PINYO 1st Album 「Heart donut」Release tour 〜kawaiiは正義〜 at 渋谷WWW X
2024年8月4日。
関東地方の最高気温は35.3℃。
正真正銘の真夏。
湿気を孕んだ空気が否応なく体に
まとわりついてくる。
そんな午前11時に神田川沿いを歩く僕。
秋葉原から歩いて今はもう飯田橋にいる。
いくら歩くのが好きとはいえ、そろそろ
命の危険を感じてきた。
バッグにぶら下げたハンディファンを
回して心地良い風を起こす。
顔、首筋、そしTシャツの首元を引っ張って
ファンを突っ込み風を通す。
「シュルルルルル...」
ファンが止まる。まさかのバッテリー切れ。
充電し忘れたぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ダメだ、渋谷に着く前に熱中症で倒れる。
次に駅が見えたら電車に乗ろう。
飯田橋の次は、市ヶ谷か。
なぜ渋谷を目指しているのか。
時は遡る。
2024年2月22日。
日付けが変わってすぐ、スマホにXから通知。
“【お知らせ】
2/22 本日はぴにょ活動4周年記念です!”
そう、我が愛しのベーシスト、ぴにょの
活動が4周年を迎えためでたい日だ。
“そしてこの度、クラウドファンディングを
実施させていただきます!”
え?
クラウドファンディング!?
どういうことどういうこと!?
慌ててリンク先へ飛ぶ。
「はじめに」と題して今回クラファンを
実行する理由が書かれていた。
・1stミニアルバムの制作
・ライブツアーの開催
この二つを実現したい、と。
クラファンに掛ける並々ならぬ熱い思いが
文章から感じられた。
「ベース弾いてみた」だけじゃない、
ぴにょオリジナルの音楽を届けたい。
普段はネット上で繋がるみんなと実際に
会って繋がりたい。だからライブをやる。
楽しい時間を共有したい、と。
「やればできるかもしれない、
でもやらなければずっとできない。
だから、私は決意しました。
私の夢を叶えるためにみなさんの
お力をお借りしたいです。 」
胸が熱くなった。
ぴにょはいつだって先を見ている。
現状に甘んじない。
努力の人。
「ぴにょ…やるんだな!?今…!ここで!」
「あぁ!! 勝負は今!! ここで決める!!」
なんて「進撃の巨人」みたいな
やりとりを想像して一人で笑った。
大した力にはなれないだろうけど
少しでも支えてあげたい気持ちになる。
なんか、こんな心境がウルフルズの曲に
あったなあ。
なんだったっけ?
再び現在へ。
そう、クラファンがスタートした後の事は
みなさんご存知であろう。
開始わずか3時間弱で目標金額達成!
更なる高みを目指しストレッチゴール設定。
最終的に当初の目標金額の245%の資金が
集まった。
そこから本格的にぴにょは動き出す。
曲を作り、MVを作り、グッズ会議を行い、
発注し、クラファン返礼品の梱包まで自分で
やっちゃう。
そして届いたクソデカステッカー。
見本品で良かったね!
色紙にサインしながら配信もあったな。
最初カラフルに描いてたのに黒一色の方が
良く見えてきて完全に迷いだすぴにょ。
「どっちでもいいよもう」とコメントしたら
「ねえ、ちゃんと考えてよ〜!」って
逆ギレされたっけ。
見ていて飽きない人である。
初めて会ったのは楽器店が軒を連ねる
お茶の水だった。
ショーウインドーにおでこをくっつけて
展示してあるベースを見てた女性がいた。
トランペットに憧れるアメリカの少年かよ、
と思い近づくとやおらコチラに振り向き
「あんなぁ、ウチなぁ、ベーシストに
なりたいねん。ベース買うてや〜」
と話しかけてきたのが、ぴにょである。
...突如脳内に溢れ出した「存在しない記憶」
暑過ぎて変な妄想が浮かんできたところで
市ヶ谷駅が見えてきた。
改札をくぐり電車に乗る。
涼しい...。
新宿で山手線に乗り換え渋谷へ。
XやDiscordで酒気隊の面々とやり取り。
もう現地に到着している人。
絶賛移動中の人。
まだ家にいる人。
様々だが、多分みんな笑顔。
渋谷駅ハチ公口に出る。
再び、むせ返るような湿気を含む空気。
この暑さのせいなのか、人は多いが
想像していたよりは少ない。
地図アプリを確認しつつ移動。
目指すは「WWW X」!(なんて読むの?)
井の頭通りを北上して信号を左に。
少し先を右に曲がるとスペイン坂。
登り切ったところに「WWW X」。
入り口らしきところには誰もいない。
道を挟んだ反対側にあるパルコ付近へ。
先に到着していたお二人が近くのカフェで
涼んでいるらしいので合流して時間潰し。
15時の物販先行販売まで色々話した。
時間が近づいてきたので再び会場へ。
どうやら建物向かって右の外階段から
4階へ上がるらしい。
そうこうしている間に続々とおなじみの
面々が集まる。
5月のオフイベントで初めて会って、
今日までSNSだけで会話している人とも
すんなりと「いい空気感」になれる。
毎度、不思議な関係だよな、と思う。
大阪や韓国のライブに参戦した方々の
話を聞くと随分と盛り上がったらしい。
これはツアーファイナルの今夜は更に
盛り上げなければ、と思った。
でもな〜整理番号がな〜(42番でした)。
できるだけ前方行きたいっすよね、なんて
話してたら先行販売が始まった。
日差しを存分に浴びる外階段から会場内へ。
涼しい〜。生き返った。
おっグッズの実物が展示してある!
それぞれのグッズに手書きと思しきポップが。
「これ、ぴにょ作ですかねえ」
「っぽいけど、どうだろう?」
(後に判明したのだが、ぴにょ本人が全部
書いたそうです。)
お目当てのグッズを買い込み再び外へ。
おっと、今日の為に準備したプレゼントを
スタッフさんに託した。
気に入ってくれるといいな。
[業務連絡
本当は紙袋(イラスト描きました)に手紙と
プレゼント入れて渡そうと思ったけど、
色鉛筆で彩色してコーティングもなにも
してないので、擦れて汚くなったら嫌だなと
思いブルーのトートに畳んだ紙袋と手紙と
プレゼントを入れておきました。
業務連絡終わり。]
再び熱気溢れる外へ。
開場の17時までどうしましょう、どこかで
涼みますか、なんて案もあったけれども
人数が人数なのでアレコレ決めかねて
結局パルコのエントランス付近で過ごす事に。
店内の冷気が外に流れ出てきて涼しい。
そこで始まるチェキ開封の儀。
鬼のチェキ追加も乗り越えコンプする猛者は
現れるのか...!
いました。
毎度毎度凄いな!
そうこうしている内に連絡が。
「整理番号200番まで案内開始」
そそくさと会場へ。
4階には結構な人数がいた。
番号順に並ぶ。チケットとドリンク代を
握りしめ中階段を降りる。
いよいよだ...
扉をくぐり、ペットボトルの水を貰う。
会場を見る。
えっ広...
先に入場した人たちの後ろに着く。
ステージが近い!
去年の初ワンマンライブを行った渋谷の
「WOMB」は横幅より縦が長いので
後ろの方だったのだが、今回は横幅がある
おかげで、前に陣取る事ができた。
実質3列目といったところか。
そしてセンターマイクのド正面!
うーん正面より少し右か左にズレた方が
ぴにょのお顔が見やすいんだよなあ、と
考えていたら、
違和感。
なにかが違う。なんだろう。
あ、ポップガードが、無い。
毎度毎度ぴにょマイクにくっついてる
あのクソデカポップガードが今日は無い。
周りの人と、まさか顔出し全開で?とか、
普通にマスクでは?とか、逆に口元だけ
出して後はマスク!いやそれ覆面レスラーの
マスクね?とか、ステージにこっち向いて
立ってる照明がこっちの目を潰しにくるとか
予想というより大喜利になりかけてた。
会場内ではSEとして「Heart dunut」が
リピートされている。
もうすぐこの曲たちを生演奏、生歌で
聴けるんだな、楽しみだな。
しかし、いかんせんライブハウスだ。
座席が無い。当然ずっと立ちっぱなしだ。
開演まで後何分だ?
終演まで腰がもつだろうか。
ステージに人影。
スタッフさんが色々準備に入ってきた。
という事はそろそろ始まる...!?
SEがフェードアウト。
照明が落ちる。
スクリーンに映し出されるハート。
心電図のように鼓動に合わせて波形が
波打つ。
スクリーンの速くなる鼓動につられて
自分の鼓動もスピードを上げる。
鳴り響く「Heart dunut」のイントロ。
CDでは頭サビだけどイントロありもいいな!
ステージに、ギターのみゆうさんと
ドラムのMiMiさんが現れる。
歓声が上がる。
そして真打登場!
赤髪ぱっつんのNEWぴにょ!
あらマスクしてない!?
そりゃあ歌うからしてないか!
「盛り上がっていきましょ〜〜〜!」の
掛け声で一層強くなる歓声。
距離が近いから今までで一番お顔が見える!
ああやっぱり可愛い...
これだけで成人男性が一日に必要な
栄養素に匹敵する効果があります。
バックスクリーンではアルバムジャケットの
女の子(ぴにょ?)の2Dモデルがダンス。
そして間奏からラップパートに早めに
入っちゃうミス。
「まちがえちゃった〜!」
1曲目から!?
いいぞもっとやれ、ってな具合で盛り上がる
フロア。
2曲目は「キャラメルポップ」!
ぴにょ最大の武器である「声」に超絶
マッチした可愛い曲。
デート前、デート中の女子の気持ちを
甘い甘い声で歌われるとオトコは誰でも
ファシネイション(魅了)されると思います!
ここでMC。
観客の“かわいい〜!”を受けて
「可愛い?可愛いでしょ?可愛いのよ!」の
三段活用いただきました。
そして今回のツアー開催に至る経緯を語る。
2月のクラファンから、曲作り、アルバム
リリース、大阪・韓国ライブを経ての今日、
ツアーファイナル渋谷。
「半年間突っ走ってきたんだ」
万雷の拍手。
半年間の苦労がフラッシュバックしたのか、
「泣いちゃいそう〜!」
一斉に上がる「まだ(泣くの)早いよ!」の
ツッコミ。
「まだ早いんだけど...がんばってきたからぁ」
涙声である。たぶん鼻水もちょっと出てる。
今日までどれだけ頑張ってきたか、その場の
全員が知っている。
無事にツアーファイナルを迎えられた喜びは
僕達の想像以上だろう。
また、語り始める。
今日のファイナルを最高に盛り上げたい、
円盤化も決定しているからもっともっと
盛り上がってほしい。
なので声出し練習をします、と。
渋谷スペイン坂に響く“ウリャオイ”コール!
ウリャオイ!ウリャオイ!
...ん?kawaiiを詰め込んだアルバムにこんな
野太いコールがマッチする曲あった?
そして始まる3曲目、「サインはB」!
“ようやく会えたね 嬉しいね
待ち遠しくて足をバッタバタしながら
今日楽しみで寝れなかったよ(オレモー!)”
なんてピッタリな選曲!
P小町!フッフー!
P小町!フッフー!
そして流れるように4曲目。
このイントロは「可愛くてごめん」か!
この曲は歌詞をよく読むと「好き」に
全力で打ち込む努力の歌なんだよな。
これまた、ぴにょにピッタリの選曲!
再びMCでメンバー紹介。
「ギター!、みゆう〜」イエエエエエエエ!!
「ドラム!、MiMi〜」イエエエエエエエ!!
「ベース&ボーカル!、ぴにょ〜」
あ、自分で言うんだ。
え、こういう時って他の人が紹介しない?
と、思ってたらぴにょの歓声が少なかったので
もう一回自己紹介。
おもしろいなあホント。
そして5曲目。
バンドでやったらカッコいいんじゃないか、
と思ったという「天ノ弱」。
本家もギター、ベース、ドラムだけど
ぴにょの弾き語りバージョンが沁みるんだ。
去年のワンマンでも披露してくれた曲を
今年はバンドバージョンで!
「声出せーーーー!」と煽ってくるぴにょ。
ベースを弾きながら歌うの難しいと以前
言ってたけど、普通にこなしてて驚いた。
しかもあのハイトーンボイス。
努力の人だから、一杯練習したんだろうな。
続く6曲目は「デビジェル」。
アルバムの中で一番アップテンポの曲。
「盛り上がり足りませんよーーー!」と
更に煽ってくる。
天使(看護師)と悪魔(圧)のどっちが本性?
バックのスクリーンには可愛い天使と悪魔の
キャラが。
そう言えばこの映像も7曲くらい自分で編集を
やったって話してたな...この半年ちゃんと
寝てたのかなと心配になる。
腕を振り上げ、歓声(雄叫びかも)を上げ、
ジャンプしまくったので、曲が終わったら
自分も周りのみんなもハアハア言ってた。
ステージが近いとテンション上がっちゃって
しょうがない。
そして弾き語りコーナーへ。
椅子を自分のところへ。
弾き語りの椅子といえば5月のオフイベを
思い出す。
姿勢を正した時に椅子からずり落ちたのだ。
思わず「椅子気をつけて」と声を掛けた。
マイクスタンドも自分でセッティング。
高さを合わせるのだが”スーン...“と下がる。
もう一度。“スーン...”
思わず「もういいよそれで」と声を掛けた。
ぴにょも「もういっか!」と応えてくれる。
「はい!」位置が決まる。
椅子にちょこんと座りギターを抱えて
話し出す。
今年で活動4周年。
一旦、活動休止したこと。
音楽を続けるか迷ったこと。
自分の目標に向かって自由にやればいいと
思い至ったこと。
そして今、ここにいる。
ここにいるのは、応援してくれるみんなの
おかげ。
そんな、みんなのことを歌詞に書いたこと。
この曲は“みんなとわたしの曲”。
7曲目「眠るアネモネ」。
右上からの白いスポットライトに照らされ
歌い始める。
フロアはシンと静まりかえり、みんな
聴き入っている。
途中で感情が昂ってしまったのか声が
震えてる?
と思った矢先にぴにょが泣いてしまった。
すかさず、あちこちから「がんばれー」と
声が上がり、後押しするように手拍子も。
泣きながらもギターは鳴り止まない。
歌い続ける。
鼻を啜りながら最後まで歌いきった。
ダメだこっちも泣いちゃう、こんなの。
これで泣かないヤツいる?
人の心とかないんか?
自分のこれまでの活動を歌詞にしたから
自分で歌ってグッときちゃうらしい。
スタッフさんが箱ティッシュを持ってきた。
鼻水を拭いて丸めたティッシュを手に
「このティッシュいる人〜」だって。
一息ついて、次の曲。
8曲目「3days」
変わり映えのない日々に輝く星のような
存在になりたい気持ちを込めたそう。
人生に行き詰まると心が重くて重くて
下ばかり見て歩くようになるけど、ふと
空を見上げると広い空に一番星が輝いてて
自分の悩みがどれだけちっぽけな事なのか
気付かされる。
“キラキラキラ光る星に 私はなりたい”
もうなれてるよ、一番星に。
何度ぴにょに助けてもらったかわからない。
応援してくれるみんなのおかげでここまで
来られたっていうけど、こちらこそあなたが
いてくれたから、今までやってこられたんだ。
同じ思いの人は大勢いるはず...
弾き語りコーナーが終わり再びステージに
ぴにょバンドが集結。
9曲目「ROLLING1000tOON」!!
ここに来てこの曲はアカン。
脳を介さず体が勝手に動いてしまう!
ぴにょが繰り出す重低音で延髄突き割られる!
上腕二頭筋に溜まる乳酸。
右腕が死ぬ!
休む間もなく10曲目「F」!!
空気を震わすギター。
フロアを揺らすドラム。
内臓まで響くベース。
グッバイ右腕。
腰も脚も限界を迎えているハズなのに
止まらない。
フリーザに睨まれたクリリンのように
そこから逃げ出せない。
やがて曲が終わる。
誰も彼もハアハアと肩で息をする。
ぴにょが声をあげた。
「残すところ、あと4曲です!」
「エエーーーーー!?」
4曲で宣言する人初めて観た。
普通「次がラストの曲でーす!」じゃない?
そんな疑問を掻き消すように話し出す。
正確ではないが要約するとこうだ。
「正直、可愛いか可愛くないかは
どうでもよくて今日という目標に
向かってきた自分は輝いていると
思う。
今日ここに来てくれたみんなも
素敵だと思う。
これからも素敵なみんなと目標に
向かって走っていきたい!」
当然だ。
一斉に起こる拍手と歓声。
その勢いのまま11曲目「アイドル」!
ぴにょはアイドルなのか?
ルックスも声もそこらへんのアイドルを
軽く凌駕している。
“今日なに食べた?”
“好きな本は?”
“遊びに行くならどこに行くの?”
ぴにょならすぐ答えるしなあ。
なんなら聞いてないコトまで。
“金輪際現れない 一番星の生まれ変わり”
そう、やっぱり一番星なんだ。
12曲目「ラヴィ」になだれ込む。
あの衝撃の活動休止宣言から7ヶ月、
待望の復活を果たしてまだ間もない頃に
投稿された曲。
この頃の酒気隊はみんな浮き足立ってたな。
(僕だけでしょうか)
しかし歌いながら、左右に揺れながら
よくベース弾けるなあ、と感心して観てた。
13曲目のイントロで鳥肌が立った。
「星座になれたら」だ。
結束バンドの曲の中で1、2を争うほど
好きな曲。
以前弾き語りバージョンをUPしてたけど
バンドバージョンも聴けるとは!
そしてまた歌詞に“星”が出てくる。
今回のセットリスト、なにか選曲に意図が
あるのだろうか?
ついに最後の曲。
14曲目、ぴにょ初のオリジナルソング
「alone night」。
最初に発表された時はアンニュイかつ
ネオシティポップ感に溢れていて夜の
首都高を走っている時に流したい曲だった。
今回のアルバムバージョンはアンニュイを
薄めつつkawaiiを足した感じ。
すいません上手く表現できてません。
とにかく初めて作ったとは思えないほどの
完成度で驚いたのを覚えている。
歌詞の韻の踏み方、ブレイクの入り方が
気持ち良くて、なにやらせても想像以上に
仕上げてくるぴにょ。何者だ?
終わってしまった。
「みんな大好きだよー!」
と言ってステージを降りていった。
あちらこちらから聞こえる「ありがとう」と
鳴り止まない拍手。
拍手は徐々にリズムになり、アンコールいや
ナースコールの合唱が生まれる。
“ナースコール!”
“オイ!”
“ナースコール!”
“オイ!”
“ナースコール!”
“オイ!”
何回ナースコールと叫んだろうか。
患者さん大勢待ってますよ!
「ナースコールありがとう。
来ました、看護師が」
ライブグッズの黒Tを着たぴにょ登場。
みゆうさんも黒、MiMiさんはブルー。
で、今日までの振り返り。
「一人ではここまで来れなかった。
いろんな事があって、いろんな人が
支援やお手伝いをしてくれて」
「でも第一は、みんながいるのが嬉しい
みんなに感謝してます!」
大きな拍手と「こちらこそありがとう」の声。
ここでなぜかぴにょさん、
「ごちそうさまでした〜」
ごちそうさま?今ごちそうさまって言った?
なんで?
周りのみんなと首を傾げた。
「ドンッ!」突如鳴り響くバスドラ。
キックが鳴ったらみんなでジャンプする
恒例行事らしい。
「ドンッ!」
「よいしょー」と一斉にジャンプ。
タイミング良すぎて驚くぴにょ。
「いつ来るかわかんないから気をつけてね。
飛ばなかったら罰ゲームね」
よしバッチこーい!
そして始まる恒例の販促コーナー!
決して余ってる訳じゃないけど、黒Tの
在庫があるかなあ、という事で終演後の
物販にて、Tシャツを購入(事前購入も可)
した人にぴにょが何にでもサインする!
という神サービスの発表が!
後トートバッグも余ってる訳じゃないけど
なんかいっぱいあったし通勤などに丁度
いいサイズなので買って(圧)との事。
それに今回グッズを入れる袋がないから〜
と発した時に思わず言ってしまった。
「ワザとでしょ?」
「ワザとじゃねーし!」とぴにょ。
あの時は一瞬マジギレしてたな多分。
調子こいてすいませんでした。
しかしそこはプロ。サッと切り替えて
「良かったら来てくださ〜い。
では最後に一曲やってもいいですか?
初めてYoutubeに投稿した曲を。」
15曲目「ロキ」。
昨年の初ライブでもラストを飾った。
2020年の「ロキ」は今、観返すと逆に
新鮮だ。
身体でリズムを取ってはいるが、ほとんど
その場から動いていない。おとなしい。
2023年に再び「ロキ」を投稿するのだが
音源を自作してボーカルまでこなしている。
だが動きがまるで違う。
右に左に激しく揺れながら、いや暴れながら
と言った方がいいかもしれない。
全身で音を奏でている。
動画なので音や歌は別撮りでなんとかなるが
ライブではそうはいかない。
だが、どうだ。
歌わなければいけないのでマイクの前から
大きく外れる事はないが、全身でリズムを
取りつつスラップもバチバチに決めている。
カッコいい...
ホラゲ配信の半泣きでゲームしてる人とは
思えないぞ。
「ロキ」の歌詞はバンドマンを鼓舞する
内容なのと自分は勝手に解釈しているが、
もしかしたら、ぴにょも同じ解釈で自分に
向けられた曲に感じているから思い入れが
あるのだろうか。
ついに正真正銘最後の曲が終わった。
オーディエンスも惜しみない拍手を送る。
ああ、終わっちゃったああああああ、と
油断したところにキックが鳴る!
あわわわ。なんとかジャンプ!
危ねえ、罰ゲームくらうとこだった。
フロアが明るくなった。
「ピック投げ練習してきたから!」
唐突に始まるピック投げ。
これは是非ともゲットしたい!
大阪では殆ど飛ばなかったと聞いているが
さてどうだ?
一投目!ステージ向かって右!の前方!
飛んでねええええええ!
どんな練習したんだろ...
二投目!ステージ向かって左!の前方!
スナップ効かせて!
三投目!真ん中エリア!さあ来い!
思い切り手を伸ばして待ち構える。
今、エサを投げてくれるの待ってる動物園の
熊みたいになってない?
ぴにょと目が合った(合ってない)。
ちゃんと受け止めてね!という声が
聞こえた(聞こえてない)。
投げた!放物線を描いたピックを目で追う。
照明が目を刺す。
ああああ目が、目がああああああああ。
ピックが光に溶け込んで見えませんでした。
残念。
「ありがとうございましたー!」
ぴにょとみゆうさんがステージ袖に向かった
いいタイミングで鳴るキック!
「うええい!」最後のジャンプも決まった。
ああ終わった〜。
「眠るアネモネ」のBGMが流れる。
スクリーンにエンドロールが映し出される。
こんなのもあるのか、凝ってるなあ、と
ライブの余韻に浸りながら眺める。
それも終わる。
スクリーンにノイズが走る。
どよめく場内。
エンドロールが逆再生?
集まった人達でデスゲームでも始まる?
な、訳もなくアドレスが表示された箇所で
ぴたりと止まってカーソルがそのアドレスを
クリックすると...
“ぴにょファンコミュニティ開設”
の文字が!
いつかの配信で構想中だったやつか!
こんなに早く発足するとは全く予想外だ。
ぴにょがナレーションのお知らせは続く。
“9月6日 FC限定オフイベント開催”
マジか。
そんなに早くまた会えるのか...
また別の映像が流れた。
「眠るアネモネ」のMVだった。
“8月5日 0:00公開”
今夜じゃん!楽しみが一気に増えた。
(MVは直前で不具合があり6日に延期)
さあ、では物販に行きますか!
ここから長い戦いが始まる事を知る由は
なかった...
フロアを出ると階段の手前でスタッフさんが
フライヤーを配っている。
どれどれ。
先程告知されたFCのチラシであった。
入会はコチラ、のQRコードもある。
物販に並んでる間に入会しとけよ?と。
なるほどなるほど。
まあ即入会しましたね。
物販スペースのある4階に着くと、そこそこ
並んでいる。
どうやら一旦外階段を1階まで降りて外に
並ぶようだ。
外階段にもビッシリと並んでいる。
最後尾へ。
どれくらいの待ち時間だろう。
地方から来ている人もいるだろうし
帰りの交通手段は大丈夫だろうか、と
考えていると列が動き出す。
再び外階段を4階へ。不便な造りだなオイと
悪態を吐きつつも、ぴにょと間近で会える
喜びに顔がニヤける。なにを話そうか。
列は止まらず物販コーナーを素通り。
ああ〜そういうコト?
内階段で再び下へ。階段の壁沿いにも
並んでいる人々。
フロアを出るのが最後に近かったため
ぴにょに会えるにはまだまだ掛かりそうだ。
少し進み、また止まる。
少し進み、また止まる。
4階での様子がなんとなく分かる。
ひとりひとり丁寧に接しているんだろう。
たった今ステージを終えたばかりなのに。
あのバイタリティはどこから...
待ち時間も仲間と過ごせばあっという間。
自分の番がやってきた。
「梅ちゃんです」。
ぴにょの記憶力を信用してないので(失礼)
自分で名乗った...なんで“ちゃん”付けた?
事前に欲しいものは買ってあったので
チェキを買い、ぴにょに選んでもらう。
「来てくれてありがとう。」
オフイベで会ったばかりだけど、やっぱり
可愛いなあ!赤髪ぱっつんも実際見ると
綺麗な色だった。
「サインはなにに書く?」
と聞かれて我に返った。ニコ生の会員証を
取り出してサインしてもらった。
「ハイ!」とカードを渡してくれる。
なんか気の利いたこと言わなきゃと焦り、
「変な掛け声ばっかしてゴメンね」と
口をついて出る。
「全然全然!大丈夫だよ?」とぴにょ。
優しい。好き。
「レポート書いてね!」とも言ってくれた。
去年のワンマンと5月のオフイベのレポートを
書いたら読んでくれて褒めてももらえた!
真っ直ぐなで大きな瞳を負けじと見つめて
「うん!書くよ!」と答え、手を振って
その場を後にした。
生ぬるい空気に満たされた渋谷は不思議と
不快感は無かった。
推しとの最高に熱い時間を過ごせた喜びで
いっぱいだったから。
仲間たちもみんな笑顔だ。
先に外に出た人達が見当たらなかったが
どうやらどこかの店に移動したらしい。
僕も合流して思う存分語り合いたかったが
いかんせん翌日は月曜日。
全人類が嫌いな月曜日。
週を始めるな月曜日。
朝5時に起きて身支度を始めるために今夜は
早めに帰る苦渋の決断。
あの、今度東京でライブする時は土曜日が
いいかな〜、なんて無茶なお願いは...
できないよなあ。
「じゃあ、すいません今日は帰ります!」
みんなに挨拶して会場を後にする。
ネオンがギラギラのセンター街を歩く。
日本人も外国人もみんな楽しそうだ。
ついさっきまでの熱狂と興奮の時間が
1秒ごとに過去になっていく。
電車に乗る。
このレポートを書くための準備をする。
メモアプリを開いて、今日の出来事を
思いつくまま書き記す。
忘れてたまるか、あんな素敵な思い出。
書く。思い出す。書く。思い出す。書く。
書く。書く。書く。書く。書く。書く。
気付けばもう降りる駅。
自転車置き場から家まで自転車を押して
歩いた。
空を見上げて星を探す。
地上が明るいから満天の星空、という訳には
いかないが、少し星が見える。
“キラキラキラ光る星に 私はなりたい”
ツアーを終えたばかりだけど、彼女はもう
その先を見ているだろう。
今よりももっと彼女を輝く星にすることが
できるだろうか。
いや、烏滸がましいな。
あくまで輝くのは、ぴにょ自身であって
我々ができるのはほんの小さなお手伝いで
しかない。
それでも、ぴにょは
「みんなと一緒に走っていきたい」
って言ってくれるだろうな。
このレポートの最初の方に書いた、
“なんか、こんな心境がウルフルズの曲に
あったなあ。
なんだったっけ?”
これ。
思い出した。
ウルフルズの「きみだけを」という曲。
歌い出しはこうだ。
君が見てる夢を叶えてあげたい
君が見てる未来に僕は必要かい?
ひとり口ずさみながら歩いた。
2024/8/9 梅