが、メンバーのMyorr the DJがニューヨークに住んでいたことがあるそうで、その時からStretch Armstorongと交友関係にあり、StretchがA&Rを務めていた時期のBig Beatとの契約に至ったようです。
Big Beatでのプロデュースも多いT-Rayによる極太ジープピーツが炸裂するアルバム一曲目、Down Southが超強力!この曲は死ぬほど好きなんですよ!
アルバム内でThe Beatnutsが3曲をプロデュース。軽快で太めの音像にホーンで味付け、合唱系フックと僕の好きな要素が詰まったLost in Brooklyn。Beatnutsらしい気だるくビートが太い良作Around the Clock、こちらもBeatnutsらしさを強く感じるフィルターかけまくりのベースラインと鳴りの良いビートが完璧なOpen Sesameと、3曲ともに完成度が高く、アルバム内で埋もれさせるにはもったいなすぎます!
Down South / Southern Comfort
Shawn J. PeriodとStretch Armstrongによる共作で、1994年のシングルの中では個人的に10本の指に入るほど大好きな名曲!フリーキーなホーンフレーズに重厚なベースラインが重なって幕を開けるプロダクションは、音の広がりと地に足着いたファットなビートが一体となり巨大なグルーヴとして押し寄せる秀逸すぎる傑作。実直なラップもプロダクションとの相性バッチリ!
続いては、Steady BやMarley Marl率いるJuice Crew所属アーティストのレコードをリリースしていたPop Art Recordsの創始者の1人で、フィラデルフィア出身の権力者Lawrence Goodmanの息子2人が所属するDa Youngsta'sのサードアルバムを紹介します!
Da Youngsta's / No Mercy
業界人の父親の後光の元、ハーコー悪ガキトリオでデビューしたDa Youngsta'sの3人も成熟を見せ、チンピラトリオとしてイカつさを身に付けた通算3枚目のアルバム。K-Defが5曲、Marley Marlが4曲を手がけた内容充実、クオリティが高い隠れ名盤です!
Substitutionを下敷きにMicheal Jacksonの声ネタをイルに使用した爆裂チューン、Stayed Awayはブチ上がり確定の一曲!K-Def最強です!
同じくK-Def制作のRealityは、World Renown / How Nice I Amと似てませんか?実はこの2曲にはK-Def本人から直接聞いた面白いエピソードがあるんです!
1994年のとある週末、K-Defの家に来たDa Youngsta'sの面々が発売前のHow Nice I Amを聴き、「このトラックが欲しい!」と懇願しましたが、もうWorld Renownに提供することが決まっておりK-Defはこの申し出を断りました。
数日後、諦(あきら)めきれないDa Youngsta'sの面々にK-Defは素敵なプレゼントをあげました。K-DefはHow Nice I Amのサンプリングソースはそのままで、ビートを差し替えホーンを加えて作り直し、新装したトラックをDa Youngsta'sに与えたんです!この間わずか3日だったそうです。人が良すぎる!仕事が早すぎる!作るトラックカッコ良すぎる!K-Def大好きすぎる!というエピソードでした。
Hansoul / That's LifeをプロデュースしたDante Bartonが手掛けたIn the Cityが白眉!正に都会的な空気感を感じさせる哀愁漂うホーンフレーズに誘(いざな)われ、ファットなビートと儚(はかな)げなサンプリングソースの掛け合わせで聴かせるプロダクションは秀逸すぎます!セカンドヴァース入りの展開で毎度死亡確定、時折使うつんのめるドラムパターン、絶妙な抜きと、昇天要素万歳!一生聴けます!
Da Youngsta's / Hip Hop Ride
G-Funkの模倣でヘナヘナなMarley Marlのプロダクションですが、キャッチーで聴き取りやすいラップと相まって心踊る名曲へと変貌を遂げました!
プロモーション盤のブートレグが何故かたくさんありますが、オリジナルプロモーションプレッシングはランアウトにSRCの刻印入りなので、そこで判別出来ます!
Da Youngsta'sと言えばこの曲!
Da Youngsta's / Mad Props
まばゆい閃光のような突き抜けたアッパーさが魅力、B-Boyは地獄の盛り上がり確定の特大クラシック!金沢ではこの曲を知らない人はいないというくらい流行りました。みんな大好き、僕は死ぬほど好きな一曲です!
Mad PropsのAlbum Versionのみが、どデカい溝で収録されたプロモーション盤はお宝です!安いレコードですが、この盤は最高最強です。
ところでK-Def本人から聞いた話なんですが、実はこのトラックは他のMC用に作られたもので、そちらがボツとなったことによりDa Youngsta'sに流用したとのことでした。しかもこのトラックが不採用となったアルバムがHip Hop史に燦然と輝く歴史的な一枚で、この話を聞いた時は衝撃でした。
Supreme C. / Mad Props
Da Youngsta'sのMad Propsは、実はこのSupreme C.の楽曲のカヴァーになります!
Da Youngsta'sと同じくフィリーのMC、Supreme C.の1992年のシングル曲がMad Propsで、Da Youngsta'sの楽曲とリリックもフックも全く同じです。
Da Youngsta'sのメンバーのQ Ballに直接メールで聞いてみたんですが、Ba Ba KidzはDa Youngsta'sとは全くの別人グループということです。
あまりにもRapが似過ぎているためにBa Ba KidzはDa Youngsta'sの変名グループとのウワサもありましたが、それは誤情報です。Ba Ba Kidzの写真を見たことがあるのですが、確かに別人でした。
と、Da Youngsta'sとWorld Renownの話を書いていたら、あれ?World Renownのアルバムって1994年だっけ?と思って確認すると!1994年の作品でした。
World Renown / World Renown
1994年当時はプロモーションカセットテープのみで、CD、レコード共に未発売。後にブートレグでレコード化はされていましたが、2022年に正規2LPにて再発され、高音質で日の目を見ることが出来ました!
約半分くらいの収録曲を手掛けたK-Defのプロダクションが会心の出来で、1994年当時に発売していれば名盤として語り継がれたであろう素晴らしい内容です!
Longev、Difinition of a Mic、How Nice I Am、Shoowa、Ez on the Tweeter、Butta Loveの6曲をK-Defが手掛けております。
World Renown、Drama、Come Take a Ride、My Mellow My Men、Wind Over Matter、Supreme Mathの5曲をMarley Marlがプロダクションを制作。
豪華(?)セット販売では、ポスター2枚と、ステッカーが4枚付いてきました!
レコード裏ジャケットと、クレジットが書かれたシートの裏面(青色ジャケットデザイン)。
上記の再発2LPが出るまでは年代不明のこのブートレグプレッシングしかレコードは無かったので、それまで重宝した盤。持ってると気が大きくなるくらいに珍しいレコードでした。
何年か前にK-Defが金沢にきた際に本人にこのレコードを見せてあげたところ、K-Def自身もブートレグでレコード化されていることを知らなくて凄く興奮して驚いていました!
Come Take a RideのシングルにはK-DefによるWest Vibe Remixを収録!これも絶妙な良さがあって好きでずっと聴いている時期がありました。今聴いてもすこぶるカッコ良いです。
How Nice I AmのシングルにはS.I.D.によるリミックスを収録。アルバムヴァージョンと人気を二分する好リミックスです!
Down South / Southern Confortには珍しいドラムとアカペラのみとなるDrumapellaが収録されており、World Renown / How Nice I Amのプロモーション盤にはDrum-a-Pellaが収録されているということで、この記事の始まりと終わりが"ドラマペラ"つながりでちょうど良いオチが付きましたね!