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【レビュー】中判マクロは万能か? 70mm F2.8 DG MACRO | ArtをGFXで使う
はじめに
SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Artは株式会社シグマから2018年7月6日に発売された一眼レフ用レンズです。
Artラインにしては重量500g程度と軽く、実売5万円以下と安価ながら、カミソリマクロを標榜する高い解像力を誇ります。
以下は公式ページへのリンクです。
本レンズは、中判サイズ(約44mm×33mm)のセンサーをもつGFX 50Sでもケラれ無しで使用することが出来ました。
なお、焦点距離換算でおおよそ55mm F2.2程度となります。
今回は、本レンズを富士フイルムのGFX 50Sにマウントアダプターを介して装着し、撮影した写真を交えながら外観や使用感、絞り毎の描写の変化について紹介します。
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外観・使用感
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マウント部から直線的に伸びた鏡筒が異彩を放っています。各種スイッチも操作しやすい位置にあり、ピントリングは太く回しやすいです。
GFX 50Sに装着すると、デザインと重量のバランスが良く、換算の焦点距離も55mm程度となり、扱いやすいです。また、本レンズは等倍マクロレンズのため、被写体にかなり寄れます。
したがって、「小型軽量・安価・寄れる」の三拍子揃ったレンズといえ、常用レンズのように使うことができます。
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きわめて高い解像力を発揮する一方で、オートフォーカスは速くありません。ただし、マクロレンズであることや、マウントアダプターを介して使用していることを考慮すると、仕方のないレベルといえます。
対策としてはフォーカスリミッターを活用することでしょうか。都度切り替えることでAF速度を改善できます。
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また、ピントリング操作はフォーカスバイワイヤによる電子的なもので、回転させる速度によってピントの移動量が変化します。操作に慣れるまでは、マニュアルフォーカスに戸惑うかもしれませんが、慣れるとピントを追い込みやすくなったり、無限遠とマクロ域の切り替えが即座に行えるようになり、メリットが感じられるはずです。
GFXでの使用について
GFXでの使用時にフードを装着すると、フードでケラれてしまうので注意が必要です。
また、SHOTENのEF-GFXマウントアダプター(初代)を介してこのレンズを着け、マクロ域のフォーカスリミッターをかけたまま本体の電源を切ると、レンズが無限遠の位置に戻らず、少し伸びたままとなります。以下のような新型のアダプターでは発生しないかもしれません。
絞り毎の描写の変化
絞りを段階的に絞った際の描写について、撮影した写真及び中心部と左下部を等倍に拡大した画像とともに以下に示します。
ボディはGFX 50S、ISO100、カラーモードはスタンダードで、補正などは特にしていません。
F2.8
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中心部は開放から高い解像力を発揮していますが、周辺減光が顕著です。
F4
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絞る毎に解像力を増し、周辺減光が改善していきます。
F5.6
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周辺減光はほぼ解消されたように見えます。
F8
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F8まで絞ると周辺減光はほとんど気にならなくなり、個人的には描写のピークに感じます。
F11
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F8-F11は風景にも使えそうです。
F16
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F16以降は回折の影響を感じます。
F22
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F32
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F32では顕著に画質劣化が見受けられます。解像力を求める場合はここまで絞らないほうが良いかもしれません。
以上、70mm F2.8 DG MACRO | Artの絞り毎の描写の変化を紹介しました。
撮影した写真
以下に本レンズで撮影した写真を示します。
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先述のとおり、開放では周辺光量の低下と周辺に少し流れがありますが、絞ることで段階的に改善されます。以下はF8まで絞って撮影した写真です。
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中心は解放から極めて高い解像力を発揮します。本レンズはSIGMAのArtラインでも屈指の高解像力ですが、それがGFXでもいかんなく発揮されています。
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以下は最短撮影距離付近で撮影した写真です。
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いずれも開放ですが、綿毛の一本一本まで写しとっています。F4まで絞ればさらに良化しますが、手持ちで撮影するのはけっこう大変です。自然の中の暗がりでは、手ぶれ補正がないと厳しいと思います。
まとめ
今回は、SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Artを富士フイルムのGFX 50Sにマウントアダプターを介して装着し、撮影した写真を交えながら外観や使用感、絞り毎の描写の変化について紹介しました。
本レンズは安価でコンパクトながら、きわめて解像力が高いです。換算55mmというのも使いやすい。
また、F8以降に絞れば周辺減光もなく風景にも使えそうです。人によっては万能かもしれません。
そのため、1本持っておくと何かと便利で、本noteのカメラ外観撮影でも度々使用しています。
AFにこだわりが少なく、GFXで常用できるレンズを探している方におすすめできるレンズです。
高価になりがちな中判デジタルシステムにあって、圧倒的な費用対効果。これが5万円以下というのは破格ではないでしょうか。
なお、フィルター経は49mmです。被写体に近づくことが多いので、フィルターを付けておくと安心かもしれません。