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MUSKとリリックビデオ
お疲れ様です。
プランプラム ドラムのタキです。
車の暖房ってどこから風を出すのが正解か毎回迷いますよね。
どの設定が効率よく暖まるのか教えてほしいです。
さて、第4回目です。
・muskでペルソナ
・リリックビデオ制作について
「MUSK」
♩=96
黄昏は タクシーの淡い影に
上手く紛れて
遠ざかる 街の声
窓の向こう 夜を開くの
きらめきに 震えてる
くちびるが 静かに渇く
長い髪は 風に揺られ
街灯の 色を集める
この街はもうすぐ夜を明かすのさ
ラジオが朝を語り出す前に
白いブラウスとあなたのムスク
寂れた街に 置いてかぬように
白線の外れ道
見せ場の無いスカートが揺れたら
涙が出ちゃいそうで
夜風で上手く隠すの
この街はもうすぐ夜を明かすのさ
ラジオが朝を語り出す前に
白いブラウスはやがて忘れる
知らない朝を 覚え始める
この街はもうすぐ夜を明かすのさ
ラジオが朝を語り出す前に
さよならムスク あなたはもうすぐ
ラジオとともに夜を置いてくの
以上歌詞です。
突然ですが、ペルソナ設定ってご存じでしょうか。本来はマーケティングや広告運用で良く使われる言葉です。
「ペルソナ:商品・サービスを利用しているユーザー像」のことらしいです。
これを近年ではマーケティング戦略でよく使うらしいんです。たとえばある商品を売り出したい会社がいます。
どんな人に買ってほしいかを考えるときに逆に「こんな人なら絶対買うよね〜」の人物像を事細やかに決めていきます。
生年月日や性別はもちろん
住所・職業・趣味など、時には良く使うSNSやどんなスマホアプリを使っているか、よく行くコンビニまで決めることもあるそうです。詳しくは「ペルソナ ビジネス」で検索してみてください。
頭のいい人は何を考えてるか分かりませんね。
ペルソナを設定することで
・プロジェクト内でより詳細に絞り込んだターゲットを共有できる。
・ユーザーのニーズが明確になる
・より精度の高いマーケティングが可能になる
だそうです。
頭のいい人は何を考えてるか分かりませんね。
ここからバンドの話です。
作曲時にメンバーにイメージの共有ができないことがあります。
うまく伝わらない・勘違いされている状態のまま曲を作っていくと発案者は「なんかそうじゃないんだよなぁ。」編曲者は「よくわかんないなぁ。」とお互いもやもやしたまま曲が出来上がっていきます。
そうすると誰も腑に落ちない作品になってしまします。
もったいないですよね。
実際にプランプラムでもこの理由が一つとして、お蔵入りした曲もあったように思います。
そこで頭のいい人が考えたペルソナ効果をほんの少しだけお借りしてやってみたのがMUSKです。超細かくやっていくと疲れるので省略したものでやります。
やり方としては、
その1 歌の中の主人公と取り巻く状況を歌詞にある言葉で構成していきます
いつ:夕方~夜(黄昏、朝を語りだす前に)
どこ:移動中タクシー内(タクシー、遠ざかる街の声)
誰:女性(長い髪、スカート)
服装:ブラウス、スカート
(もちろん曲によって抽出する内容は変わります。)
その2 さらに使っていない言葉で補足しながら文章にしてみます。
(そうすると主人公と取り巻く状況がしっかりしていきますね。)
夕方~夜にかけてタクシーに乗った女性(ちょっとおしゃれしている)が車窓越しに街が流れていくのを見ている。
という状況。
その3 原案者に添削してもらい、イメージ細分化をします。
ちなみに、最初から「全部教えて~」の姿勢でいると「大体歌詞の通りだよ」が返ってきます。これは誰に限ったことではなく、その通りだと思います。なぜなら0から作っている本人からすれば歌詞が全てですし、ストーリーも構成済みだからですね。
こういった風に状況をこちらが把握したうえで、さらに歌詞にない風景や感情を掘り下げるのが「じゃない方」のお仕事です。
(詳しくは以前投稿した、「ロンリーナイトと誤解」を見ていただければ嬉しいです。)
前置きがながくなりました。
添削してもらい内容が大筋から逸れていなければ、原案者を中心にみんなでイメージの共有・細分化をしていきます。
出来たのが下のイメージです。
「20歳くらいの女の子が少し大人な男性に恋をしてディナーをします。
そこでフラれたのか、何かがあってその恋が終わった直後の帰り道。
帰りのタクシーの中で今日の出来事を思い出しながら車窓を眺める。」
そうすると他の歌詞も伏線的に納得できますね。
「きらめきに 震えてる
くちびるが 静かに渇く」→会ってすぐ緊張していた
「見せ場の無いスカートが揺れたら
涙が出ちゃいそうで」
→せっかくおしゃれしてきたのに・・・という悲しい気持ち
「白いブラウスとあなたのムスク
寂れた街に置いてかぬように」
「白いブラウスはやがて忘れる
知らない朝を覚え始める」
「さよならムスク あなたはもうすぐ
ラジオとともに夜を置いてくの」
→忘れたい気持ち~終わった恋を思い出にする
という解釈ができます。
これで原案のイメージがメンバー内で明確になりました。
後はメンバーがそのイメージに沿って編曲をしていきます。
ペルソナ設定っぽい気もしますが今書いていて違う気もしてきました。
ちなみに当時「ペルソナ設定しようぜ!」なんて言えないので、「PV作るとしたらどんな感じ?」「主人公のこの時の気持ちって?」って聞きながら細分化していきました。
もちろんこれは作曲・編曲段階の話です。音楽は何度も演奏していく・聴いているうちに解釈は変わってきて当然だと思っていますし、実際僕らの中でも解釈は常に変わっていきます。むしろそれが音楽のいいところですよね。
次に
リリックビデオ制作について
MUSKはリリックビデオを出しています。
これはアンジー(前回noteで紹介した監督)に頼まず、自分たちで企画して撮影しました。
もちろん僕らは映像制作については素人ですのでユキちゃんという友人に監督に入ってもらいました。(センスキレキレ! 根性ゴリゴリ‼︎プランプ大好き!‼︎敏腕映像ガールです。今も東京でライブ映像を撮る会社でキレキレ!でゴリゴリ‼︎にやっています。)ちなみに一時期のプランプラムのアーティスト写真や「ちゅうぶらり」のリリックビデオもやってもらいました。個人的に他のバンドのアーティスト写真やPVも一緒にやりました。
ありがとうねユキちゃん。
ところで、僕は映像を見るのも好きで特に「ワンカット」という技法を見ると興奮する病を患っております。
ワンカット(長回し):映像の最初から最後まで編集によるカット割を行わず、一気に撮影する技法。
映画「カメラを止めるな」がこの技法で話題になりましたね。
また、MOROHAも出演している「アイスと雨音」という作品もワンカット映画です。大好きです。
PVですと我らがサカナクションも良く取り入れる技法ですね。
僕はそんな病のせいで、自分で企画するとなるとワンカットの事で頭がいっぱいになってしまいました。
で出来上がったのがmuskのリリックビデオですね。
雨の中、傘を持たずに走る山本。途中で大谷とすれ違って傘をもらいます。その後タキや、さとーとすれ違いながら夜の街を散策する映像になっています。
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比較的シンプルな内容になっていますが、撮影現場では怒号が飛び交ってました。
当たり前ですけど、ワンカットは一回でも間違えたら最初からやり直しです。
なので、「カメラを濡らすな!」「2分15秒経過!」「ちょっと歩くの速めて!!」などなど…「機材を濡らさない・曲のタイミングに合わせる・出演者への指示」をみんなで注意しまくって撮影しました。
カメラを濡らさないよう必死だったさとーは、ゲームセンターの前で出演しているのですが、よく見たら肩がずぶ濡れです。
ごめんねさとー
こういった背景を知ったうえで映像や歌詞に注目して楽しんでもらえるとうれしいです。
これで第4回は終了です。
次回「レイニーとダイナミクス」