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月の手紙

母の声だけ聞く夜は
何処からともなく線香の
涼風網戸すずかぜあみど思い出と
共にすり抜け
肩にのる

闇を抜け
昴輝く
夜半の秋よわのあき

月を待つ
蟲の鳴き声
夜半の秋よわのあき


今日は庭の手入れ
先住の蟲たちも居心地わるそう

数年前は母が見ていてくれて
よく自分の弟と間違えて私を呼んでいた
あの時の香取線香の匂いは
秋の涼風が吹くと
香ってくる気がして

テレビがなかった子どもの頃
静かに母との会話だけがあった
そんな夜を思い出して…

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