ようやく9mmを聞いた時
皆さん、9mm Parabellum Bulletなるバンドを知っていますか。2004年に結成された、4人組のロックバンドです。ツインギターとベースとドラムの激しい演奏と、邦楽ロックらしい、まっすぐで凛とした歌声が混ざったバンドです。
『Discommunication』『Black Market Blues』『新しい光』『ハートに火をつけて』『インフェルノ』など、ロックで歌いやすい代表曲があります。
9mmパラベラム弾という弾丸の種類を意味する、長いバンド名なので、「9mm」と呼ばれています。メンバーはそう呼んでほしいと言ってました。
ブリの周りでは、限られた邦楽ロックファンの間でしか知らないようで、Twitterでファンを探しました。ようやく知ってる方々を見つけて、うれしかったです。
ブリが9mmを知ったのは、高校生の時でした。しかし、邦楽ロックに対して怖いイメージがあったので、名前を聞いても、聞こうと思いませんでした。当時出た、アルバムのジャケットを見ても、やっぱりいいやと思いました。ただ、長ったらしいバンド名だと、なぜか印象に残りました。ちなみにブリが見たアルバムのジャケットは、『Termination』です。
大学生になり、だんだん邦楽ロックに興味を持ち始めました。しかし、手当り次第いろいろ聞いて、こだわりがありませんでした。ある日、ミュージックステーションを見ていました。出演したのは、あの長ったらしいバンド名だと思った、9mmでした。彼らは番組初登場でした。
彼らの顔を初めて見ました。なんだかメンバーは緊張しているのかなと思いました。バンド紹介のVTRの後、トークになりました。第一印象は、パーマみたいな人がボーカリストなのかなと思いました。瞳が凛として、のほほんとした人だと思いました。他メンバーは、ヒゲがある笑顔な人、前髪が長い謎めいた人、ショートヘアーでノリがありそうな人、そんな感じでした。
そして、披露したのは当時発売されて、9mm初めてのセルフプロデュース曲である『Black Market Blues』(略してBMB)です。観客前で9mmが歌う様子です。ブリは作詞作曲名を見て、きっとあのボーカリストは菅原さんだろう、でも、滝さんはどのメンバーか分からないままでした。盛り上がる歌の中で、ギタリストとベーシストはハチャメチャにはしゃぐように演奏して、なんじゃこりゃと盛り上がりました。一番衝撃だったのは、ボーカリストの瞳でした。トークではのほほんとしていた彼が、歌となるとすごく表情を変えて、表現してくるようで驚きました。何か強烈な雰囲気が心を刺しました。ブリの父親も演奏を見て、一緒にはしゃぎました。ものすごいものを見たその夜、頭の中でずっと9mmのことがぐるぐる回り、忘れられなくなりました。
音楽雑誌で9mmを見て、ようやくメンバー全員の名前を知りました。パーマな人が、ボーカリストの菅原卓郎。笑顔な人が、ギタリストの滝善充。前髪が長い人が、ベーシストの中村和彦。ノリがありそうな人が、ドラマー兼リーダーのかみじょうちひろ。なぜに、かみじょうさんだけメンバー名がひらがなだろうと突っこみました。ブリは、卓郎、滝、和彦、ちひろと、呼ぶようになりました。雑誌の9mmを読んで、エフェクター作りの滝の様子に興味しんしんでした。
音楽番組の9mmを見てて思ったのは、メンバー全員激しいロックをしているけど、のほほんとしていて面白いと思いました。まじめな表情からの笑顔が、本当に素敵な感じと思いました。次第に、メンバーはかっこいいと思うようになりました。9mmがきっかけで、邦楽ロックの世界が面白そうと思い、たくさんのバンドたちを聞くようになり、「バンドは本当に面白い」と、今日までそう考えるようになりました。
ブリは、BMBの衝撃を受けてから9mmを聞いていました。でも、シングルだけ聞いて、アルバムをしっかり聞いていませんでした。自然といろんなバンドたちを聞いていくうちに、次第に9mmから離れてしまいました。そして、進路と持病で忙しくなり、音楽から離れていました。
ただ、全てを忘れたわけではなく、ブリの中では、独特な歌声と瞳と髪型があるボーカリストを覚えていました。邦楽ロックのボーカリストのイメージで、なぜか卓郎がよく浮かびます。ハチャメチャに動く滝と、シャウトする和彦の様子と似た感じは、他のバンドには現れませんでした。あと、「かみじょうちひろ」なる、変わったドラマーの名前をなぜか忘れられませんでした。なんだかユニークで好きです。
COVID流行により、退屈になってきたブリは、ずっと聞いていかなった音楽を振り返りたくなりました。9mmを思い出したきっかけは、ブリの父親に1ミリと言ったら、「9mmは元気にしてる?」と冗談を言ったことでした。ふと、ブリはバンドはどうしているのか気になりました。初めて出会った頃の熱が思い出され、インターネットで9mmを探したら、今も活動していて、とてもうれしかったです。ブリが離れた間にいろんな曲を出して、今までの曲もあり、元気なメンバー達を見て、ほっとしました。
ちょうど新曲として出た、『白夜の日々』を聞きました。驚いたのは、卓郎がさらに美しい歌声になって、少年っぽさから大人の魅力あふれる雰囲気になっていたところです。和彦がベリーロングヘアーになって、誰なのかと思ってしまいました。卓郎の歌声を聞き、なぜか安心感を持ちました。今までの熱がさらに高まり、9mmのことをもっと知りたくなり、聞いていなかったアルバムをしっかり聞こうと思いました。
ブリは中古をあさり、アルバムをようやく全て聞きました。あんなこんな曲を聞き、卓郎の変化と楽器隊の進歩に、驚きが止まりませんでした。あの聞かなかったアルバム、『Termination』をようやく聞いた時、さらなるかっこよさに心が痺れてしまいました。ブリが音楽を聞かなくなった時期に出たアルバム、『Dawning』を聞いて、言葉にできないほどの興奮と熱がブリの心を燃やしました。もっと早く聞けばよかったと思いました。ようやく9mmに戻った時の気持ちが心地よかったです。
ブリが離れていた間に、9mmにあったことをいろいろ知りました。アルバム8枚も出たこと、当時いたレーベルからの独立、武道館ライブ、事務所と自主レーベル設立、ちひろのドラム講座、卓郎のソロ、滝の休養、キツネツキの活動、想像を絶する数々の話を知り、ブリはちゃんと聞いておけばよかったと思いました。滝が数年前に故障していたことに驚き、復帰したことにほっとました。あの笑顔を見て、滝が幸せにいてほしいと願いました。9mmの周りが支えて、今日までバンドが生きていることに、喜びがいっぱいでした。
ブリの部屋には、9mmのアルバムやDVDが置かれるようになりました。ちひろのドラム本もあります。ファンから譲られた、BABELツアーの「火の鳥」キーホルダーを手にして、お守りにしています。音楽市場は厳しい世ですが、さらに応援していこうと思いました。本当にブリが生きててよかったです。このところ、不思議なことに、今まで気づかなかったことに次から次に見つけるようになっています。きっと音楽の神様が、何かブリに教えてくれたと思っています。
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