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チャゲアスのサブスク解禁でうれしいこと4つ

皆さんは、「サブスク解禁」について、どんな印象を持ちますか。
「サブスク解禁」とは、アーティストの音楽が、音楽サブスクリプション配信(以下サブスク配信)で聞けるようになることです。配信前は、音楽が版権の事情で難しかったり、レコード会社が従来の物理媒体にこだわり続けていて、音楽がサブスク配信で聞けない状況でした。配信で聞けるようになると、音楽ニュースサイトではその言葉とともに発表されます。

2024年8月25日、とってもうれしいニュースが入りました。偉大な推しデュオである、CHAGE and ASKA(以下チャゲアス)の全楽曲が今年10月1日にサブスク配信が開始されると、発表されました。発表日は、チャゲアスのデビュー記念日で、彼らがデビュー45周年を迎えた日でした。現在はソロ活動をしている、CHAGEとASKAにとって、アーティストとしてデビューした日でもあります。

CHAGE and ASKA
『VERY BEST ROLL OVER 20TH』
(1999年)
デビュー20周年記念ベストアルバム

邦楽界を代表するアーティストとして、アジア圏で人気のスーパースターになった、チャゲアスの音楽は、邦楽界の歴史で重要な存在です。1980年代、1990年代のJ-POPの先駆者として知られ、多くの邦楽ファンに知られて、後のアーティストたちに影響を与えました。チャゲアスのサブスク解禁が発表されたニュースは、多くの邦楽ファンに驚きを与えました。
チャゲアスファンの間では、現在のサブスク配信で聞けるようになってほしいと願う声がありました。楽曲にまつわる版権の事情、メンバー間の考えの違いで難しいと思われていました。今日の音楽環境で聞けるようになると、名曲が再び知られて、新規ファンが増えるきっかけになるからです。

先行配信として、チャゲアスのデビュー20周年記念ベストアルバム『VERY BEST ROLL OVER 20TH』のみ、サブスク配信されています。残りの楽曲は今年10月1日に配信されます。
この記事では、チャゲアスのサブスク解禁でうれしいことをまとめました。今回の配信でいろいろなことをサブスク解禁記念に執筆しました。



♪古参と新規ファンが手軽に聞ける


・チャゲアスをめぐる音楽環境の変化

1980年代、1990年代に、チャゲアスが活動していた頃の邦楽ファンは、アナログレコード盤、カセットテープ、CDで音楽を聞いていました。特にCDが最も売れていた1990年代に、チャゲアスはたくさんの人々に聞かれて、日本全国で彼らの音楽が流行していました。彼らはアジアツアーを開催したことで、アジア圏にも彼らの音楽が広まりました。1990年代前半の邦楽界は「チャゲアスブーム」と呼ばれて、彼らの名が邦楽史に刻まれました。
(チャゲアスブームについて、説明した記事はこちらへどうぞ)


CHAGE and ASKA『TREE』(1991年初回盤)
日本のアルバムCDで初めてミリオンセラー
獲得したアルバム。
代表曲『SAY YES』
『僕はこの瞳で嘘をつく』が収録。

2000年代には、CHAGEとASKAはソロ活動が増えて、次第にデュオ活動をしなくなりました。彼らの名曲はダウンロード配信で展開されました。でも、チャゲアスファンの間では、最も売れた媒体であるCDを多く持っているので、CD中心に聞く方が多いです。チャゲアスファンの両親から生まれた子供たちが、彼らの音楽に興味を持って、CDやダウンロード配信を手にすることがありました。

2010年代に、ASKAにまつわる問題が起きたことで、一時的にチャゲアスのCDとダウンロード配信が買えない状況になりました。そのニュースから、当時のチャゲアスを全く知らない、若い邦楽ファンが気づくきっかけになりました。問題が落ち着いた頃、CDとダウンロード配信の販売が再開されました。今の2人のソロ活動から、デュオ活動のことを知った方もいます。

2020年代、インターネット上で、チャゲアスファンが布教したことで、チャゲアスの動画がSNSやショート動画で広まり、チャゲアスを初めて知った若い邦楽ファン、過去の邦楽に興味を持つマニアたちが、彼らの音楽をカバーしたりして、再評価するようになりました。音楽の魅力に気づいた人々が、ゆっくりと増えました。

・新しい音楽環境を望む声

チャゲアスを初めて知る若い邦楽ファンに、彼らの音楽を布教するには、壁がありました。従来のCDではCD再生機器がない人には、聞くのが難しいです。ダウンロード配信で買って聞いてほしいとすすめても、知らないアーティストの楽曲を買うには面倒な手順があって、無理がありました。CDとダウンロード配信だと、楽曲のシェアが難しい状況でした。CDを持っていたチャゲアスファンの中には、CDが聞けない問題、CDを扱う環境の縮小によって、再び音楽を聞ける環境を取り戻すには難しくなっていました。
チャゲアスの楽曲の版権を持つ、ヤマハミュージックは配信をしたい意志がありました。しかし、CHAGEとASKAの間では、サブスク配信に対する考えの違いがあって、配信が難しい様子がありました。CHAGEはソロ曲、石川優子とチャゲ、MULTI MAXの曲を先に配信しています。ASKAは現在のインディーズレーベルから出したソロ曲のみ配信されています。

肝心のチャゲアスの楽曲が、サブスク配信できない状況が続いていました。サブスク解禁前に、彼らの音楽を手軽に聞ける手段は、チャゲアスのYouTube公式チャンネルにあるミュージックビデオやライブ映像だけでした。今回のサブスク解禁によって、音楽環境の壁が解決できました。あと、ASKAのインディーズレーベル以前のソロ曲も今後、配信が発表される予定です。

今日の10代、20代の若い邦楽ファンの間では、サブスク配信が浸透しています。若いアーティストたちも、サブスク配信を活用しています。過去のアーティストたちも、少しずつサブスク解禁になりました。2010年代後半には、サブスク配信の売上は従来のCD、ダウンロード配信を超えました。2020年代はサブスク時代と呼ばれています。
チャゲアスを初めて知った若い邦楽ファンが、手軽に彼らの音楽を聞ける環境ができたことで、楽曲のシェアがしやすいようになります。そして、CDで聞いていたチャゲアスファンが、サブスク配信になじんで、今の音楽環境で再び思い出の楽曲が聞けるようになります。


♪入手困難だった作品が合法で聞ける

現在、チャゲアスのCD、アナログレコード盤、カセットテープは中古市場で多く出回っています。多く売れた発売当時のCDは安く手に入ります。しかし、歴代アルバムの再販売CD、最も新しいリマスター盤CDが売り切れで、中古価格が上がりました。ベストアルバムはいつでも買えますが、歴代アルバムは、中古市場で探さないと入手できない状況です。邦楽ファンの間では、中古市場で安く買う行動が増えたことで、アーティスト本人の収入にならないのです。
(チャゲアスの再販盤CDについて、説明した記事はこちらへどうぞ)
歴代アルバムのダウンロード配信はありますが、歴代アルバム21枚を全てそろえるには、労力がかかるものでした。なかにはダウンロード配信がない作品があります。YouTube公式チャンネルでは、ミュージックビデオとライブ映像が見られます。でも、ミュージックビデオになっていない楽曲は聞けません。

過去の楽曲は、一部の動画サイトで非公式で載せられています。特に、ミュージックビデオになっていない楽曲、YouTube公式チャンネルにはないライブ映像が個人からアップロードされています。楽曲の違法アップロードを広めてしまう心配がありました。

サブスク配信によって、労力をかけずに、合法で全ての作品が聞けるようになります。配信の再生から公式運営、作詞作曲したメンバーに利益が入ります。邦楽ファンは、罪悪感を持ちながら非公式コンテンツを見ることなく、アーティストに敬意を持ちながら、音楽が楽しめます。


♪廃盤作品の初デジタル配信

チャゲアスのサブスク解禁によって、初めてのことがあります。実は、今までダウンロード配信になかった作品が、サブスク配信によって、初めてデジタル配信されることになったのです。
初めてデジタル配信になったのは、1987年のベストアルバム『SUPER BEST』、1994年のデビュー15周年記念のベストアルバム『Yin&Yang』、トリビュートアルバム『one voice』の3枚です。これらはCDでしか聞けず、ダウンロード配信にはなかったものでした。CDが再販売されることなく、「廃盤」扱いでした。

これらのアルバムがダウンロード配信ができなかった理由は推測から、チャゲアスのレコード会社の移籍と思われます。『SUPER BEST』『Yin&Yang』はポニーキャニオン、『one voice』は東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)から、かつて発売されていました。チャゲアスが最後に移籍したユニバーサルミュージックで、これらのアルバムの販売権利が放置されていたと思われます。
おそらくレコード会社が、これらのアルバムの権利を得て、サブスク配信ができるようになったと考えられます。今回のサブスク解禁によって、初めてデジタル媒体になった作品が陽の目を見ることになりました。

初めてデジタル配信になるアルバムの内容を簡単に説明します。
『SUPER BEST』は、1979年から1986年まで、チャゲアス初期のシングル曲を発売順に16曲収録した、「初期代表曲のベストアルバム」です。チャゲアス初期のシングル曲だけ聞きたい方におすすめします。

CHAGE and ASKA『SUPER BEST』(1987年)
「チャゲ&飛鳥」表記だった頃のベストアルバム

『Yin&Yang』は、デビュー15周年記念に発売された企画ベストアルバムで、1986年から1993年までのアルバム曲で占めている内容です。落ち着いたスローテンポ曲中心である『Yin』、盛り上がるアップテンポ曲中心で占めた『Yang』のCD2枚分で構成されています。ラジオDJの紹介を交えながら、ラジオ番組のように、ノンストップの名曲メドレーになっています。さらに、このアルバムのために全曲リミックスされています。このアルバムにしかないライブ音源、別テイクが収録されています。シングル曲ではなく、アルバム曲に興味があって、裏ベストアルバムを聞きたい方におすすめします。

CHAGE and ASKA『Yin&Yang』(1994年)

トリビュートアルバム『one voice』は、複数の海外アーティストたちが参加して、チャゲアスの名曲を再解釈して、全編英語詞でアレンジした内容です。1996年にイギリス、日本で発売されました。日本盤では、イギリス盤にはない楽曲が追加されて、発売されました。ただし、サブスク配信では、チャゲアスが歌う楽曲のみ配信されます。言葉と国境を越えた音楽の良さを味わいたい方におすすめします。

CHAGE and ASKAトリビュートアルバム
『one voice THE SONGS OF CHAGE & ASKA』
(1996年)


♪隠れた名曲が聞ける

チャゲアスの名曲は、ヒットしたシングル曲だけではなく、アルバム曲、カップリング曲にもあります。特に、アルバム曲、カップリング曲に収録されているCHAGEの曲は、独特な楽曲が多くて、ヒット曲とは違う雰囲気を楽しめます。多くの人々が知るチャゲアスのヒット曲は、ASKAが作ったもので、どうしてもCHAGEの曲が隠れやすいです。代表曲のミュージックビデオがあるYouTube公式チャンネルを見る方には、CHAGEの曲を聞き逃すことがあります。

サブスク配信では、全てのアルバム曲、カップリング曲が聞けるようになります。これで隠れたCHAGEの曲が見つけやすくなります。CHAGEの曲は、ロック、ダンスミュージック、フォークなど、幅広いジャンルの楽曲が展開されています。メロディー進行が変化球な作風が多くて、おもしろいものがあります。日常の感情を描いた歌詞、繊細で明るいハイトーンの歌声で落ち着いた楽曲が、CHAGEの曲の特徴です。
幅広いジャンルで壮大なメロディー進行、独特な表現と深い意味がこめられた歌詞、力強い甘いハスキーな歌声が特徴である、ASKAの曲ももちろん魅力的です。真のチャゲアスファンに近づくためには、CHAGEの曲を知ることが重要です。

CHAGEも、ASKAも、独自の世界観と個性があるアーティストです。デュオ名義の楽曲ではそれぞれの個性が混ざり合う、世界観を生み出します。同じテーマでも、違うメロディーと歌詞を作り出す2人は、魅力的なデュオなのです。


♪まとめ

以上、チャゲアスのサブスク解禁によって、うれしいこと、便利になることをまとめました。ついに彼らの音楽が、今日のサブスク時代に入ります。若いアーティストとともに、偉大な推しデュオが広く聞かれることを願っています。音楽を長く愛するチャゲアスファン、初めて彼らを聞く若い邦楽ファンが楽しめるようになります。代表曲しか知らない方も、チャゲアスの世界をじっくり楽しんでください。
このデュオは、独特で美しい歌声とハーモニーで、今も通じる歌詞のテーマ、幅広いジャンルの展開が素晴らしいです。癒されたり、元気が出たり、感動したり、いろんな気持ちに合います。読者の皆さんにおすすめしたいです。

実は、ソロ活動をしているCHAGEとASKAは、今年9月からライブツアーを行います。ライブツアー前に、2人の活動と名曲を振り返ることができます。精力的に音楽活動を続けている2人を応援しています。

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