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【レビュー】PENTAX SMC 67 55mm F4をGFXとフォーカルレデューサーで使う


はじめに

本レンズはPENTAX67用レンズとして販売されました。今回紹介するのは新鏡筒のほうで、旧鏡筒と分けるために「PENTAX SMC 67 55mm F4 new」などと表記されることがあります。

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まずは写真をご覧ください。(Fotodiox Pro Shift Lens Mount Adapterを用いて撮影)

使用機材

カメラはGFX 50Sを使用しています。

マウントアダプターは特に説明がない限り、
KIPONの「Baveyes Focal Reducer Pentax 67-GFX 0.8x」を使用しています。

本アダプターには大きな特徴があり、中にレンズが入っている(フォーカルレデューサー)ことで、レンズの焦点距離が0.8倍されます。
したがって、55mm F4を装着した際の換算焦点距離はおよそ35mm程度となります。
なお、マウントアダプターについては、以下の記事で詳しく記載しています。

外観

以下では、本レンズの外観について記載します。

後玉は非常に小さいです。しかし、EF40mm F2.8 STMの例にもあるように、GFXで使用する他社製広角レンズにおいて後玉が小さいものは、周辺までケラれずにしっかり解像することが多いです。

大きいですが、「思ったより軽い」というのが正直な感想です。

フードは純正のものを使用していますが、ねじ込み式なら社外製のものを取り付けられます。新鏡筒ではフードの材質は硬質プラスチックになっていて軽量です。
なお、フードにも記載がある通り、フィルター経は77mmとなっています。

レンズはマウントから鏡筒が伸びているようなデザインで、アダプターを介したGFXとのマッチングも良好に思います。

寄れる中判レンズ

本レンズは中判カメラ用レンズにしては珍しく、被写体にかなり寄ることができます。

マクロレンズ以外でここまで近寄って撮影できるレンズはなかなかないのではないでしょうか。大きさに目を瞑れば、スナップ的な撮影にもいいかも知れません。

解像力については後述しますが、申し分ありません。隅までしっかりと解像しています。

一方で、ボケ味は少し硬い印象を受けました。比較対象が同PENTAX67の105mmなので分が悪いかも知れません。

画質

ピントを無限遠に合わせ、F値を変化させた際の描写を観察しました。
結果を以下に示します。拡大してお楽しみください。

F4

開放では少し甘いです。周辺が多少流れています。

F5.6

以降、絞るに従って画質が改善します。

F8

周辺減光はF8でほぼ解消されます。

F11

心なしか、絞ることでわずかにピントピークが変化している気がします。
一般的な撮影ならF11あたりがもっとも解像している気がしますが、いかがでしょうか。

F16

また、回折の影響は余り感じられません。ただしこれはフォーカルレデューサーを使用した撮影なのでそれが影響している可能性があります。
周辺までしっかり解像させたいのであれば、F16~F22くらいまで絞るとよいでしょう。

F22

画面のどこを見てもしっかりと解像しています。総じて高い解像力を誇るレンズだと思います。

シフト時の画質変化

次に、Fotodioxの「Pro Shift Lens Mount Adapter」を使用してシフト時の画質変化を観察しました。

本アダプターは±15mmのシフトが可能となっています。
以下ではそれぞれ10mmずつシフトさせ、+15mm、+5mm、-5mm、-15mmの位置で撮影しました。

なお、換算焦点距離は約43mmとなり、F値はF4(開放)、ピントは無限遠に合わせました。

結果を以下に示します。拡大してお楽しみください。
画面左のビルを見比べると違いが分かりやすいと思います。

+15mm

※手フードの手が入ってしましました。
めいいっぱいシフトしていますが、ケラれてはいません。

+5mm

シフトを感じさせない均質な画質です。画質への影響も少ないように思います。

-5mm

また左上に手フードが入ってしまいました。いや、けっこう難しいのです。

-15mm

画面中央部分に白い靄がかかっているように見えます。これはシフトアダプター含め複数のアダプターを重ねていることによる内面反射等々の影響と思われ、入射光の角度によっては発生します。これを防ぐための手フードなのですが……わりとシビアです。

ただし、それ以外は15mmもシフトしていることを感じさせない、非常に均質な画質だと思います。しかも、これは開放。絞れば周辺減光などの画質劣化を抑えることができます。

逆光耐性

次に逆光耐性ですが、本レンズはあまり強くないと感じました。

入射光の角度によっては、重ねていないKIPONのほうのアダプターでも中心部の靄のようなものが発生してしまします。これは補正が難しいです。

対処法としては、上記の靄が出ない光の角度を探して撮影したり、(手)フードを用いることで解消できる可能性があります。記事冒頭の写真などは、これがうまくいっている例です。

【総括】高い均質性を得る選択肢に

今回はPENTAX67用レンズである、「smc TAKUMAR 67 55mm F4 (new)」を実際に撮影した写真を交えて紹介しました。

PENTAX67用広角レンズとして、高い画質を誇る本レンズ。
私は旅行先で風景を撮るのによく使用しています。(以下、Fotodiox Pro Shift Lens Mount Adapterを用いて撮影)

マウントアダプターを介してシフト可能な広角レンズとして使用することもできます。35mm判用のシフトレンズではここまでのシフトはできず、本レンズだからこそできる表現です。

クローズアップ撮影もお手の物。マクロレンズには及びませんが、常用としては十分です。

逆光耐性は高くありませんが、少し気をつければ問題なく撮影できます。

中判カメラ用レンズは、そのサイズから敬遠されがちです。しかし、35mm判用のレンズや純正レンズにはできない表現・撮影が可能で、比較的安価なものもあります。

特に本レンズは価格の割に画質が高く、広いイメージサークルによる画面の高い均質性を有します。今後もGFXで使用する広角レンズとして、第一線で活躍してくれることでしょう。

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