【台本】伊達政宗と前田慶次と直江兼続と石田三成と織田信長と明智光秀と斎藤道三が同じ宴に参加したら。
酉の刻(とりのこく):現在の午後6時(18時)
戌の刻(いぬのこく):現在の午後8時(20時)
亥の刻(いのこく):現在の午後10時(22時)
「戦国ともだち」は、架空のアプリです。
【登場人物】
伊達政宗:自他共に日ノ本一と認める宴会番長で、
彼の呼びかけで大抵の宴が企画される。
ノリが良い反面、時間にはルーズ。言い出しっぺの割に遅刻率はやや高い。
前田慶次:気風も男ぶりも良く、
後輩から何かと頼りにされる兄貴分的存在だが、
余興を強要するのが玉にキズ。
酔うと親父ギャグを連発して、周囲を凍り付かせる。
直江兼続:全武将一哲学的なロマンチストで、石田三成とウマが合う。
議論をさせると右に出る者がいない理論派でもあり、
そのイケボに誰もが聞き惚れるという。
石田三成:真面目な秀才タイプだが秀吉を崇拝しており意外にも宴好き。
細やかな気遣いをモットーとするが酔うと語り過ぎるきらいがある。
光秀に次ぎ幹事率が高い。
織田信長:全武将一もてなし好きで、自宅で宴を催すことも多い。
下戸で甘党なのでティーパーティーも頻繁に開催する。
流行りのお菓子に目がないスイーツ男子。
明智光秀:その完璧な接待スタイルから
二つ名は「ミスターパーフェクト」。
本人もこの呼称はまんざらでもないと思っており、
自ら幹事を買って出ることが多い。
斎藤道三(美濃の蝮(まむし))
ケチなため宴会への出席率はハーフハーフ。
1円単位にまで割り勘にするのが信条で、しばしば無礼講に腹を立てる。
今回の登場人物の紹介文は、下記リンクからのコピペです。
https://plaza-gifu.com/2020/08/25/utage-character/https://plaza-gifu.com/2020/08/25/utage-character/
~ここから〜
信長:光秀、光秀はおらぬか!
明智光秀:はい。ここにおります。おやかた様
信長:いま思いついたんじゃが、「ずーむ(ZOOM)」を使った
「宴」をやってみようと思う。
光秀:はぁ……。
光秀:なぜまた?
信長:ん?なぜとな?そこに疑問を挟む必要はなかろう。
とにかくじゃ。そういうことだから、
次のメンバーに出席できるか聞いておけ。
光秀:は、はい……。
信長:これがリストじゃ。儂(わし)とお前は出席確定だから
このリストには載せておらん。
1:伊達政宗
2:前田慶次
3:直江兼続
4:石田三成
5:斎藤道三
光秀:かしこまりました。それでは、さっそく。
光秀:(5人にメールを送信)
ピロン♪
光秀:おっ。「めーる」が届いたぞ。
誰だろう?おっ。三成殿か。
(まず最初に返信してきたのは、石田三成。
幹事の苦労がわかるだけに行動が速い)
ピロン♪
光秀:おっ。また「めーる」が届いたぞ。
次は誰かなぁ~。
直江殿か。誰もが聞き惚れるというイケボ楽しみじゃな。
ピロン♪
光秀:おっ。また「めーる」が届いたぞ。
次は誰かなぁ~。
前田殿か。余興を強要するし、親父ギャグを連発して凍り付かせるから
苦手なんだよなぁ。どうか、欠席と書いてありますように。
ピロン♪
光秀:おっ。また「めーる」が届いたぞ。
次は誰かなぁ~。
ああ……。遅刻の常習犯、政宗殿か。
これで、全員かな?
あっ。蝮殿(まむし殿)がまだじゃ。
ピロン♪
光秀:おっ。「めーる」が届いたぞ。
蝮殿(まむしどの)かな?
光秀:おお。蝮殿(まむしどの)からじゃ。
よし、これで全員の出欠席がわかったぞ。
光秀:おやかた様 おやかた様
信長:なんじゃ騒々しい。
光秀:今回の宴へ招待した武将たちから返信が来ました。
信長:なに?もうか。
鷹狩りから帰ってきたら返事がきているとは。
なんとも便利じゃ。
それで、どうだったのじゃ?
光秀:はっ。全員出席でございます。
信長:(扇を片手でかっこよくパッと広げて)
あい。わかった!下がるがよい。
光秀:はっ。
信長:それでは、さっそく宴の準備じゃ。
美味しい料理と美味しい甘味をたくさん用意しておく。
光秀:はっ。楽しみでございます。しかし……。
信長:ん?なんじゃ?
光秀:恐れながら申し上げます。
信長:なんじゃ?申してみよ。
光秀:今回の宴は「ずーむ(ZOOM)」とやらを使って行うので、
たくさん料理を用意しても、
みなさんに召し上がってもらうことはできませぬが……。
信長:(恥ずかしくなり、真っ赤になる)う、うるさい。
そ、そんなの わ、わかっておる。
いいのじゃ。儂(わし)が食うから。
それに、悔しがる顔を見るのもおもしろかろう。
光秀:はぁ……。だとしても、あまりに多いと無駄になりますゆえ……。
信長:ふむ。それも一理ある。
あい。わかった。光秀、特別に食べてよいぞ。
これで解決じゃな?
光秀:はい……。
光秀:(埒(らち)があかない。勝手に量や品数調整しとこう)
信長:では。光秀、頼んだぞ。開始は、暮れ六ツ(酉の刻)じゃ。
(読み:くれむっつ、とりのこく。現在の午後6時)
光秀:はい。
数十分後……。
(カチッと時計の針の音がする。時計を見ると酉の刻を指している)
信長:時間じゃな。始めるぞ。
(画面に参加者全員が映る)
全員:おお!映ったぞ!!
信長:あたりまえじゃ。
全員:あたりまえ?
信長:さよう。
道三:婿殿は、あたらしもの好きゆえ、すでに体験済みだったのかな?
信長:はい。先日本願寺顕如(ほんがんじけんにょ)さんと
「ずーむ(ZOOM)」で会話をしました。
道三:なるほどな。
信長:はい。
政宗:先を越されたか……。
前田:同じく……。
三成:政宗殿も、前田殿も、そんな凹みなさるな。
いまの世、まだまだこの「ずーむ(ZOOM)」というのを
取り入れている武将は少ない。
なのに、こうやって体験できている。
それだけで、一歩先に行っているのですよ。
だから、元気をだしてください。
政宗:……。それもそうだな……。
前田:たしかに。それもそうだな……。
前田:それでは、気分を変えて楽しもう。今宵は飲もうぞ!
前田:なんだなんだ。みんな「ずーむ(ZOOM)」に
恐れをなしているのか、かたいなぁ。もっとたのしめよ。
光秀:みなさん、はじめてのことで、緊張なさっているのかもしれませぬ。
前田:なるほどな。
じゃぁ。緊張を解かなくては。
直江、お前余興やれ。
直江:はっ?
前田:はっ?じゃない。
余興じゃ。余興をやるのじゃ。
直江:イヤですよ。
ボクは三成さんと知的な話をするために、
参加しただけなんですから。
他を当たってください。
前田:まったくつまらんやつじゃ。
他か……。だれがよいかのう。
(全員、目をそらす。)
前田:なんじゃなんじゃ。
みんなして、そんなに余興をさせられるのが嫌か。
全員:イヤでございます
前田:そうかそうか。わかったよ。じゃぁ。おれがギャグいうよ。
(全員:それもいらんのだよなぁ……)
光秀:そろそろ、戌の刻(いぬのこく)ですが、みなさんどうしますか?
道三:儂(わし)はこの辺りで。
直江:わしはまだ残るぞ
政宗:儂(わし)も残るぞ。
三成:直江さんが残るなら、残ります!
前田:もちろん、残る。
光秀:かしこまりました。
では、道三さん、おつかれさまでした。
「たいしゅつ」ボタンを押してくだされば、終われます。
道三:うむ。(退出ボタンを押す)
光秀:さて、それでは、宴を続けましょう。
(宴、盛り上がる)
光秀:あー。盛り上がっているところ、すみませんが、
もう亥の刻(いのこく)です。
そろそろ終わりにしたいのですが、よいですかな?
全員:いいよー
光秀:ありがとうございます。それでは、これにてお開き。
みなさんおつかれさまでした。
各自、退出ボタンを押して退出してください。
三成:おつかれさまでした。
直江:おつかれさまでした。
前田:おつかれさまでした。
政宗:おつかれさまでした。
(このミーティングは、ホストによって終了されました。と表示が出る)
光秀:殿。無事、終えました。
信長:うむ。ご苦労であった。
信長:ところで、光秀。三成と直江はできているのか?
光秀:はっ?
信長:ずいぶんと仲が良さそうだったからなぁ。
光秀:できてるか、どうかは存じませんが、ウマはあうようですよ。
信長:なるほどな。儂(わし)にも何でも話せる友達がほしいのぉ。
光秀:おやかた様……。(さびしいんだ……。と察する)
光秀:でしたら、この「戦国ともだち」というアプリを「だうんろーど」なさるとよいですよ。
信長:ほぉ。それはなんじゃ?
光秀:お友達ができるアプリです。
信長:ほう。やってみるかのぉ。
さすが光秀、頼りになるのぉ。
光秀:いえ。とんでものうございます。
光秀:それでは、これにて。
信長:まぁ。まて。
光秀:まだなにか?
信長:(すごく照れながら)ありがとな。
光秀:えっ?いま、なんと?
信長:し、しらん。なにも言うとらん。
ちゃんと聞いとらん方が悪いんじゃ。二度は言わん。
光秀:……。殿……。ありがとうございます。
信長:な、なんじゃ。聞こえていたのか。
なのに、「いま、なんと?」と申したのか。
まったく……。意地が悪いやつじゃ。
もうしらん。儂(わし)は寝るぞ。寝るぞ。と叫びながら、
逃げるように部屋を出て行ってしまった。
そのかわり、新しい風が舞い込んできた。
新しい時代が、いま、はじまる。
【完】