『CHVRCHES・スクリーンバイオレンス』アルバムレビュー【音楽】
Screen Violance
はいということで本日はグラスゴーの3人組Chvrchesでscreen violenceをレビューしていければと思うのですが、
日本でもテラスハウスや有名ゲームの主題歌を務めるなど有名な彼らですが、 今作は3年ぶり4作目のアルバムになっていてコロナの影響もありデモ以外は殆どリモートにて制作された今作で隔離生活の中でそれぞれが自分たちの音楽のルーツと見つめ合いながら制作された今作についてインタビューでボーカルのローレンは
ロックダウン中はニュー・オーダーやジョイ・ディヴィジョン、キュアー、デペッシュ・モード、グレイス・ジョーンズ、ゲイリー・ニューマンなんかをたくさん聴いて過ごしていて、そういう音楽から得た要素をコンテンポラリーなソングライティングの中に落とし込むようになった。
と語るように
そういった彼らの原体験の音楽の要素が多くみられる作品になっていると思います。
また今作は第三者視点でのソングライティングもあり、孤独、幻滅、怖れ、傷心や後悔といった感情が映画のようなタイトルやジャケットでも描かれているように映画的な感覚で聴くことが出来るアルバムになっていると思います。
1. Asking For A Friend
絶望と希望の中間地帯を描いた歌詞
So what do you say When you lose your way? The past is in the past It isn't meant to last But if I can't let go Will you carry me home? Can we celebrate the end?
にパーカッションから始まり複雑に絡み合うバッキングの音とローレンの声の対比を上手に活かしたミキシングはこの曲のコンセプトのように絶望と希望の対比をここでも上手に表現しています。
02. He Said She Said
二人称で始まる曲が段々と1人称になっていき、
サビの盛り上がりと Feel like I'm losin' my mind Over and over, I tryという印象的な歌詞を最後に持ってくることで
それまで二人称で描いてきた音楽体験を一度壊し再構築しているようにも見え、
それまでの二人称は全て幻想だったとリスナーに考えさせることもできる不思議な曲です。
04. Violent Delights
バッキングのドラムパーカッションに徐々に色づくギターやシンセの音は
夢の中の浮遊感を体現し、バッキングにフェードが掛かっている時は夢の中
サビでは現実へと引き戻されたりと言ったりきたりします。
A photograph will steal your soul An epitaph won't make you whole If I disappear, thеy'll say I killed myself I nevеr feared for my own health
These violent delights, they'll never sleep alone again when I'm gone
という歌詞は何か悪夢的なものを彼女が不眠の中で見ることが感じられると思います。
このアルバムは全体的にかなり暗いのですがこの曲は彼女の精神状態を心配するほどに暗いです。その精神の不安定さが作品に良い影響を与えているのもまた皮肉です。
05. How Not To Drown
この曲はThe Cureからロバートスミスが参加しているのですが、
良い意味でロバートらしさがなくあくまでサブに回っている点が
逆にとても良いアクセントになっていてローレンの高い声とロバートの低い声が相交り
思いビートと壮大なシンセサイザーと共に深い闇の中に連れて行かれます。
07. Good Girlsの Good girls don't cryはThe Cureのボーイズドンクライから影響を受けたのかなと思うほどロバートの影響を感じることができます。
全体的に見ると
これまでのチャーチズに比べてダークな音色ではあるのですが、
煌びやかで光るダークさというものが光を残しつつ、
ただ歌詞では悪夢のことや眠れないことが歌われており
世間から心を閉し心を病んでいた時期のローレンを想像してしまいました。
曲の構成はバッキングとローレンの音の対比やコントラストの調節等聴いていてとてもハイレベルに綿密に構成されていると感じていて、
センシティブな心の状態が音に反映されていると感じています。
どこかpale wavesやwolf alice等々のdirty hitレーベルの色も感じましたし、
北部のアメリカの荒廃した雰囲気と湿っぽいイングランドを掛け合わせた情景が伝わってくる
ダークなのだけど悲しみではなく寂しさの方のダークな印象なアルバムになっていると思います。