【レビュー】中判ティルトシフト TS-E24mm F3.5L ⅡをGFXで使う
はじめに
TS-E24mm F3.5L Ⅱは、2009年6月12日に株式会社キヤノンから発売されたティルトシフトレンズです。
本レンズは35mmフルサイズを超えるイメージサークルをもつことから、富士フィルムの中判デジタルであるGFXシリーズでもケラれずに使用できました。
私は本レンズを2023年の1月に購入しました。本記事では、その機能に触れつつ、外観や撮影した写真を紹介します。
以下、メーカーのリンクです。
また、TS-Eレンズについては以下のページが詳しいです。
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外観・使用感
以下に外観の写真を示します。
一般的なレンズとちがい、本レンズにはノブがいくつも付いており、
このノブでティルトやシフトの操作をすることになります。
中央のものがシフト用のノブです(テープを巻いています)。±12mmのシフトが可能となっています。
なお、これにキャップを付けてサイズアップできるニッチなアクセサリー「シフトつまみ用キャップ」がキヤノンオンラインショップで取扱いがあります。
そしてこちらがティルト用のノブです。±8.5°のティルトが可能となっています。
それぞれ反対側にはロック用のノブが付いています。ティルト側にはロックスイッチも搭載されており、より強固に固定できます。
中央のレバーはT/Sレボルビング機構用のもので、ティルトとシフトの直交と平行を好きな角度に変えられます。
また、レンズマウント部にもレボルビング機構があるので、組み合わせることで表現の幅が広がります。
こうした機能に関しては、記事冒頭にも掲載した公式ページがわかりやすいと思います。
絞り毎の描写の変化
絞りを段階的に絞った際の描写について、中心部と右端部を等倍に拡大した画像とともに以下に示します。
F3.5(開放)での描写
F5.6での描写
F8での描写
F11での描写
F16での描写
F22での描写
開放は少し甘く周辺減光もありますが、絞ることで段階的に改善されます。なお、画質についてはF11が最高の描写に見えます。
最大シフト時の描写(横位置)
先述のように、本レンズは±12mmのシフトが可能です。
GFXにレンズを装着し、+6mm(最大)シフトさせた際の写真を以下に示します。なお、ピントは建造物中央に合わせました。
最大シフトにも関わらず、ほとんど問題なく使用できます。
ただし、画面隅下部に鏡筒ケラれのようなものが見受けられるため、シフトの際はこれに留意するとよいです。
なお、ケラれはレンズそのものだけでなくプロテクター(フィルター)やフードによっても発生します。プロテクターは薄枠のものを使用したり、フードを適宜外したりするとよいです。
私は以下のプロテクターを使用しております。本レンズでケラれずに使用できました。
最大シフト時の描写(縦位置)
次に同条件で縦位置の撮影をおこないました。なお、ピントは画面左上隅に合わせました。
横位置よりもイメージサークルの端に近い部分を使用していますが、全体的な画質は良好です。
ただし、こちらも下部に鏡筒ケラれのようなものが見受けられます。
参考に、画面左上隅を等倍に拡大した画像を以下に示します。
ここはGFXでの仕様時に最もイメージサークルの端に近い部分ですが、最周辺部以外は発色もよくしっかりと解像していることがわかります。
撮影した写真
撮影した写真を以下に示します。画質の参考になれば幸いです。
まとめ
本記事では、TS-E24mm F3.5L Ⅱとその機能に触れつつ、外観や撮影した写真を紹介しました。
本レンズは、TS-Eレンズとして建築撮影はもちろん風景にも有用で、キヤノンの一眼レフ用広角レンズの中でも随一の高画質を誇ります。
本レンズと競合するのはGマウントの純正広角レンズかと思いますが、ティルト/シフトが可能という点においてメリットがあります。
最近、純正でもティルトシフトレンズが発売されましたが、それらは非常に高額で納期もかかります。一方、本レンズは中古で18万円程度で販売されており入手が容易です。
また、本レンズ一本で
1. 歪みのない建築撮影
2. ジオラマ・ミニチュア風撮影
3. 全面にピントを合わせた物撮り
などが無編集で可能です。
昨今では特殊効果をかけられるツールも豊富ですが、ティルトシフトレンズを使用することで撮影時のイメージを反映させやすくなるはずです。
プロ用レンズを遊びで使うのもまた趣味です。ティルト/シフトの操作には慣れが必要ですが、表現の幅が広がる面白いレンズだと思っています。
(おしまい)
撮影した写真は以下の記事でも公開しております。よければご覧ください。