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DAVID BOWIE 最初の5年間 スターダムの気配全く無し
今日も残念ながら雨。
BBCが作ったデヴィッド・ボウイのドキュメンタリーで、興味深いものがございます。このドキュメンタリーは、ボウイが鳴かず飛ばずから有名になるまでの軌跡を描いているんですが、かなり辛辣で味わい深いドキュメンタリーとなっております。
■『デヴィッド・ボウイ 最初の5年間』
こちらのドキュメンタリーでは、ブレイク前のボウイが、BBCはボウイに何か恨みでもあるのかよってぐらい「何ひとつとして良い所の無い青年」として描かれております。
何曲も世に出し続けてはさっぱりヒットせず、オーディションには落ち、黙々と次の手を打ち。これが延々と何年も続きます。
更に面白かったのが、「才能があるのに不遇」とかじゃないんですよね。
もう音楽やめた方がいいよって感じなんです、ホントに。
観てるこっち側からしても「確かにこれは……一体何なんだ……」と頭を抱えるような曲やらヴィジュアルイメージやらが延々と続きます。
ただ、これと合わせて「DAVID BOWIE 最後の5年間」というドキュメンタリーもBBCから出ております。
■『デヴィッド・ボウイ 最後の5年間』
こちらはさすがに晩年のデヴィッド・ボウイについてのドキュメンタリーですので、成功の後に様々なスタイルにチャレンジし、円熟し、その末にかつての自分が居た場所へ帰ってくるような非常に素晴らしい内容となっております。
さっきの「最初の5年間」は何だったんだ? って感じの仕上がりです。
合わせて観ると、鳴かず飛ばずなんてとんでもない、世に出て来るべくして出て来た素晴らしい才能だときっちり合点が行くようになっております。
でもこのデヴィッド・ボウイ氏の面白い所は、失敗まみれから一転「Space Oddity」でヒットを飛ばした時点で、すでに「ボウイ節」というか、パッと聞いてすぐにボウイとわかる音楽が完成されているという所です。
また、音楽的な完成度も、いきなりぐーんと上がった印象があります。
架空のキャラクターを立ち上げる事によって、自身を表現する事が恥ずかしくなくなったとも仰っていますが、この失敗まみれの数年間の後に本当のスーパースターになるとは、ちょっと意味がわからない飛躍ぶりです。これは成長したとかそういう事ではなくて、おそらく彼が元々持っていたものが、単にお花が咲くように一気に何かの拍子にパッと開花しただけのように思えます。
努力、努力、成長、努力、とかそういうものではなくて。破裂しそうに内側で溜め込んでいたものが、風船に針を刺したように一気に噴き出した感があります。
私はボウイ氏が脚光を浴びている頃にはまだ生まれていなかったのですが、
10代の頃に「LIFE ON MARS?」「MOONAGE DAYDREAM」「CHANGES」とか「FIVE YEARS」とか聴いて、なんだか物凄く美しくて悲しい音楽だなぁって。英語もよくわかっていなかったのに、すごい懐かしい感じと、あと、淋しい感じがして。
あとは謎の異形感ですよね、ヴィジュアルショックというか。
才能があって技量も申し分無いのに、音楽とは全く関係ない職業に普通に就いている人がその辺にゴロゴロ居るというのが世の常ですので、スターダムというのはそもそもが不思議な世界なんでしょうね。
だけど、やっぱり世にちゃんと出て揺さぶりをかけてくれた人っていうのは、私のようなユーザー側からすると本当にありがたいです。ミックロンソンもちゃんと映っているよ。
俺には才能が無いんじゃないか? とか悩んでる人がいたら、気が楽になるんじゃないかしら。。
こういうのってよくある話だとは思うけど、ボウイさんの場合はホントに凡庸そのものからの脱皮が急激過ぎて。。
とにかく、ボウイ氏が有名になってくれて心から良かったと思っています。
嘘みたいにカッコイイ。最高です。
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