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【レビュー】SIGMAで一番売れてない? 望遠マクロの真髄 APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSMをSD1 Merrillで使う


はじめに

APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSMは、2012年7月27日に株式会社シグマから発売された等倍撮影が可能な望遠マクロレンズです。

望遠マクロレンズのフラッグシップとして最高の性能を有しており、とくに虫や花の撮影において傑出したものがあります。

わたしは本レンズを2019年に購入しました。本記事では、その機能に触れつつ、外観や撮影した写真を紹介します。

以下、メーカーのリンクです。

※本記事のAmazonへのリンクはアフィリエイトです

外観

以下に外観の写真を示します。

レンズ本体はかなりの重さ・大きさです。

本レンズは、シグマEX最終期に製造・販売されたもの(現在は生産終了)で、発売の1年後には、現在も続くシグマの3つのプロダクトライン【Art, Contemporary, Sports】が発足します。

わたしの妄想に過ぎませんが、光学性能にこだわった本レンズはArtラインのさきがけとなったのではないでしょうか。

というのも、いかに望遠マクロレンズといえどもそのサイズは類を見ず、長さは20cm以上となり重量は1.6kg。
その風貌は、大きく重くとも最高性能を求めたArtレンズを思わせます。

また、47cmまで寄って等倍撮影が可能。

冒頭で「虫や花の撮影において傑出したものがある」と記載しましたが、それは本レンズが被写体との距離(ワーキングディスタンス)を稼ぎつつ等倍撮影が可能な超高解像で明るいマクロレンズであることに由来します。

月並みな表現ですが、異次元の写りといっても過言ではありません。

フィルター径は86mmと珍しめ。
他に同社の85mm F1.4 DG HSM | ArtやコシナのOtus 1.4/85が同じ86mmですが、それ以外は寡聞にして知らず。比較的レアな部類といえます。

さらに本レンズには、APS-Cサイズセンサー搭載カメラ…つまりSD1 Merrill等のためにフードアダプター HA927-01が付属しています。

SD1 Merrillに装着したところ。

フードアダプターはその名の通りフードを延長するものです。
APS-Cで伸びた焦点距離分をカバーできるように、というメーカーの計らいです。

わたしは2個付けていましたが、増やしても特に意味はありません。見た目が超望遠レンズのようになるのでハッタリが効きますね(何に対して?)。

なお、本レンズをSIGMA fpにMC-21を介して使用しましたが、AFが正常に動作しませんでした。
MC-21の対応表にも載っていないので、このあたりは仕方ないでしょう。

SIGMAで一番売れてない?

なんとも失礼な項目ですみません。

望遠マクロというニッチなジャンルの中の、さらにニッチなシグマSAマウント用のAPO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSM……いったい何本販売されたのでしょう?

シグマの山木社長は

・24-35mm F2 DG HSM | Art

・50-100mm F1.8 DC HSM | Art

の2本も売れないレンズながら極めて高性能と投稿されています。

またある日には…

元の投稿は現在は削除されてしまっていますが、APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSMに関する投稿への引用リツイートだったと記憶しています。

ところで…

わたし自身、50-100mm F1.8 DC HSM | Artを最初期から使用しており、とても気に入っています。

24-35mm F2 DG HSM | Artもずっと気になっています。fpで使うのも楽しそう。

あれ、売れないレンズにばかり惹かれている…?

いずれにせよ、ニッチな需要のレンズをラインナップしてくれるのはユーザーとして本当にありがたいことです。なにしろ、それでないと撮れないものがあるのですから。

※すけーとべーすさんのnoteでも同様のアプローチで記事を書かれています。こちらも是非!

撮影した写真

以下にAPO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSMで撮影した写真を示します。
すべてAPS-CサイズのFoveonセンサーを搭載するSD1 Merrillを使用して撮影しました。したがって、焦点距離は1.5倍の約270mmとなります。

描写の参考になりましたら幸いです。

水族館にて。
髭の解像と周辺部のボケの対比が美しい。

動物園でもクローズアップ。
コントラストの高い安定した描写です。

この距離でこの被写界深度。
他のレンズ、例えば70-200mm F2.8ではこうはいきませんよね。

まして、ワーキングディスタンスを稼ぎながら等倍まで寄れるレンズはそう多くありません。
あなたは、似た描写のものを見つけられますか。

望遠で寄って撮るといえば…

「近いものほど望遠レンズ」
冗談のような、本当のこと。

もちろん、通常の望遠レンズとしても使用できます。

弊noteのSD1 Merrillのレビューでは、本レンズに触れて以下のように書きました。

私は本カメラ(注:SD1 Merrill)にSIGMAのAPO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSM、EX DG 2×テレコンを着けて写真部の友人たちと羽田空港に行ったりしていました。

以下は撮影のメモです。飛行機の速度にはAFが間に合わないので置きピンあるいは軽いMFで撮影します。流し撮りでは手ぶれ補正を切り、シャッタースピードを1/30に設定します。バッファが詰まるので連写はせず、ここぞというときにシャッターを切ります。バッファが解消する頃には次の便が来るので、この繰り返しです。お試しあれ。

https://note.com/plnra/n/nd57ecea8e7b0

「撮影のメモ」の再現性については、およそ読者の方の想像するところと等しいでしょう。

しかしながら、それに挑戦するのも面白いものです。お試しあれ。

以上、撮影した写真を紹介しました。

このように、本レンズはマクロ域の撮影はもちろん、望遠レンズとしての描写も一級品です。求めれば応えてくれるだけの性能を持ち合わせています。

関連するレンズ

・105mm F2.8 DG DN MACRO | Art

2024年のラインナップでは、こちらが最も望遠のマクロレンズ。
テレコンバーターにも対応しているため、近い描写を求めるならば選択肢となります。

・15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art

fp hourというイベントで山木社長がこちらも売れないレンズ…と仰りつつもとても楽しそうにお話されていたので、これからもニッチな需要のレンズを出し続けてくれることに期待してしまいます。

・28-45mm F1.8 DG DN | Art

待ちに待った18-35mm F1.8 DC HSM | Artのフルサイズ対応した後継機。
これが売れたら50-100mm F1.8 DC HSM | Artの後継機として65-105mm F1.8 DG DN | Artとか……よろしくお願いします。

おわりに

本記事では、シグマの望遠マクロレンズのフラッグシップであるAPO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSMの機能に触れつつ、外観や撮影した写真を紹介しました。

優れたものが、かならずしも人口に膾炙するわけではないことを、本レンズは教えてくれます。

レンズとはつまり、写真の髄。
カメラとともに表現の幅を広げるエキップメントであり、積み上げてきた技術の結晶である……

本レンズを売れないレンズとしながらも、大手カメラメーカーが手を出さないニッチなレンズを数多く開発してきたシグマ。
いちユーザーとしては、そのフィロソフィーに強く惹かれるのです。

シグマで一番売れていないレンズは、ユーザーの需要に応えようとする企業姿勢を体現した望遠マクロレンズの白眉でした。


(おしまい)


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