見出し画像

椅子の神様

母の伝手で椅子の神様の工房見学へ行ってきました。

椅子の神様は天皇陛下の椅子の修復や皇室の馬車の修復、特急カシオペアのシートなどの列車のシート、大学などの諸機関のための椅子etc、神様が携わった椅子を上げると枚挙にいとまがありません。なんとも貴重な体験となる工房見学でした。

場所は戸越銀座に程近い場所。まず本社の社内を案内していただきました。

本社の社内のそれぞれの部屋への扉
扉の上には象徴的な言葉がそれぞれ付いています。
こちらは経理の部屋だそうです
扉のデザインはいろんな有名デザイナーによるものだそうです
こちらはチャレンジャー21

本社内「ミュージアム」

お!懐かしいぬいぐるみ!梅吉だぁ〜
色んな木材を使っていて木目や色合いの違いが楽しめる椅子
椅子の神様は白洲次郎とも飲み友達だった…!

その昔、新橋、芝周辺には椅子や家具の工房が集まっていたそうです。椅子の神様は若くから職人として働き、「芝の職人」として早々に頭角を表していたそうです。10代の頃には既に30人の部下がいたというので驚き。高校の先生よりも給料が良かったとか!

そして、若い頃から既に海外に出たいという野望を抱いていたそうです。椅子といえば神様、と業界では認められ、今度スウェーデンの何々に行く人いないか?という話が来ると「私が行く!」と真っ先に手を挙げていたそうです。それをきっかけにヨーロッパ各地に行く機会に恵まれ、各地で色々学び、仕事をしたそうです。

訪れた国を聞くと、スウェーデン、デンマーク、スペイン、イタリア…ヨーロッパ各国に渡ります。言葉はどうしたのであろう?それぞれの言語を覚えたのだろうか?と聞いてみると、イタリア語だけは先生について学んだそうですが身に付かず、先生も匙を投げた結果

「チェスを覚えなさい」

というアドバイスをくれたことがきっかけでチェスを覚えたら、それぞれの国で実際に役に立ち、効果的に現地の人々とコミュニケーションができたという話がとても面白かったです。ちなみに椅子の神様はチェスは得意でよく勝ったそうです。

そして、心に残った言葉が「中途半端」
「私は中途半端なんだよ」とニコニコしていたのですが、それは常に向上しているから、前に進んでいるからその時点でできたものは神様にとっては「中途半端」なもの、という事になるんだろうと思います。もちろんその時点時点で完成したものは、我々からみると100%完璧なもの。しかし、「ここではないもっとこの先へ」と向かう探究心がやはり「椅子の神様」と呼ばれる所以ではないでしょうか。

工房では、職人さんが実際に生地を裁断していたり縫製中の姿を見せていただきました。椅子の生地とはいえ様々ですが、その時は丁度コニカミノルタのプラネタリウムのための椅子の生地を裁断中。星屑が散りばめられたような西陣織のとても素敵な生地でした。私もプラネタリウムが好きで行きますが、次回行った時にはあの工房で作られていた事を思い出すと、椅子がより輝いて見える事でしょう。

プラネタリウムの椅子、ミニチュア
この椅子のクッションの中身はふわふわの羽毛でした

「椅子」には実に様々な素材が使われています。木、生地、革、そして羽毛をはじめとした様々なクッション材。神様はまだ椅子のクッション材として天然素材が主流の時代にウレタンなどの新しい素材を使う事にも積極的だったそうです。お話を伺って思ったことは、思考がとても柔軟であること。それは80を過ぎた現在でも健在。いつまでも現役で働けるバイタリティと思考の柔軟さはとても羨ましいと共に自分も目標にしようと思いました。

見学の間、お話をさせていただいて椅子の神様から感じた大切なことは

チャンスは自分で掴みに行く
好奇心を持つ
思考のリミッターを外す
思考の柔軟性
行動力と積極性
肩の力を抜く(失敗を恐れない、取り敢えずやってみるなど)

これらがとても大事なんだと学びました。そして、人間としての垣根がないというか、私からすると天上人なわけですが、とても親しみやすく穏やか、心に余裕のあるジェントルマン。今回、母の伝手で椅子の神様と出会う機会があり、気軽な気持ちで工房見学が可能か聞いてしまったのですが、二つ返事で快諾してくださいました。その気さくなお人柄、このように学ぶ場を提供してくださるフットワークの軽さなども、こうありたい、という指針となりました。最後、握手をしていただいたのですが、とても温かくて大きな手であったことが忘れられません。

椅子の神様、そして現場で働いていた方々、工房見学では大変お世話になりました。とても貴重な体験をさせていただき、自分の今後の創作活動に繋げたいと思います。
夢のような時間をありがとうございました😊

ミネルバのフクロウ

いいなと思ったら応援しよう!