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『アリアナ グランデ・POSITIONS』アルバムレビュー【音楽】


アリアナグランデ

Positions

はいということで本日はアリアナグランデでポジションズをレビューさせて頂ければと思うのですが、

今作は彼女の通算6作目のアルバムとなっており、

元恋人マックミラーの死やピートデヴィッドソンとのスピード婚約破棄を乗り越え発表した thank u next は彼女の内面をそのまま表に出した作品でもあり「正直すぎる作品」として賛否をよび、これより2年ぶりのアルバムになります。

ここ数年彼女のパーソナルライフは静かだったものの、それとは対照的に世界はコロナの影響もあり様変わりしてきました。

今作はそんな世界情勢の変化の中で彼女が内面と向き合い

彼女の女性としての今の立ち位置やフェミニストとして知られる彼女が女性の男性社会における不平等な社会的ポジションをテーマにした

これまでより最もいやらしく、セクシーで淫らな曲たちが並んでいる作品になります。

そのいやらしさはもう軽いポルノです。

それは1.Shut upから全開で

夜のパリやバレーを想起させるオーケストラレルストリングのテュテュテュというサウンドの上に

How you been spending your time? (How?) How you be using your tongue? (How?) You be so worried 'bout mine (Mine) Can't even get yourself none

という歌詞

アルバム開始からこのいやらしい歌詞が暖かくクラシカルなムードと共に響いてきます。

曲自体の音は非常に穏やかで色気があるのですが、

歌っている内容はほとんど彼女の自己主張を聴いているような気分になりました。

それは次の曲、34+35や9曲目nastyという曲でも同じで、

Can you stay up all night? Fuck me 'til the daylight

I just wanna make time for ya (Yeah) Swear it's just right for ya Like this pussy designed for ya (Yeah) Ten outta five on ya

という 歌詞が非常に直接的で少し違和感を覚えました。

これは考え方の違いなのかもしれませんが、

個人的には表現の美しさはその表現が受け手によって想像されるところにあると思うのですが、1曲目、2曲目と彼女のその直接的歌詞が私を見てと上からの自己主張にしか聞こえなかったのも事実です。

3. Motive(feat. Doja Cat)

3曲目のドジャキャットとのコラボで1、2曲目とクラシカルできていたところから一変、

近代的ハウスポップバックグラウンドに切り替わり、 のれるテンポにドジャキャットのダイナミックで荒い声がアリアナのふわりとした声と対照的に混ざり合いバランスを保ちながら進んでいく点は新鮮です。

5. off the table (With the Weekend)

この曲は聖母マリアを語り主にし、淡い恋を語り合うような形で曲が進みます。

Will you be there? (Yes, I will be there for you) Can I still love you? (Yes, I been hurt before, before) Not yet healed or ready (Not ready)

いなくなってしまった人を思う気持ちは

どこか彼女がマックミラーを思う気持ちに重なりました。

8. my hair

彼女のアイコンを象徴する一つのポニーテールがあり、

お互いが親密になり相手に髪の毛を触らせてあげる

そんなことが歌われる曲なのですが、

前半の曲とは違い、後半に行くにつれ曲が間接的になっていき

歌詞的には後半の方が好きですが、

どうしても激しく直接的な歌詞なほどメロディーも心地よく

印象に残るので、そこが非常にもどかしい気持ちさせられます。

12. Positions

この曲は既に8000万回再生されているMVを見たら分かると思うのですが

アリアナが大統領を昼間にしていて、夜はポジションを変え恋人に料理を振舞う様子が描かれているのですが、

この曲のポジションが意味するものとは単に昼と夜に別の顔を持つ女性というだけではなく、

女性の立場に敬意を払っている様子が描かれています。

MVを見ると大統領の側近が黒人の女性だったり、郵便配達人USPSの白人女性が表象されているなどこのビデオには基本的に女性しか出ていません。

BLM等々アメリカの分断が起きている中で、女性の平等さに声を上げている曲です。

その背景を知ると昼は仕事をして夜は料理を作るのよという意味が全く違う意味に聞こえてきますね。

そういった意味でアメリカのフェミ層をファンにできている所も彼女の人気の一つなのかもしれせん。

14. Pov

最後の曲povでは彼女の湿気のある霧のような声が広がっては消えてを繰り返し、

あなたが私を愛すように私は私を愛したい と自分を大切にしたい気持ちと同時に現在の恋人ダルトンゴメスに対しての愛を自分に向けるような形で歌い

1.Shut Upと同列な雰囲気で少し寂しい雰囲気でアルバムの出口を迎えます。

全体的に見ると

メロディーが良い曲は歌詞が単調すぎて

歌詞が良い曲はメロディーが単調すぎる気がしました。

前作は良い意味で自分の弱い部分をを曝け出し

強さに変えていくことが感じられたんですが、

今作は、ポジションという女性として人としての今の自分の立ち位置を縦にして

強い自己主張のようにも聞こえてしまったのも事実です。

もっと社会的なことを交えて歌われるのかと期待した分

聴き終わった後の後味が中途半端な気がしてしまいました。

勿論良い曲もあり、1曲目のメロディーとサウンド、あのクラシカルな楽器の音色は最高に好きです。

みなさんも聴いてみて感想教えてくれると嬉しいです。


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