【サシ劇台本】もしも、伊達政宗がコーチ業をしたら。
【もしも、政宗がコーチ業をしたら……。】
※(名前)と書いてあるところは、お好きなお名前を入れてください。
~ここから〜
クライアント:政宗さん、こんどの戦(いくさ)に勝つためには
どうしたらいいのでしょうか?
政宗:敵のデータは?
クライアント:敵は……。Dカップ。
長身の美人で、知的な会話もできる女子(おなご)
政宗:……。なんじゃ。戦というから、ぞくぞくしてきておったのに……。
色恋か……。つまらん。
クライアント:そんなこといわずに……。ほら、これあげますから。
政宗:こ、これは!!!
クライアント:どうです?教えてくれませんか?
政宗:……。し、しかたない。そういうことなら話をきこう。
クライアント:ありがとうございます。では、さっそくですが、
この女子(おなご)を落とすにはどうしたらいいのでしょうか?
政宗:(写真をみて)たしかに美しい女子(おなご)じゃ。
儂(わし)の妾(めかけ)にしてやってもいいレベルだ。
クライアント:ちょっちょっ。待ってください。
それだけは……。
政宗:なんじゃ?なんでダメなんじゃ?
クライアント:だって……。政宗さんがこの子狙ったら、
ボクに勝ち目ないじゃないですか。
政宗:まったく情けない。そんなことだから、モテんのじゃ。
儂(わし)なんかな。いわゆるイケメンではないが、
こうやって自分らしく生きているぞ。
クライアント:それは、政宗さんだからできるんでしょう?
政宗:違うわい。みんなできるのに、しようとしないだけじゃ。
クライアント:はぁ……。
じゃぁ。おききしますけど、
政宗さんが大事にしていることってなんですか?
政宗:五常訓
クライアント:五常訓?
政宗:そうじゃ。なんじゃ。しらんのか。
これじゃよ。
政宗:仁に過ぎれば弱くなる。義に過ぎれば固くなる。
礼に過ぎれば諂(へつらい)いとなる。
智に過ぎれば嘘をつく。信に過ぎれば損をする。
クライアント:これがなんで大事なんです?
政宗:(これ以上ないぐらい呆れた顔で)
はっ?お前、思ってた以上にアホだな。
いいか?五徳が大事なのは、お前も知っているだろ?
クライアント:はい。
政宗:だけどな、全てが行き過ぎてしまうと害になる。
そのことを忘れてはならん。
クライアント:はぁ……。
政宗:なんだ。その気のない返事は!
そんなんだから、モテないんじゃよ。
クライアント:はぁ……。
政宗:ええか?そんな悪い気を発している男に誰が魅力を感じる?
クライアント:……。たしかに。
政宗:だろ?
クライアント:じゃぁ。先生、教えてくださいよ。
ボクが、この子と付き合えるようになるには、なにをしたらいいのです?
渡すものは渡したんですから、教えてくださいよ(圧)
政宗:うっ……。そうさのぉ……。
クライアント:まさか……。なす術なし。とかいいませんよね?
政宗:そんなことはない。そんなことはないぞ。
この恋愛マスターの政宗さまにわからぬことなどない。
クライアント:だったら、教えてください。
政宗:いや……。ダメだ。それでは、意味がない。
己で考え、己で答えを導き出さないと意味がない。
じゃから教えぬ。好きにやるがいい。
なぁに。この子を落とせなくても、
お前の価値が下がるわけじゃないから気にするな。
吉報を待っとるぞ!
クライアント:はぁ……。(なんだか騙された気がする)
わかりました。それでは。
政宗:うむ。ゆけ!
クライアント:は、はい!
政宗:うむ。良い顔じゃ。(おもむろにキセルを取り出し、一服する。)
儂(わし)もうまくいくよう祈っておく。
(名前)よいか。この戦はな、たんなる戦じゃないぞ。
槍も鉄砲も効かぬ代わりに、その気にさせてしまえば、勝ちじゃ。
クライアント:普通の戦の方が簡単かもしれませんね……。
政宗:うむ。しかし、どんな戦も「心理戦」はあるからな。
相手に気に入られるのはどうしたらいいいか、勝つにはどうしたらいいか。
負けるにしても、かっこいい負け方、
プラスになる負け方はどんなものか考えておくものじゃ。
クライアント:はぁ……。なるほど。
政宗:まったく……。なんでそんな気弱なんだ。
男子たるもの、もっと自信をもて!!
俺が女だったら、こんないじいじした男、いの一番に恋愛対象外にするな。
クライアント:政宗さんが女だったら?やめてください!!
想像しちゃうじゃないですか(笑)
政宗:あら。なにがおかしいかしら?
わたくし、料理、得意ですわよ。それに書もできましてよ?
いいお嫁さんになれると思いますわよ?
クライアント:wwww
クライアント:政宗さん、やめてください。似合いすぎです。
政宗:まぁ。なんですって!だれがオカマですって?
あたしを誰だと思ってるの?仙台のヒーロー「独眼竜政宗」であるぞ。
クライアント:www
クライアント:オカマとはいってないけれど……。
まぁ。オカマだわな(笑)
政宗:やっと笑顔になったか。どうじゃ。
笑ったらいい感じに緩んだだろう?
クライアント:えっ?まさか、そのために??
政宗:まさかって、なんじゃお前、気づいてなかったのか。
クライアント:……。どうりで。先生、参りました。
政宗:よいよい。ていうか、俺に勝てるとか思ってたわけ?
ムリムリ。いまのお前じゃな。
クライアント:そ、そんなこと…
政宗:ないと言えるか?もし、言えるのなら、オロオロするな。
欲しいものは欲しいとちゃんと言って手に入れてしまえ!!
そして、本当に守りたいもの、守りたい女性(ひと)ができたら、
守り抜け。それが漢(おとこ)だ。
クライアント:わ、わかりました!先生、ありがとうございます。
それだけいうと、ボクは駆け出していた。
名も知らぬ愛しい人へ愛を伝えるために、ボクは旅に出た。
そして、その旅の名をひとは「人生」とよび、
その彩(いろどり)を「恋」と呼ぶのかもしれない。
【完】