RAIN
雨が降っている。そういいながら
少女はとても楽しそうに手を広げ
おろしたての真っ赤なレインコートを羽織り
いたずらっぽくくるくる回ってみせた。
その姿を僕は飽きることもなくただただ見ていた。
そして、こうつぶやいた。もう6歳なのか・・・。
はやいな。母さんにそっくりになったなぁ。
幸せそうでよかった。と誰にも聞こえない声でぽつりと呟き
冷めたコーヒーをぐいっと勢いよく飲み
お姉さんお勘定とぶっきらぼうに
伝えそのまま店を後にしようとしたその時、
カランと店の入り口のベルが鳴った。
その音に気づいた男がそちらを見ると
さっきの女の子がひとり立っていた。
そして勇気を出してこう店員さんに聞いていたのが聞こえた。
あの・・・。パパ来てません?と。
この言葉を聞いた時、僕は飛び出していきたくなった。
ここだよって言いたくなった。
けれどそれをしてはいけない。
そう思いだまっていたが・・・。
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