【台本】刑事と泥棒の恋。
※○○(後輩刑事)は仕事に戻った。の○○の部分は、
お好きな名前で。
※スターオブキング=東部宝石 200カラットのダイヤ
※CAT'S♥EYE=北条司の漫画・アニメ。美人三姉妹の泥棒。
三人の名前は、泪(るい)瞳(ひとみ)愛(あい)と全部、
目に関するものになっている。(あいは、英語のEYEから)
美人三姉妹の苗字は来生(きすぎ)。
次女、瞳(ひとみ)と刑事内海の恋も注目だった。
※今回の創作では、次女の瞳(ひとみ)だけキャッツ・アイとして登場してもらう。(青のレオタードのキャッツ・アイ=次女、瞳)
※漢字の瞳と平仮名のひとみは、
同一人物です。
~ここから〜
(窓からカードが届く)
キャッツ・アイ:今夜、20時「スターオブキング」を頂きに参ります!CAT'S♥EYE
先輩刑事:(わなわな)
先輩刑事:来たな。キャッツ・アイ。今夜こそ「逮捕だ」
しかし……。不思議だ……。
この巨体がふわりと浮くというじゃないか……。
100キロの女がレオタードで空を舞う?
それが醜くなく美しいだと?
ど、どんな魔法を使っているんだ。
後輩刑事:先輩!予告時刻です!!
先輩刑事:キャッツは?キャッツ・アイは来たのか?
後輩刑事:それがどこにも……。そのような形跡はなく……。
ははは。
しっぽを巻いて逃げたか。
今回の警備は完璧だったもんな。
キャッツも恐れる警備です。
うむ。中々いいコピーだと思わないか?
後輩刑事:はぁ……。
先輩刑事:なんだ?いいと思わないのか?
後輩刑事:はぁ……。正直に言うと、すごくいいです!とは。
先輩:なに!
先輩刑事の相棒:まぁまぁ。コピーのことは、いったんおいといて
いまは、キャッツを捕まえることに専念しましょう。
先輩刑事:そ、そだな。
先輩刑事:さて、ターゲットの特徴を整理する。
今回は、「青のレオタードのキャッツ・アイ」を捕まえる。
後輩刑事:は、はい。
先輩刑事:そして、これが敵を知るための情報だ!!
(バサッと置かれる紙の資料と映像情報)
(ビデオデッキにDVDを入れ、再生)
(映像が映る)
(全員映像をのぞき込む)
先輩刑事:おや?ここは……。喫茶キャッツ・アイじゃないか。
キャッツの情報を得るための映像に、なぜここが映っている?
後輩刑事:キャッツがよく来る店とか?
先輩刑事:まさか!
後輩刑事:もしくは、キャッツが経営しているとか(笑)
先輩刑事:まさか!ないない。だって、もし、そうだったとしたら、
俺の彼女がキャッツ・アイってことになっちゃうぞ?
後輩刑事:え?先輩、彼女いたんすか?
先輩刑事:そこ?
後輩刑事:あ。はい。典型的なモテないタイプだと思ったので。
先輩刑事:ほんと失礼な奴だなぁ。まぁ。たしかにモテないが。
でもいいんだ。俺は瞳(ひとみ)に惚れてもらえてれば、それで。
後輩刑事:はいはい。ごちそうさまです。
先輩刑事:おいおい。遠慮するな。まだ写真見ていないだろ?
後輩刑事:いいッス。興味ないんで。
先輩刑事:まぁ。そういうな。自分に彼女がいないのに、
「モテない先輩」にかわいい彼女がいて、嫉妬しているんだろ?
後輩刑事:(あきらめのこもった、ふかいためいき。)
みればいいんでしょ。みれば。
先輩刑事:おっ!ものわかりがいいな。
ほら。これだよ。
後輩刑事:これは……。
先輩刑事:おいおい。かわいすぎて声を失ったか?
手、出すなよ?
後輩刑事:出しませんよ。タイプじゃないんで。
先輩刑事:……。じゃぁ、なんでコトバに詰まった?
後輩刑事:このままだとタイプじゃないけど、
痩せたらめちゃくちゃ「きれい」だろうなぁと。
先輩刑事:うんうん。そうだろそうだろ。
だからな。悩ましいところなんだよ。
やせたら、もっと「きれい」になるのはわかっている。
でも、そうなると「太っている瞳」には興味を示さなかった男どもも
「いい女」といって「うようよ」出てくるわけだ。
だからどうしたらいいのかなぁと。
後輩刑事:しらね。
先輩刑事:なぁ。そんなこというなよ。
どうしたらいいかな?
後輩刑事:しりません。興味ありません。
先輩刑事:そう言うなってさ。
後輩刑事:(非常にめんどくさそうに)
キャッツを捕まえたらなにか分かるかもしれないッスね。
先輩刑事:ん?なんでだ?
後輩刑事:どう考えてもおかしいんですよ。
毎回毎回、警備情報が筒抜け。
これは、疑いたくないけど、刑事と濃い関係性のある人が
「キャッツ・アイ」だっていうのが一番しっくりくるんですよ……。
先輩刑事:ひ、ひとみがキャッツだとでもいいたいのか?
後輩刑事:・・・・・・。
後輩刑事:それが、一番しっくりくるんス……。
先輩刑事:そ、そんなぁ。
後輩刑事:先輩…。ここはいいですから、デート行ってください。
キャッツ・アイに会って来てください。
キャッツも女、好きな人のいうことなら聞くはずです。
だから行ってください。
そして、先輩が逮捕してあげてください。
それがせめてもの救いですよ……。
先輩刑事:・・・・・・。
先輩刑事:たしかにな……。
でも、まだ瞳(ひとみ)が、「キャッツ・アイ」だと
決まったわけじゃないだろ?
後輩刑事:せんぱい……。わかってますよね?
もう彼女以外「キャッツ・アイ」だ!となる人はいないって。
先輩刑事:ああ……。
(なよなよと力尽きて崩れ落ち、そのまましゃがみこむ感じで)
先輩刑事:わかっていた。もしかしたらと思った。
でも…。違うと思いたかった……。
後輩刑事:そうだったんですね……。先輩も苦しかったんスね。
先輩刑事:・・・・・・。
先輩刑事:……ひとみの方が苦しかったかもしれない……。
後輩刑事:先輩……。
先輩刑事:ん?
後輩刑事:先輩…。彼女は「怪盗」です。先輩は「刑事」です。
だから…。仕方ないんですよ。
この恋は、実らしたらいけない。
先輩刑事:そうか……。やっぱり、それが一般的な意見だよなぁ……。
よし、わかった。俺は刑事をやめる!
後輩刑事:ええ!!やめてどうするんですか?
先輩刑事:ひとみと結婚して専業主夫になる。
後輩刑事:ええ!ということは、
「先輩」が養ってもらう側になるってことですか?
先輩刑事:まぁ。そうなるかな。
後輩刑事:……。先輩……。働かないんですか?
先輩刑事:ん?働くよ?気が向いたら。
でも当分気が向く予定はないから、諦めかけた夢でも追うよ。
後輩刑事:諦めかけた夢?
先輩刑事:ああ。
先輩刑事:才能のある子を見つけて世に送り出す。
そして、その輝きを一番近くで見る。なぁ。最高の夢だろう?
後輩刑事:ええ。とっても。
先輩刑事:だろ?そのためには、やはり「最高のパートナー」が必要だ。
だからボクは「キャッツの……。いや、瞳(ひとみ)のハート」を、盗まないといけないんだ。
そして、彼女を伴侶にして、
世に埋もれてしまいそうになっていた
才能を掘り起こし、
それぞれが一番輝ける場所で、花開けるようしてあげるつもりだ。
そのためだけの団体もつくる。
ひとつは『キャッツ・アイ』
30歳までのスタイルのよい美男美女と、
やせたら美男美女になる30歳までの男女を育成するチーム。
もちろん、ダイエットなどの知識も豊富なスタッフが
専門スタッフとしている。
そして2つめが『スターオブキング』
ここは、35歳までの原石ちゃんの集まり。
本当は才能があるのに、発揮できてこなかった子たちを
世に出すための団体。
こちらは見た目の美醜は、関係なく、本人にやる気があり、
光るものを持っている。そう思ったら入れる。
後輩刑事:でもそれだと……。
先輩刑事:たしかに、何年かはしんどいだろう。
けれど、これ以上の投資があるかい?
埋もれている才能を見つけたときの高揚感、
そして、それが開花したときの喜び。
世界がまたひとつ、豊かになる瞬間を目の当たりにできる幸福感。
こんないい投資先ほかにあるかい?
後輩刑事:……ないかもしれませんね。
先輩刑事:だろ?それに瞳(ひとみ)ならわかってくれる。
後輩刑事:だといいですね……。
先輩刑事:ん?
後輩刑事:水差すようで悪いですけど、○○ならわかってくれると思って
そのつもりで動いたら、痛い目を見たって人いますよ……。
先輩刑事:俺はだいじょうぶ。俺の瞳(ひとみ)はわかってくれる。
後輩刑事:だといいですけどね……。
後輩刑事:もう。これ以上はいいませんが、元カレとして、忠告しておきます。
痩せた瞳(ひとみ)は、ほんとうにキレイでセクシーです。
だから、太らせとければ、ほかの男が寄ってこないと思ったけれど、
やはり、痩せてて美しく、セクシーな瞳(ひとみ)を知っている人間としては、痩せてほしいという気持ちもある。
この葛藤のせいでうまくいかなくなった。
だから、もし同じことで苦しんでいるのなら、
振るのも愛かもしれない。
男が寄ってきてしまうのを覚悟して、
ダイエットを付き合うのも愛かもしれない。
それは、どっちがいいとかない。ないけれど、
一番いけないのは、「今の状態」だよ。
ふたりとも覚悟をしなさい。
それぐらいの覚悟もないなら、「刑事と泥棒」が恋をしてはいけない。
そう思うんですけどね。
それだけいうと、○○(後輩刑事)は仕事に戻った。
【完】