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ぴにょ 1stアルバム “Heart donut“ リリースオフイベント in東京
2024年5月18日、世田谷区池尻にある
ライブハウス「 #chord_ 」にて
ぴにょが全曲を作詞作曲した
1stアルバム「Heart dunut」の
リリース記念オフイベントが開催された。
その日は朝からとてもいい天気で
日陰にいないと汗が流れるほどだった。
通常なら仕事なのだが、この日は
有給を取ってある。
開場が15時で尚且つ整理番号順の
入場であるため、午前中はゆっくりしても
良かったのだがいつもの時間に目が覚めた。
家にいても、この後実物のぴにょに会えると
思うと緊張して居ても立ってもいられず
出発する事に。
秋葉原のマクドナルドで腹拵え。
関西から新幹線で駆けつける酒気隊の
ひとりと待ち合わせることになっているので
DMで連絡を取りつつ時間調整。
下北沢で待ち合わせる事になったので
とりあえずマックを出て歩き出した。
午前中の、まだ朝と言って差し支えない
時間は秋葉原といえど人はまばらだ。
時折スーツ姿の人とすれ違う。
出社途中かな。それとも外回りだろうか。
心の中で
「お疲れ様です。ワタクシ今日は推しに
会いに行く為休みですサーセン」
と呟く。
見上げれば初夏の日差し。
いつもは汚ねえ神田川の水面もキラキラと
輝いてる。
そしてイヤホンから鈴を転がすような声で
『すきすきすきすき...大好きなのよ...』
と歌が流れる。
もうすぐこの声の主に出会えると思うと
鼓動が少し早くなる。
途中、日本橋室町のビル群の中にある
福徳神社に立ち寄ってイベントが無事に
終わるように祈った。
東京駅を過ぎて有楽町駅まで来たころに
丁度いい時間だったので山手線で渋谷へ。
京王井の頭線に乗り換え下北沢へ。
酒気隊関西支部長と無事に落ち合う。
挨拶もそこそこに軽く食事を摂った。
主にぴにょさんや推し活について
話し込んだ。
そしてこの後、他の酒気隊メンバーとも
待ち合わせしているとの事だったので
会場方面に散歩がてら移動する事となる。
下北沢駅の南側は商店街になっており
週末らしい賑わいだ。
日本人観光客や外国人観光客で溢れる
ストリートを人波を縫うように歩く。
しばらく行くと茶沢通りに出た。
更に南下。
人が少なくなり、ショップなども減る。
代わりにアパート、マンションなどが
目立ち始め住宅街に入ったと気づく。
更に歩く。
日差しは更に夏の様相を強め、額や
背中にじんわりと汗をかかせる。
そうこうしているとまた、コンビニや
ファストフードなど店が増えて人も
多く行き交うようになった。
三軒茶屋に着いたようだ。
玉川通りに出ると左に曲がる。
頭上を高速道路が走っていて騒がしくなる。
この道を10分も歩けばイベント会場の
『#chord_』がある。
右をラーメン屋、左を串揚げ屋に挟まれた
ビルの地下。
一見するとライブハウスだと思わない。
地下へ続く階段の手前に緑の立て看板が
置いてあり、「Today’s Events」、
「PINYO 1st Album ”Heart dunut”
rerease off event in TOKYO」という
文字とアルバムジャケットのイラストが
あしらわれたポップが貼ってある。
これを見た途端に、一年振りにぴにょに
会える実感が湧いてくる。
鼓動が少し速くなったのは、長々と歩いて
来たせいでもなさそうだ。
一旦落ち着こう。
まだ他の酒気隊の方々と落ち合わなければ。
目と鼻の先にある池尻大橋駅に向かう。
果たしてそこには、去年の1stワンマンの
時にお会いしたお二人が。
一年ぶりだと言うのに、全く久しぶりな
感じがしないのはSNSや配信でたびたび
交流があるから。
再び会場前。
チラホラと周辺に人がいる、けど同じ目的の
人たちなのかどうか判別がつかないので
声を掛けようか迷っていると向こうから
話し掛けてくれる方が何名かいらっしゃって
「◯◯です」
「おっ◯◯さん!?わたくし◯◯です」
なんて自己紹介タイムがあちこちで起こる。
初めて会うのに、SNSのアカウント名を
聞けば瞬時に仲間になれるのって不思議で
面白いよなあ。
ぴにょさんから繋がり、拡がる「縁」だな、
と心がじんわり暖かくなるのを感じた。
アイコンとか書き込みから想像してた
人物像との違いを見るのもオフイベの醍醐味。
また新たな出会いに感謝しつつ整理番号順に
待機列を作る。
自分は17番。
定員50人で17番目なら、結構ステージに
近いのでは!?と期待して待つ。
やおら列が動き出す。
おお入場だ〜!
階段を降りる。
ワンドリンクチケットを受け取り
フロアに入る。
うおおおおおおおお思ってたより
せせせ狭い!
丸椅子ギッチギチ!
驚いてばかりもいられない。
即座にバッグを椅子に置く。
3列目の真ん中をキープできた。一安心。
バーカウンターでジンコークを貰って
席に着いた。
ステージが近い!
やたら高い椅子が中央に。
向かって左に譜面台とアコギ。
右にマイクスタンド。ちゃんとポップガードも
付いてるな良し良し...いや良くないよッ!
ぴにょちゃんの顔が見えないじゃないかッ!
まあしょうがない。
気を取り直してステージを観察した。
正面の白い壁をスクリーン代わりに
アルバムの告知画像を投影している。
照明もなんだか本格的だ。
アルバムジャケットのパステルブルーと
ピンクを意識した色になっている。
フロアと天井にデジカメが据えてある。
動画撮影してるのかな?
スピーカーからはSEとしてアルバムが
ループしている。
この後、生演奏生歌で聴けるんだよなあ。
どの曲を聴かせてくれるんだろう。
ジンコークを飲み干して、そろそろかな、
と思っていたらSEの音量が下がった。
と思っていたらSEの音量が爆上がった!
うおおおい!
ここでも鼓膜を破壊しにきたんか!
なんて思ってたら照明が暗くなった。
ステージに誰か来た。
「あ、ぴにょだ」
当たり前である。
あれ?マスクしてない!
嬉しい誤算。
去年のワンマンライブではステージが
遠くてハッキリ見えなかったのだけど
今回は見る事ができた...
めちゃめちゃ可愛いんですけどおおおお?
半ば放心状態で、椅子に腰掛けるぴにょを
見ていた。
白の長袖シアーニットに白のロングスカート。
靴はもちろんヒール高めの厚底だ。
アコギを構える。
ポップガードの野郎!顔が見えねえ!
そして始まる夢のような時間...
1曲目。
CD音源とは違い、弾き語りのため
ぴにょさんの優しい歌声がダイレクトに
耳に飛び込んでくる。
あ、曲名というかセットリストはあえて
書きません。
大阪でもオフイベがあるので楽しみを
奪うようなマネはいたしません。
そして事件は起こる。
歌い終わって、座りなおそうとしたか
なにかのはずみで、ぴにょさんが椅子から
落ちてしまった!!
床に激しく打ち付けられる尾てい骨!
「あ痛ああああああああああああああ」と
激しく叫びながらステージを転げ回る!
「おつぴにょおおおおおおおおおおお」と
ゴロゴロ回転しながらステージ裏に...
と、そんな事はなく、ズリ落ちたものの
左手はマイクスタンドを掴み、右手は
アコギを落とすまいと咄嗟にホールを
掴んでいた。
会場全体がザワっとした瞬間だった。
どこまでハプニング起こせば気が済むんだ。
などと、大事に至らなかったので笑って
話せるけど。
最初に椅子が高いなと思ってたんだ。
座ったら足が下に届いてなかったような。
大阪ではもう少し低い椅子でお願いします。
あとスタッフさんも早く助けてあげて
欲しかった。
ぴにょさん、変なポーズで動けずにいたし。
とまあ、いきなり特大ハプニングで
スタートした弾き語りライブ。
一曲歌い終わるたびにその曲に込めた
想いや願い、歌詞の秘密など作った時の
裏話を聞かせてくれた。
なんて贅沢なセルフライナーノーツ。
歌声は優しくて軽やか。
でも左手は忙しくコードチェンジ。
細くしなやかな指の動きに見惚れる。
イベント開始前にインスタのストーリーで
『ド緊張』なんて書いてたけどとても
そうは見えない。
淀みなく音を繋ぎ、たゆみなく歌を紡ぐ。
世界一優しい声が会場を包み込んでいた。
ふと思う。
「時が止まればいいのに」
そんな都合のいい願いもむなしく
幸せな時は過ぎていく。
彼女は、夢を持つこと、
夢に向かって進むことの
大事さをいつも教えてくれる。
やりたい事にチャレンジしよう。
失敗したってそこで全てが終わる訳じゃない。
夢に向かって努力してきた本人が言うんだ。
説得力が違う。
この人に出会えて本当に良かった。
〜fin〜
いやいやいやfinじゃないよ!
なに締めようとしてんの!
気を取り直して。
弾き語りが全て終わった。
トータルで6曲を歌いきった。
甘い余韻の中、ぴにょさんが話し始める。
YouTubeのメンバーシップ限定配信でも
語られた悲劇...
そう「クッキー事変」である。
このイベントに来てくれたみんなに
手作りクッキーを渡したかったのに
食品衛生法の高い壁に遮られたアレ。
いまだ悔しそうに語るぴにょさん。
そのために食品衛生責任者の資格まで
取得したぴにょさん。
配信でこの話しを聞いた時は、その優しさに
涙が出たのは僕だけではあるまい。
「で!代わりと言ってはなんですが...」
と続く言葉に場内が一瞬期待感で溢れる。
「“ぴにょ靴下”を抽選でプレゼントします」
ぴぴぴぴにょ靴下!?
グッズ会議配信でも大いに盛り上がった
あのダセえ靴下か!
どうやらグッズで販売しようとした靴下は
オーダーするのに1000足単位で発注が
必要らしく、売れ残り回避のために
発注数を減らすとその分単価が上がって
しまうため泣く泣く諦めたという。
その靴下(と同じデザイン)をなんと今回の
イベントのために酒気隊の一人の方が
自前で10足作って差し入れてくれたという!
口ゴム部真下のボディ部に燦然と輝く
“P”の刺繍文字!
ダs...いや、良くない?
ダサさをテーマにデザインをあれこれと
考えてたけど、これはこれでイイなあ。
その靴下を10名にプレゼントとの事。
入場時の整理番号を抽選アプリで選ぶ。
あ、僕?ハズれましたよ、ええ。
こういう時にホントに運が無いんだよなあ。
まあ、しょうがない。
この後は待ちに待ったツーショットチェキの
時間だ!
急に胸が早鐘を撞くように高鳴る。
『ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ』
『なに話そう。そもそも話す時間あるの』
『どれくらいまで近づいていいの』
頭の中がパニックである。
考えが纏まらない内に撮影会が始まる。
1列目から順番に。
目の前に撮影してくれるスタッフさんが
いて、お客さんが丁度見えない位置だったが
隣のぴにょさんは見えた。
どうやら左手でハートの片方を作っている。
『おいおいおい、夢にまで見たアレか!』
ツーショットチェキといえば定番のアレだ。
『うへえなんか恥ずかしい〜でも嬉しい〜』
途中、プリンターの不調かなにかで
順番が止まった。
プリンターの復帰を待つ間、ステージ上で
ぴにょさんと話し込んでいる人を見て
『僕の時もプリンター止まれ!』と
願ったのは僕一人ではあるまい。
プリンターも復活。
ローテーションも動き出す。
いよいよ来た自分の番。
一段高くなったステージに右足から登る。
ぴにょさんまで2m、1m、50cm!
手を伸ばせば届く距離に、いる。
去年のワンマンライブ後の物販でも机を
挟んで対峙した事はある。
だが今、二人を隔てる物は何も無い。
間近で見るぴにょさんは本当に小柄だ。
客席から見ると大きく見えるのに。
抱きしめたい衝動をグッと堪えて名乗る。
「梅です」
「えっ梅ちゃん、そんなおっきかった!?」
「ぴにょはそんなちっちゃかったっけ?」
なにこの幸せな時間。
真っ直ぐ目を見て話してくれるから
こっちもちゃんと見つめたら左目の下に
泣きぼくろがあった。
確か描いてるんだっけ。
「じゃあ、右手でハート作って!」
おっそうだ撮影だ。
我に返って右手でハート半分を作る。
「では撮りまーす」
スタッフさんの合図が掛かる。
なんだか小っ恥ずかしいなあなんてチラッと
差し出されたぴにょさんの左手を見やると
「ぶほぉっ!」
思わず変な笑い声が出た。
サムズアップじゃねえか!!
ハートどこ行ったオイ!
してやられた。
完全に弄ばれた。
マジデビジェル。
でも嫌な気はしない。
もう4年の付き合いともなると、こういう
イジりも嬉しいものだ。
どうやらポーズはランダムのようだけど
これはこれで笑いのネタになる。
(後日知ったのだけど、腕組みポーズも
あったらしい。僕は血の涙を流した)
チェキが印刷(現像?)されるのを待つ間も
言葉を交わす事ができた。
「ライブはシックスパックじゃないと
ダメだよ?」
「シックスっていうか、3段腹なんですが」
チェキ完成!
空気読めよプリンター!
「はい。画像出るまで振らないでね」
まだ絵が浮かび上がってないフィルムを
両手で持って渡してくれる。
僕も両手で受け取る。
緊張で手は震えていた。
「じゃあ大阪のライブも来てね(圧)」
「うっ頭がッ...!」
なんてやりとりでチェキタイムは終わり
会場を出て階段を上る。
一足先に外に出た酒気隊のみんなが
待っていた。
「ああああああ緊張したあああああ!」
皆、笑顔で迎えてくれる。
「ヤバくないっすか!?」
「ヤバいっす!」
間近で見る生ぴにょの衝撃で誰しも
語彙が貧弱になっている。
うっすらと浮かび上がるチェキを持つ手は
まだ震えていた。
「じゃあ軽くご飯でも食べますか」
特に交流のあるメンバーで打ち上げの流れ。
最終的に11人になった。
「どこ行きます?」
「三茶とか店ありそうですよね〜」
「ってか、ここイイんじゃないすか?」
会場の真横にある串揚げ屋。
丁度、奥のテーブル席が空いていた。
ビール、ハイボール、ウーロン茶。
皆に飲み物が行き渡る。
「お疲れ様でした。乾杯!」
「かんぱ〜い」
「おつぴにょ〜!」
串揚げ盛り合わせに焼き鳥盛り合わせ、
山盛りポテトに炙りシメサバまで来たぞ。
飲んで、食べて、笑って、泣いて...はないか。
今日の感想、ライブの予定、チケットの
残数の心配、これから先のぴにょさんの展開。
本人不在でああでもないこうでもないと
盛り上がる。
ああ、この感じ、久しぶりだなあ。
飲み会自体に参加するのが何年振りだろう。
ぴにょさんを推してたらまた、こんなに
楽しい集まりに参加できるんだろうな。
宴も終わり。
これからまた地元に数時間かけて帰る人も
いるためそろそろお開き。
店を出るとすっかり日は落ち、昼間の暑さは
太陽と一緒に消えていた。
もうすぐ夏だ。
いやその前に憂鬱な梅雨があるぞ。
皆で駅まで歩く道すがら少し酔いの回った
頭で考えていた。
後ろからは笑い声。
ああ、楽しいな。
電車で渋谷へ。
ここからそれぞれの帰路に着く。
「オレこっちなんで」
「僕は向こうです」
ひとり、またひとりと別々に歩き出す。
「じゃあまた、ライブで」
新宿駅で最後の一人を見送って
総武線のホームに来た。
仕事帰りに乗る、いつもの車両乗り場。
ホームに電車が滑り込む。
扉が開く。
ホームと電車の隙間が
『非日常』と
『日常』を分ける境目に見えた。
扉が閉まる。
まだホームに居た。
もう少しだけ『非日常』に居たかったから。
ポケットからイヤホンを取り出す。
ノイズキャンセリングが周囲のざわつきを
消す。
ホームに電車が滑り込む。
扉が開く。
ホームと電車の境目をひょいと跨ぐ。
なんだ、簡単に行き来できるじゃん。
・Music
・ライブラリ
・アルバム
・『Heart donut』
▶︎再生
『すきすきすきすき...大好きなのよ...』
ー完ー