【台本】山岡士郎が、食にこだわりを持たないようにしようとする理由(わけ)。
登場人物・キャラクター
山岡 士郎 (やまおか しろう)
東西新聞社文化部記者。仕事を抜けだして競馬に行くなど、勤務態度は極めて悪く、社内では煙たがられている。
食に関しての豊富な知識と鋭い味覚をもっていることが判明し、
究極のメニュー作りの担当となる。
任命された時は辞表を提出するほどやる気が無かったが、
憎悪する父海原雄山をひれ伏せさせるために、
究極のメニュー作りに真剣に取り組むようになった。
登場当初は、一匹狼風の尖った性格だったが、
究極のメニュー担当の栗田ゆう子や、他の人たちと交流していく中で、
徐々に丸みを帯びた性格になっていく。
ゆう子とは作中で結婚し、一男二女の父親となる。
栗田 ゆう子 (くりた ゆうこ)
東西新聞社文化部記者。優れた味覚を評価され、
配属三日目にして究極のメニュー作りの担当となる。
究極のメニュー作りの初期では山岡との能力の差から、
アシスタントに徹することが多かったが、経験を重ねるにつれ、
海原雄山が認めるほどに成長した。
共に取材をする中で、山岡に惹かれていき結婚した。
結婚後も退社することなく、東西新聞社で究極のメニューを担当している。
海原 雄山 (かいばら ゆうざん)
山岡士郎の父親。陶芸、書道、絵画、文筆に秀でた100年に一人出るか出ないかと言われる天才芸術家。
また人並み外れた美食家でもあり、会員制料亭美食倶楽部を主宰している。食事も芸術の一つという考えを持つ。
帝都新聞社が企画する、至高のメニューのアドバイザーを務める。
山岡の中に料理の才能を認め、中学校入学時から調理場に入れて
料理の基本を徹底的に仕込んだが、
山岡が雄山の陶芸作品を叩き壊して海原家を出奔した際に勘当している。
傲岸不遜で気性が激しく、妥協を許さない性格、であると同時に人格者でもあり、美食倶楽部の調理人やゆう子など、雄山を慕う人物も多い。
【登場人物の載っていたリンク】
https://mangapedia.com/%E7%BE%8E%E5%91%B3%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%BC-5u1sh7fyt
こちらのページから登場人物の紹介、コピペさせて頂きました。
~ここから〜
栗田:山岡さん。ご飯ですよ。
山岡:うん。
栗田:今日は、パンよ。(保存料とか添加物とか入っている安いパン)
栗田:コーヒーとサラダ持ってくるわね。(インスタントコーヒーと農薬を普通に使っている野菜)
山岡:うん。
栗田:はい。どーぞ。
山岡:うん。
栗田:どう?
山岡:・・・・・・
(どうって……。その辺のスーパーにあるパンとコーヒーとサラダだからなぁ。うまくもまずくもない……)
栗田:(わらう)どうって言われても困るよね。どこにでもあるものだし。
山岡:あ、ああ…。
栗田:でもね。きいてー。今日すごく安かったのよ。お野菜。
だからね。明日、野菜たくさん使ったお料理するわ。予定入れないでね。
山岡:ああ。といいたいところだが、
あのくそ親父(海原雄山)に会わなくてはならない。
栗田:そんな…。くそ親父だなんて言わないで。
わたしの義父にあたる人になるのに……。
山岡:すかんもんは、すかん。
栗田:だから、反抗するかのように、
食にこだわりを持たなくなったのね……。
栗田:毎日のことだから、あまりこだわりがあると「食費」がかさむから
助かるわ!と思っていたけど……。
お父様とのことを知ってから、
本当は「食」にこだわりたいんじゃないかな
思うようになって……。
山岡:そんなことはない!
栗田:そう?
山岡:ない!食なんかにこだわって、家庭が壊れる、子どもに嫌な思いを
させるぐらいらなら、そんなこだわりいらない。
保存料が入っていようが、添加物が入っていようが、
農薬が使われていようが、「子ども」と「きみ」と一緒にいられて、
仲良く笑顔で過ごせるならそれでいいんだよ。
栗田:山岡さん……。
栗田:わかったわ。明日、わたしも一緒に行きます。
そして、海原雄山先生に、お話を聞いてもらいます。
先生もああいう人ですから、「息子」の話より、ワンクッションある
私の話の方が受け入れやすかったりすると思うの。
たとえ、同じこと言っていても。
だから、連れてって。
そして、認められて一緒になりたいわ。
山岡:そうだな…。
山岡:じゃぁ。そうしよう。
栗田:わかってくれて、ありがとう。
栗田:そしたら、予祝しときましょう。
山岡:予祝?なんの?
栗田:予祝というのはね、まだ起きてないことだけど、
起きたことにして、先に祝っちゃうことよ。
山岡:うん。それで、なにを祝おうと?
栗田:(顔を赤くしながら)……わたしたちが、一緒になって、
しあわせな家庭を築けるって。
海原雄山先生にも認められて、
山岡さんと先生の関係も良くなったって。
山岡:おお!それはいい。
山岡:よし。しよう。
そして、明日のためにたっぷり寝よう。
栗田:ええ。そうしましょう。
(予祝をする)
山岡:よし、予祝したし、寝る。
栗田:わたしも!
山岡:おやすみ。
栗田:おやすみ。
(翌朝)
栗田:おはよう。
山岡:おはよう。
栗田:今日……。がんばろうね。
山岡:ああ。
山岡:なんだ?緊張してきたか?
栗田:ええ……。少し。
栗田:でも、だいじょうぶ。あなたがいるから。
山岡:(照れる)
山岡:ならよかった。俺も心強いよ。きみがいるから。
栗田:(照れる)
山岡:さぁ。着いた。いくぞ。
栗田:はい。
(ピンポーン)
山岡:俺だ。
老女:まぁまぁ。士郎坊ちゃまじゃないですか。
どうなさったんですか?
もしかして……。家に戻ってきてくれるつもりになられたのですか?
先生と仲直りしてくださるのですか?
山岡:ああ。俺だ。苦労をかける。
だが、家には戻らない。仲直りは……。やつ次第だ。
今日は大事な女性(ひと)を連れてきた。
あんなんでも一応、親だからな……。節目だし、会いに来たよ。
老女:まぁまぁ。そうでしたか。
あんなにちっこかった、士郎坊ちゃまに、大事な女性(ひと)ができましたか。
老女:ううっ……。うれしゅうございます。
老女:さぁさぁ。こんなところではなんですから、
坊ちゃまも、そして坊ちゃまの未来の奥様もおあがりくださいませ。
山岡&栗田:顔が赤くなる。
老女:まぁまぁ。照れちゃって。かわいらしい。
このばあやにも、こういう初々しい(ういういしい)時代がありましたなぁ。なつかしゅうございます。
山岡:そうか。
山岡:それで、やつは…。親父は…。どこだ?
老女:はいはい。そうせっつかないでくださいな。
いまご案内しますゆえ。
山岡:たのむ。
老女:こちらでございます。
(部屋の襖(ふすま)を開ける)
山岡:失礼します。
栗田:失礼します。
海原雄山:(茶を点てている)
海原雄山:(ふたりに気付き、そちらを見る)
海原雄山:……。きたか。入れ。
山岡:(相変わらず偉そうで、いけ好かないと思いながらも堪えつつ)
はい。失礼します。
栗田:(ふたりの一触即発の空気感にひやひやしながら)失礼します。
海原雄山:(栗田の方をちらっと見る)…そちらのお嬢さんは?
山岡:……。ボクの大事な女性(ひと)だ。
栗田:はじめまして。栗田ゆう子と申します。
士郎さんとは、同じ会社で働いております。
海原雄山:ふむ。
海原雄山:で。この男のどこが気に入ったんだ?
魅力なんてもの、こいつにあるとは思えないのだが。
栗田:・・・・・・。
栗田:どこをって言われましても……。
気付いたら好きになってました。
お料理だってそうでしょ?
なんかわからないけれど、毎回頼んじゃうとか、
うまく説明できないけれど、好きなんだよね。
ってことあるじゃないですか。
海原雄山:・・・・・・
海原雄山:まぁ。あるな。
栗田:ですよね?それと同じです。
海原雄山:なるほど。お嬢さんはゲテモノもいける口ってことかな。
山岡:おい!黙って聞いてれば言いたい放題いいやがって。
海原雄山:なんだ?ほんとのことだろが。
山岡:うるせぇ。お前なんかに俺の気持ちがわかるか。
息子より、「食」が大事だったお前になにがわかる!
ああ。もういい。ゆう子さん、帰ろう。
こんなやつに、祝福してもらおうなんて思わないでいいよ。
海原雄山:祝福?なにを祝うんだ?
栗田:・・・・・・
山岡:ぼくら、結婚します。ということを言いに来たんだ。
そして、できれば、祝ってもらいたいという気持ちも僅かに(わずかに)
あった。でも、やっぱりムリみたいだな。
海原雄山:なぜそれを、はやくいわない。
山岡:ゆったところで、どうにもならんだろが。
海原雄山:そんなことはない!
海原雄山:このできそこないが、ここまで変わったのは
なんでかと思っていたが、そうか。お嬢さんと出会って変わったのか。
さっきも言った通り、こやつは「ポンコツ」じゃ。
出来損ないじゃ。
じゃが、実は繊細だ。
じゃから、儂(わし)とうまくいかなかった。
儂(わし)への反抗心から、「食」へのこだわりを持たないよう
しているようだが、ほんとは「つらい」はずだ。
なぜなら、儂(わし)以上に僅かな(わずかな)違いを
分かってしまうからな。
だから、おねがいだ。
できる範囲でいいから、「食」にこだわらせてやってほしい。
金がなくて、できないというのなら、援助する。
月100万ぐらいの援助で足りるか?
栗田:・・・・・・
海原雄山:足りぬか?
栗田:いえ……。ただただ驚いておりまして……。
山岡:ふん。いまごろ親の真似事みたいなことするつもりか。
海原雄山:まねごと……。そうかもしれん。
お詫びも兼ねてこの額でどうじゃ。
山岡:・・・・・・
栗田:ほら。山岡さん、なんかいって。
山岡:(聞こえるか聞こえないかぐらいの声で)
親父……。ありがとう……。
海原雄山:(言葉は聞こえてないが様子で察する)
うむ。気にするな。
海原雄山:それでは、嬢ちゃん、こやつを頼みますよ。
結婚おめでとう。
それだけいうと、雄山先生は、すっと立ち上がり、
部屋を出て行かれた。
そして、部屋には白檀(びゃくだん)の香りだけが残っていた。
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