縦式・Canva同人誌の作り方比較
※二次創作同人誌の話が出てきます
はじめてスマホ・タブレットのみで同人誌を作成しました。
その比較と覚え書きのnoteです。
はじめに
普段はPCで原稿作成をしています。
本文:Word
表紙:メディバンペイント
どちらもスマホやタブレットで利用できるソフトではあるのですが、スマホ・タブレットともにApple社の製品を利用しているため、とくにWordの使い心地はさしてよくないです。
ではこれまで通りPCで作成すればよいのでは? という中で今回縦式・Canvaでの作成に至ったのには主に以下の理由がありました。
・そもそも執筆自体はスマホ※
・A6以外の寸法で作成したい
・壊滅的にデザインセンスが無い
・入稿後にもう一冊を手軽に行いたい
少し長くなりますが4点記載していきたいと思います。
・そもそも執筆自体はスマホ
正直これは時と場合によります。
パターンとしては、
①スマホのメモアプリや執筆アプリで書いたものをGoogleドライブに貼り付け→PCでWordにコピペ
②スマホのメモアプリや執筆アプリであらすじやセリフの下書き→PCで執筆
の2パターンあります。
ただ、どちらにせよスマホ→PCのルートを辿っていることが分かると思います。
PCの立ち上げが地味に億劫なのと、スマホはどこでも書ける利点があるためここに落ち着きました。
そのためどうせスマホで一旦書くならこのままできた方が……と思い至りました。
・A6以外の寸法で作成したい
これまで作成した同人誌は今回作成するものを除き基本的には全てA6でした。
普段使用しているWordでは用紙設定で組版を自分で調整しないといけないんですよね。
ゆえに私のPCにはA6のデータはあるものの、その他の寸法のデータが入っていません。別の寸法を作りたくなった場合、印刷所さんからのテンプレートをダウンロードするか組み直すかの2択になります。
ここで、
①テンプレートをダウンロードする
→テンプレでPCが圧迫される
②用紙設定を組み直す
→単純に大変
という懸念点があったことと、共通して次回以降もこの寸法を利用するか分からないので多くテンプレデータを保存しておきたくない、という気持ちがありました。
・壊滅的にデザインセンスが無い
そのままです。
組版を自分で組むにも見やすいバランスはあまり上手く掴めませんし、奥付やページ番号を振るとなおのこと。
何より表紙はタイトルテキストで完結させているのに洗練さも無い始末。メディバンペイントを取り下げたのは今回ここもあります。
メディバンペイントはセンスのある人が使うなら恐らく大変有用だと思うのですが、なにせ使用者の私に難ありでした。
縦式ならデフォルト設定があります。
Canvaならテンプレやなんかいい感じの素材があります。
・入稿後にもう一冊を手軽に行いたい
ここはあまり書くことはないです。
これまでの3点がもっと安易にできたらもう一冊できるのに、という感じです。
比較について
今回は大きく2点比較したいと思います。
①PC作成と縦式・Canva作成の比較
②縦式・Canva作成の中でもスマホ作成とタブレット作成の比較
作成するもの
今回作成するものは以下の通りです。
サイズ:A5
ページ数:20P
シンプルで軽量な形かと思います。
もしかしたら同人誌を作りたい方はもっとページ数が多いかもしれませんが、ひとまずこちらで作成します。
作成
まず何を縦式で作成して何をCanvaで作成するのかを決めます。
最終私はこうなりました。
表紙:Canva
01-02:Canva
03-11:縦式(本文)
12-16:Canva(奥付等)
縦式での作成
メモアプリ等を介さずに今回はそのまま縦式に打ち込んでいきます。
入力中の編集設定はこんな感じでした。
残りはデフォルトのままです。


この画面はあくまで編集中の画面なので、打ちやすい大きさや文字数にして大丈夫です。
私は縦書きでしたが横書きでももちろん大丈夫でした。
利用しなかったのですが目次や見出し、改ページのボタンもあって思っていたより書くだけなら普通に使えそうかも、と感じました。
改ページは改頁、改丁、改段から選択が可能でした。

出力設定は画像の通りです。
これが印刷されるデータになるので、この設定はこだわりたい人は細かく数値見ていった方がよいと思います。



この設定で出力すると、こういう仕上がりになります。

ファイル設定がPDF、JPEG、PNGとあったのが個人的に助かりました。
PDFがあればいいかなと思っていたのですが、印刷所さんによってはPDFダメなの!? ということもありますよね。
手軽に少数作りたいとき(=今回のように縦式で手軽に作ろうかなというとき)に限ってそうだったりするので、ファイル形式が無料でもこんなにあるのは本当にありがたいです……!
PC作成と縦式作成の比較
PC作成(Word)
メリット
画面が見やすい
自由度が高い
デメリット
場所を選ぶ
用紙設定が必要
縦式作成
メリット
かなり手軽
出力が安易
デメリット
画面が見づらい
プレビューを見ながら執筆できない
自由度が低い
ざっくりと分類すると、PCは見やすくて自由、縦式は何より簡単という感覚でした。
やはり場所を選ぶものの、PCでのWordは画面が見やすいです。自由度が高いの理由の一つにもなっているのですが、Wordはユーザーが多いため「これってどうやったらできるんだろう?」という疑問が出てきたときに回答を得やすいような気がします。
一方で縦式はどこでも手軽に執筆・出力ができることは大きなメリットながら、シンプルに見づらい感覚がありました。この点は後ほどスマホとタブレットの比較で記載します。
自由度が低い点についてですが、フォントサイズが本文しか設定できなかったり、デフォルトのフォントが少ないため使用したいフォントをインストールする必要があったりと基本以外を求めると少し物足りなく感じます。
ノンブルのサイズはやや小さくなっている気がするのですが、そこの設定もできかねました。
フォントのインストールについては、スマホとタブレット両方を扱う場合、両方へのインストールが必要になるのでそこも難点かなと思います。
空白ページを2枚以上入れようとするとうまくいかなかった点や、奥付のボタンはあるもののレイアウトが求めていたものではなかった点もあるなど、基本以外は自由度の低さがネックでした。
とはいえ手軽に執筆と出力ができたことは確かです。
今後使用しますかと問われたらはいと答えられるレベルではあります。
スマホ作成とタブレット作成の比較
スマホ作成
メリット
打ちやすい
より手軽
デメリット
画面が見づらい
タブレット作成
メリット
PCとの差を詰められる
デメリット
場合によっては打ちづらい
スマホとタブレットに関してはそこまで使い方に差があるように感じませんでした。
ただ画面の見やすさ・PCへの近さと手軽さの好みの差は出るかなと思います。
画面の見づらさに関してですが、縦式の画面は上半分で原稿、下半分でキーボードという感じになるので、やや文字が小さくなりがちに感じます。
先ほど述べた編集設定でフォントサイズや行数等は変更可能ですが、その場合少し長めの文を打つとすぐに画面が次ページへと流れてしまい、打ちながらの読み直しが難しかったです。
ただ、タブレットを使用する場合で、外付けするキーボードを購入するならこれはかなり改善されると思います。
編集設定で見た画面の通りいっぱいに表示され、見づらさのデメリットは無くなります。
ここがPCとの差を詰められるタブレットの一番のメリットだと思います。
場合によっては打ちづらいの点ですが、外付けキーボードが無いと今度は反対に打ちづらさがあるかな? と感じたためです。
いずれにせよ画面が大きい分見づらさが改善されていることは確かです。
しかしながら、これだけタブレット優勢かと思いきやスマホの手軽さ・打ちやすさのメリットはあまりに大きかったです。
私個人としてはスマホで打って、筆が乗ればタブレット+キーボードが好きでした。
Canvaでの作成
表紙、前扉、後ろ扉と奥付はCanvaで作成していきます。
今回入稿したかった印刷所は漫画と小説が同じプランのため、小説でも塗り足し上下左右各3mm込みで作成しました。
A5(148mm×210mm)を作成するので、
デザインを作る→カスタムサイズ→154mm×216mmにキャンバスサイズを設定します。
表紙だけは表1と表4を繋げて作成したため、幅は148mm×2+背幅1.9mm=297.9mm、
背幅にデザインを置く予定は無かったので298mmに設定して、そこから塗り足し左右各3mm込みで304mmにしました。
表紙のキャンバスサイズは304mm×216mmです。
塗り足しギリギリにデザインすると印刷の際に切れてしまう可能性が高まるので、先に図形→四角を選択→配置で148mm×210mmの仕上がりサイズを中央に配置します。
表紙は298mm×210mmです。

前扉と後扉はノンブルあり白紙にしたかったので、縦式でJPEG出力した本文ページを濃度低めに配置して、ノンブルが重なるようにページ数を入力しました。
奥付も同様に、文字のブロックがズレないように内側に収めて入力します。
あとは素材を配置したり色を変えたりして表紙を完成させていきます。
私も今回がはじめてだったのですが、結構直感的に触りながら進めていっていました。
操作に関しては覚え書きや説明のようなこれといったものは無いかもしれません。
出力は名前をつけて保存と画像を保存のどちらかにしています。
今回は画像を保存でPNG出力しました。

PC作成とCanva作成
PC作成(メディバンペイント)
メリット
出力のファイル形式が豊富
自由度が高い
デメリット
センスがないとやることがない
表紙作成以外の機能が多い
Canva作成
メリット
直感的に使いやすい
テンプレートや素材を扱いやすい
デメリット
出力ファイル形式はJPEGかPNGのみ
画面が小さいと使えない
正直なところこれはどっちでもよいかも、でした。
PCの方はpsd、PDFでの書き出しも可能であったり、イラストアプリであるがゆえに多機能が揃っており、センスがある人や自分で素材を作れる人なら自由度が高く理想を詰めやすいと思います。
クリッピング等があるのは便利だなと思っています。
オシャレ感が手っ取り早く欲しいならCanvaはよいアプリだと思います。
デザインすることに特化しているので、テンプレを使用するもよし、テンプレを参考に組むもよしでセンスが壊滅的に無い私でも多少マシになれる気がします。
ただ、出力ファイル形式が少なく、印刷所によってはこのままでは使えないデータになってしまう可能性も高いなと感じました。
加えてイラストアプリに慣れてしまうと、あの機能足りないなと思うことがあるかもしれません。
画面に関してもツールバーが常に出ている状態なので、これはスマホはキツいかなと思います。でもできなくはないです。
惜しい点ですが、無料でこれだけならありがたいどころの騒ぎではないです。
今回は違う印刷所だったので問題は無かったのですが、身の回りの人の話を聞くとおたクラブ様は表紙Canvaだとエラー食らいやすいらしいです。
今度私自身でも試そうと思います。
スマホ作成とタブレット作成の比較
スマホ作成
メリット
手軽
ネットで調べてアプリで立ち上げがやりやすい
デメリット
画面が小さく扱いづらい
タブレット作成
メリット
画面が大きく扱いやすい
デメリット
タイトルなどテキスト入力をするときにツールバーが隠れるときがある
個人的にはこれは明確にスマホ<タブレットです。
手軽さは常々のメリットですし、ネットで調べてから立ち上げやすい点もタブレットで検索してしまえば終いではあるので……。
Canva自体が基本的に扱いやすいので、あとは見やすさと操作のしやすさの差が如実にあらわれているかなと思います。
タブレット作成に関して基本的にやりにくいことは無かったです。
奥付でテキストを入力した際、フォント選択やフォントサイズ変更のツールバーがひょこひょこ消えてしまったことが唯一使いづらかったので、そのときだけ外付けキーボードがあればとくに悪いことは無いかなと思います。
比較の結論
PC作成と縦式・Canva作成はどちらがよい?
どちらでもよい。
本末転倒ですが本当にどちらでもよい。
強いて言うならページ数が多いときはPC、
そこまでページ数がなければ縦式は楽だと思います。
具体的に何ページかは調べきれていないのですが、20Pで待ち時間がとても出るなどは無かったです。
私はノンブルや奥付に少しもどかしさをおぼえたので新刊はPC、無配だったり友人に一冊渡すなどで少しだけ刷るときは手軽に縦式を使おうかなと考えています。
表紙についてはCanva作成本当に楽でした。
奥付もオブジェクトを入れるのが楽でなんとなくオシャレ感を仕立て上げやすいです。
自分の本への満足度が高まります。
psdでの出力ができないので箔押ししたいときなどはまた考えものだなと思いますが、表紙はこちらでの作成に移ってもよいかなと考えています。
スマホ作成とタブレット作成はどちらがよい?
縦式ならどちらでも。
Canvaはタブレット一択。
全て使える場合、最適なのは?
特殊装丁を行わない場合、個人的な意見として、
表紙:Canva
本文:PC(Word)
奥付:Canva
が使いやすいと感じました。
おわりに
縦式・Canvaを使用するに至った、はじめにで述べた4点の理由がありました。
・そもそも執筆自体はスマホ
・A6以外の寸法で作成したい
・壊滅的にデザインセンスが無い
・入稿後にもう一冊を手軽に行いたい
これが結局縦式・Canvaで解決したかというと、解決できたと言ってよいのではないかと思います。
使いこなせたらもっと便利なはずなので、積極的に使って慣れたいです。