Das Efx → KRS-One → Channel Live
今年もよろしくお願いいたします!
1995年という年はレコードを買い始めた年であり、DJを始めた年でもありで、僕にとっても特別な年代の一つです。
1995年に発売されたアルバムは今年30周年を迎えますね。Nas、Biggie、Gang Starr、Pete Rock & C.L. Smooth、Common Sense、Scarfaceらのアルバムが発売された"Hip Hop最良の年"とよばれた1994年にも肩を並べるほどの名作揃いの1995年。今回は1995年発売の3つのアルバムを紹介していきます。
まずは1995年発売のDas Efxのサードアルバムから!
スマッシュヒットした強力な2つのシングル、Real Hip HopとMicrophone Masterに彩られ、世間的にはセカンドアルバムからの巻き返し作と言われたHold It Down。セカンドアルバムも大好きなんで僕はサードアルバムが復活作とは思いませんでしたが、それでもやはりサードアルバムの方が格段に華がありクオリティや勢いも軍配が上がりますね。
1995年発売当時に関係者のみに配布されたプレスシート、アーティスト写真になります。これが地獄のカッコ良さで、迷彩のジャケットといい、ポーズといい、角度といい、全てが完璧なお気に入りのアー写です!
2人の名前はDrayzとSkoobのはずが、この時はSkoobがBooksという名前になっています。一瞬だけ改名したのかな?
DJ Premier制作の真性の骨太ストリートチューンReal Hip Hop、広がりのある華やかな音像を鳴りの良いスネアーで加速させたReal Hip Hop (Pete Rock Remix)を収録!
同じ楽曲でDJ PremierとPete Rockが対決の構図となったシングルで、当時はどちらが好みかで世間を2分するほどの抗争が発生し、血で血を洗う凄惨な殺し合いへと発展しました。
ステッカーが大きいジャケットがオリジナルプレッシング、ステッカーの小さい方は後のリイシュー盤です。どちらもレコードにはSRC刻印あり。
プロモーション盤は迷彩ステッカーの特別仕様。シングル発売時のアーティスト写真と!
裏面には同じくDJ Premier制作No Diggedyを収録。当時は時代遅れと言われていたディギディラップを逆手に取り、No Diggedy!と大ウソをついてディギディフロー丸出しで臨んだ痛快作!
当時R&Bで売れっ子プロデューサーであったAllstarをリミキサーに起用し、Mobb Deepを招いてヒットしたMicrophone Master (Sewa/41 Side Remix)をA面に収録。裏面にはDJ SpinnaとJoc Maxによるプロデューサーチーム"Dome Cracker"による宇宙的な空間の広がりと温かみを感じさせる絶妙なリミックスを収録!ラップと抜群の相性を聴かせる秀逸なプロダクションは、当時新進気鋭のプロデューサーだったDJ Spinnaの名前を知らしめました!スネアードラムも一緒だし、ちょっとCommon Sense / Resurrectionに似てますね。
ちなみに写真は発売当時にプロモーション用にサインを入れてライヴ会場で投げていたレコードです。
派手なリミックシーズに隠れて話題にはなりませんでしたが、僕はEasy Mo Beeによるアルバムヴァージョンが好きで好きで!何度も聴いてしまうこの普遍性こそがEasy Mo Beeの真骨頂ですよ!
そのアルバムヴァージョンのみを収録したプロモーション盤はご馳走です!
話は戻ってDJ SpinnaとDap Efxといえば、DJ Spinnaが自主制作したRemixesにDas Efx / Dedicated (DJ Spinna Remix)が収録されています。Das Efxの2人のラップが加速する好リミックスで、超絶カッコ良いです!
YouTubeにはインストゥルメンタルしかなかったので、そちらをお楽しみください!
Hip Hopの基本中の基本"Two Turntable & One(Two) Mic(s)"の純度100%ピュアHip Hop、Buck-BuckはB-Boy歓喜狂乱のRun DMC / Here We Go (Live at Fun House)のカヴァー作!欲しいものが全て詰まっています。
タイトルも胸熱なShowbiz制作曲でKRS-Oneを招いた送るハードコアナンバーRepresent Real Hip Hop、鈴ハイハットを隠し味に、深く重いグルーヴが暗い影を落とすCan't Have Nuttin'も聴きどころで、アルバムのラストを飾るHit Squad大将PMD直系の超陰湿重量級のBad Newsには精神ごとヤラれます!
Clark Kent制作のDedicatedは、K-Defも使ったハードボイルドなサンプリングソースを上手く調理した力作で、アルバム内でも目立った一曲です!
前途の通りDas Efxのサードアルバムには"Represent Real Hip Hop ft.KRS-One"が収録されており、また、KRS-Oneのシングル MC's Act Like They Don't Knowの裏面には"Represent Real Hip Hop ft.Das Efx"が収録されています。
この曲は全く同じ曲となり、双方のアルバムに収録されています。
続いてはKRS-Oneのソロ2枚目となるアルバムを見ていきましょう!
ファーストアルバム同様に、DJ Premierにプロデュースを託した先行シングル作もストリートヒットした、KRS-Oneのセカンドアルバム。2枚組アルバムのうち何故かD面が過去作品の寄せ集め(ベスト盤的な内容)だったこともあり、アルバム自体の評価はあまりされていない印象ですが、手堅いプロダクションがKRS-Oneのラップをしっかり支える力作です。
MC's Act Like They Don't KnowはKurtis Blow / Breaksの一節を拝借したKRS-Oneのありがたいお言葉から始まる、DJ Premier制作の地獄の一曲!ドラマチックかつハードコアに迫る空気感に、絶妙なカネの音で侘び寂び(わびさび)を加えたDJ Premierの完璧なプロダクションに、KRS-Oneの鬼のフロウがノリまくる傑作ですね!
この頃はHip Hopのヒット曲を下敷きにR&Bが制作されることが多かったのですが、このMc's Act Like They Don't Knowも翌年にはすぐにサンプリングされていました。Don't Be a Menaceのオリジナルサウンドトラックに収録されヒットした、Mona Lisa / Can't Be Wasting My Timeは、KRS-Oneのプロモーション盤のステッカーにも表記された"Don't waste your time on wack rappers..."から引用されてタイトルが作られており、秀逸なサンプリングには原曲に対する敬意が強く感じられますね!
DJ Premierの持ち味がこれでもかと炸裂した、フックとヴァース部分の落差も激しいRappaz R. N. Danjaは、全世界のB-Boyブチ上がり確定の名曲!
ジャケット付きUK盤には埋もれさせておくにはもったいなすぎるAh Yeah (Mellow Vide Remix)を収録!
Jiveからリリースされている曲を、自身のレーベルであるFront Pageからも二重でリリースしているKRS-One。普通なら所属レーベルから音源の無断使用で訴えられそうなところですが、何故かKRS-Oneだけはまかり通るという謎。
しかしさすがに怒られたのか、アルバム収録曲のFree MumiaはちゃっかりChannel Live名義でリリースしていますね。もちろんKRS-OneのFront Pageから。
アルバムはビートの鳴りが良い楽曲が多く、KRS-Oneの熱量たっぷりのフロウをしっかり後押ししてくれます!
UK盤にはUS盤未収録となるKRS-One本人制作曲のHealth, Wealth, Selfが入っています!ゆるーい語りフロウで攻めるHold、Ah-YeahもUS盤では未収録。
UK盤は2枚のインナースリーヴ付き、裏ジャケットもよりカッコ良いデザインに変更されています!
UK盤のアルバムにはAh-Yeahが収録されているので、シングルも紹介しておきます!
Ah-YeahはコンピレーションのPump Ya Fistに収録された楽曲で、KRS-One自身のレーベル"Front Page"からもシングル化されています。
2つあるプロモーションEPのうちのリミックシーズの方には、Ah-Yeah (Diamond D Flava Radio Edit)、(Diamond D Rhodes Mix)を収録!特にヴァイブが心地よいFlava Mixの方は好きでよく聴いています。
最後はKRS-Oneの門下生、Channel Liveのファーストアルバムを紹介します!
年々評価が右肩上がりの名作!KRS-One色は強くはなく、バランス感のある良いアルバムです!
MC's Act Like They Don't KnowのプロモーションビデオでもChannel Live(とMad Lion)が登場していますね!
そしてMC's Act Like They Don't Knowのサードヴァース終わりの"As I spark mad izm"をフレーズを使って制作されたのがMad Izmなんです!
しかも味のあるスクラッチをカマしているのはKRS-One本人と来れば、そのストーリー性とストリート性、高クオリティな名曲となるのは当たり前ですよ!の、割に安いんです、このシングル。持ってない人は安いうちに買っておきましょう!
最初期のプロモーションプレッシングは手書きブートレグ風のコースターがカッコ良すぎる仕様!SRCの刻印もきちんと入ったこのプロモーション盤は、裏面にCause and Effectを収録!後にReprogramのカップリング曲として正規盤に収録されますが、インストゥルメンタル、アカペラはこのプロモーション盤のみに収録。
何故かこの盤だけ他の盤とプレス工場が違うという、謎すぎるプロモーションプレッシングMad Izm Buckwild Remixes!
端正でまとまりのあるBuckwild Remix、戦慄のNautilus使いのBuckwild '95 Remixの2つのリミックスをインストゥルメンタル、アカペラ付きでそれぞれ収録。特にリリック違いとなる'95 Remixのアカペラは嬉しいと思う変態野郎がいると思います!
KRS-One制作の野太いReprogramの単独プロモーション盤もあります!裏面にインストゥルメンタル、アカペラを収録。このアカペラを欲しいという変態野郎は絶対にいると思います。
Reprogramのシングルには、アルバムヴァージョン、Easy Mo Beeによるリミックス、What (Cause and Effect)、裏面に2種類のBuckwild Remixを収録。
もはや格式さえ感じせるビンテージ感のあるリミックスワークが素晴らしいEasy Mo Remixは文句なしの出来!
聴くと毎度うっとりしてしまうほどの完成度を誇るSex for the Sportsは、当時のシーンの空気感も内包させた秀逸なプロダクション!
白コースターのブートレグプレッシングの可能性が高い、人気曲Down Goes the Devil。アルバムでもB面の一曲目を任された良作ですね!Front Page盤もありますが、それこそは完全なクソブートレグです。
Slaam Remiがプロデュースした2曲、Lock It Up、Homicide Rideが凄まじい出来!
特にLock It UpはStretch & Bobittoのラジオショウでかかっていて、誰の曲か分からずに死ぬほど探した思い出の曲!よくよく曲紹介を聞いたら、Channel Liveのアルバムの一曲だということが判明し、速攻アルバムを買いました!死ぬほど好きなSlaam Remi制作の隠れクラシック!
地下臭たっぷりのHomicide Rideもまた違ったSlaam Remiの良さを堪能出来る佳作!
アルバムの締めとなるWho U Representは重量級ビートに軽やかな雰囲気のサンプリングソースを重ねた優秀なプロダクション。
本当に良いアルバムです!
これは発売当時にレコード店に配布された12インチサイズのフラットポスター。KRS-One、Channel Live共に表面がアルバムのジャケットそのままで、壁かけ用に作られた販促品。裏面のこのポスター独自のデザインもマニアにはたまらないですね!
1996の曲ながら、詳しいことは何一つ分からないのがこのMaintain。何故かEMIからのリリースで、もしかしてBoogie Monsterみたいに2作目のアルバムがEMIから予定されていた?
BDP (=Boogie Down Productions)解体後にあれだけいた取り巻きはいなくなり、1995年当時、KRS-Oneの直下にはChannel LiveとMad Lionのみとなっていました。
Channel LiveはKRS-One主催である1991年のH.E.A.L. Projectに参加し、KRS-Oneとの交友を深めたそうです。
アルバムCivilization vs Tecnologyからのシングルカット曲、Heal Yourselfはいつ聴いてもブチ上がるPosse Cutの名曲ですね!