【台本】ゆめの世界へ。
〜登場人物〜
ゆめ:23才。天然。現実がつまらない、現実を見たくない。
夢の中にずっと住めたらいいなと思ってる。
リアル:25才。
感情は、めったに出さない。
冷静、客観、現実主義。
「夢なんか叶うわけない。」と思っている。
夢を追う人や、子どものような人を小馬鹿にしてる。
実は、自分もそんな風に生きたいけど、
できないことからくる嫉妬だとわかってない。
うつつ:ゆめの神。ゆめを「ゆめの世界へ移動させる」
ドラゴン:ゆめが元の世界に戻るとき登場。
背中に神(うつつ)とゆめを乗せ、元の世界へ戻してやる。
〜ここから〜
ゆめ:あ〜あ。つまんないなぁ。
リア充ってほんとにいるわけ?
なんでこんなにつまんないの?
なんで結果でないの?
リアル:つまんないのは、お前がやりたいこと見つけてないからだ。
時間は有限なのに、無駄なことに時間使ってるからだろ。
「リア充は、いる。」
結果が出ないのは、量をやってないか、
努力の方向が間違っているか、
環境が適してないか、叶うまでのタイムラグだ。
そんなこともわからんのか!
ゆめ:・・・
うっさいなぁ。
解決してほしいわけでも、
正論ききたいわけじゃないんだよ!
リアル:じゃあ。俺の前でそんなこと言うなよ!
ゆめ:・・・・・
ゆめ:わかったわよ。
ゆめ:あーあ。
いっそのこと、ゆめの世界にずっと住めたらいいのにね。
リアル:それ、ほんとにそう思ってる?
ゆめ:うん!
リアル:じゃあ叶えてやるよ。
ゆめ:えっ?
リアル:(重厚な茶色の厚みのあるノートと羽ペンを取り出す)
このノートにこの羽ペンを使って、
どんなゆめの世界に住みたいかを可能な限り具体的に書いて!
書き終わったら、この魔法陣の中央に置いてよ。
ゆめ:わかった。
(サラサラと書き、魔法陣の中央に置く)
ゆめ:置いたよ。
リアル:わかった。
リアル:ゆめの神、うつつよ!
我が望みを叶え給え!(かなえたまえ!)
(魔法陣が光る)
うつつ:なんじゃ。呼んだか?
リアル:ああ。
うつつ:何用(なによう)じゃ?
リアル:この子の…ゆめの…望みを叶えてほしい。
うつつ:うむ。よかろう。
ちと待て。
(ノートを取り、表紙に手を当て、中身を読み取る)
うつつ:うむ。あい。わかった。
これなら、叶えられるぞ!
リアル:ほんとですか!
ゆめ:ほんとですか!
リアル:ありがとうございます。
ゆめ:ありがとうございます。
うつつ:うむ。ただし、条件があってな。
リアル:なんでしょう?
うつつ:その子(ゆめ)の大事なものを差し出せ!
ゆめ:だいじなもの?
うつつ:うむ。それは、いわゆる物でなくてもよい。
恋人でも親でも金でも。
それこそ「いのち」でもな。
ゆめ:いのち……。
うつつ:いや。いのちを差出せと言ってるわけではなく、
お前の(ゆめ)の大切なものを差出せといってるのだ。
それは、お前にとって大切ならそれでいい。
他者から見てどうかは関係ない。
ゆめ:・・・
ゆめ:たいせつなもの……
ゆめ:……わたしにとってたいせつなもの……。なんだろ?
ゆめ:うーん。
リアル:なんかありそうか?
ゆめ:・・・
ゆめ:ないなぁ。
うつつ:ほんとか?ほんとにないか?
ゆめ:たぶん。
うつつ:あい。わかった。
じゃあお前の「残された時間」を頂こう。
ゆめ:それって「いのち」をくれということ?
うつつ:うむ。その手もあるが、
私は、ゆめの神だから、生物学的に生かしといたまま、
「時間だけ」を奪うことができる。
なので、安心しろ。
ゆめ:よかった……。
ゆめ:わかりました。
私の時間、差し上げます。
うつつ:うむ。
だがな、もし、お前(ゆめ)が
こっちの世界に戻ってきたくなったら、
このノートにそのことを書け!
そして、どこか人に見られないところに魔法陣を描き、
その中央にそのノートを置き、
「ゆめの神、うつつよ!我が望みを叶え給え!
(かなえたまえ!)」と言いなさい。
さすれば、我は現れる。
ゆめ:わかりました。
うつつ:もちろん、気に入ったのなら
居たいだけいなさい。
なんなら、そこに死ぬまでいてもいい。
ゆめ:わかりました。
うつつ:では、良い旅を!
(うつつにより、ゆめは、「ゆめの世界」へ移動させられる)
うつつ:よし、完了。
リアル殿、これでよいな?
リアル:はい。
ありがとうございます。
うつつ:では、代金の「時間」を頂いて帰るとしよう。
リアル:はい。ありがとうございました。
うつつ:うむ。
おっ。そうじゃ。忘れるところだった。
もし、ゆめのことが気になって、
あっちの世界を見たくなったら、
このペンダントに満月の光と聖水を与えて、
ゆめの様子を見せてくださいとこころの中で7回念じなさい。
すると、ペンダントが光り、宙に浮く。
そして、放たれた光が鏡に届くと、
向こうの様子が鏡に映し出される。
ただし、それは5分しか映せない。
リアル:わかりました。
ありがとうございます。
3日後……
リアル:ゆめのやつ、どうしてるかな?
よし、見てみよう。
(神に習ったとおりのことをする。)
リアル:おお!ほんとに映った!
リアル:どれどれ?
リアル:あれ?なんかゆめ、たのしそうじゃない……。
リアル:ゆめ!ゆめ!どうした?大丈夫か?
(映像は映されるが、声は届かない)
リアル:あー。助けられないなんて……。
なんと焦れったい。(じれったい)
リアル:ゆめ……。どうか、帰ってくるという選択をしておくれ……。
(ところかわって、ゆめの世界)
ゆめ:なんか、思ったほど楽しくないなぁ……。
もといた世界の方がまだ退屈じゃないなぁ。
望みさえすれば、なんでも手に入るのに……。
ゆめ:……。帰ろう……。
(誰も来ないところへ移動し、習った通り行う)
うつつ:呼んだか?
ゆめ:はい。
ゆめ:神様、お願いです。
わたしを元の世界に戻してください。
うつつ:あい。わかった。
ただし条件がある。
ゆめ:条件?
うつつ:うむ。
ゆめ:なんでしょう。
うつつ:自分と関わる人間を、いまより幸せにしなさい。
ゆめ:わかりました。
そうなるよう努めます。
うつつ:うむ。では、儂(わし)の手を握れ。
そして、目を瞑れ(つむれ)!
ゆめ:はい!(神の手を握り、目を瞑る(つむる))
うつつ:いでよ。ドラゴン!
我らを元の世界へ戻し給え!(もどしたまえ)
(魔法陣が光り、ドラゴンが出てくる)
ドラゴン:あい。わかった。
我の背に乗り給え!(のりたまえ!)
(神様とゆめドラゴンの背に乗る)
(光の束の中をドラゴンが泳ぐ)
数分後…
ドサッ。
ゆめ:痛っ!
(痛さで目を開けると自分の部屋)
リアル:お、おかえり。
ゆめ:た、だいま……
リアル:どうだった?
ゆめ:うーん……。
思ったほど楽しくなかった。
リアル:そうか……。
ゆめ:うん。だから、私はこっちの世界で「ゆめ」を叶えるよ。
なんて言ったって私の名前は「ゆめ」なんだから!
そういうと、ゆめは、そのための計画を立て始めた。
3年後、ゆめは夢を叶え、あの頃より更に輝いていた。
やはり、リア充は、存在した。
以上が今回のレポートです。と
ボクは、上司に伝えた。
すると、上司は、笑って「ご苦労」と言った。
その笑顔を見て、ボクも夢を叶えようと動き出した。
すると、ボクの止まっていた時計(読み:じかん)も動き出した。
そして、柔らかな風がボクを包んだ。
【完】